4:我、飢える
寝る。 起きる。 マザーミルク。
なんだかもう色々と疲れて昨日はそのままぱたりと倒れて気付けば朝。
奇声を上げるお腹をマザーミルクで満たした我はじっと己の手を見つめる。
戦わなくちゃ、現実と。
かかって来るがいい、謎ボードよ!
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名前:『 』
種族:ラビ(♀) 《ヴォーパルバニー》
状態:生まれたて
称号:なし
Lv :1
HP :5/5 《10/10》
MP :1/1 《500/500》
筋力 :1 《2》
耐久 :1 《2》
敏捷 :5 《1,200》
魔力 :1 《412》
幸運 :3 《2,000》
【スキル】
逃げ足
エアジャンプ
【固有技能】
《欺ク者》
《見定メル者》
《首刈リ兎》
【神授】
《道化神の加護》
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MPと魔力はこの際目をつぶろう。
だってファザーと違って魔術スキル持ってないもん、我。
だが敏捷と幸運、君達は看過できないのだよ。
ステータスがどういう働きをして、どの位の数字がどの程度の性能なのかは分からない。
けどファザーと比較するにこの世界の常識的なステータス値枠というものを素敵にぶっちぎってはいると思う。
おまけに片方は固有技能の首刈リ兎の成功率に関わるステータス。
我、割とガチでヤバい生命体なんじゃなかろうかしら?
いやまぁ固有技能の効果見た後じゃ何を今更って感じだけども。
欺ク者で油断させて見定メル者で対象を鑑定、幸運のステータスを見て問題無さそうなら首刈リ兎で一閃。
怖いよ、なんなのこの生物!?
しかも頑張れば神様も屠れますとか。
こんな生物、我が神様なら迷わず消す。
道化神、何を考えて産み出したし。
あっ、暇つぶしの思いつきって書いてましたね、ハイ。
ちなみに、我が四代目という事は我以前に三匹こんな頭のおかしい生物がいた訳で。
ラビと思って油断して首ちょんぱされた犠牲者、きっと沢山いるんだろうなぁ。
合掌。 黙祷。
していた我の頭に不意に乗っかるごわごわした湿った感触。
おかえりマイファザー、ふぁっきん湿臭。
普段あまり巣におらず、偶にふらりと戻ってくるファザー。
この数日で分かった事だがどうやら餌を狩っているらしい。
うん、文字通り狩ってきているのだ。
数日前、マザーの食事風景を見てしまった時の事を思い出す。
緑色の肌で醜悪な顔をした120センチ位のヒトガタの臓腑を喰らう、口の周りを青い血で染めたマザー。
一応モンスターな訳だし別におかしくはないんだろうけど、ラビって肉食なんだね。。。。
……ところでマイファザー、前々から気になってたんだけどなんだか我にだけやたらとマーキングの時間が長くありませんかね?
あれか、我ファザーをも魅了する美兎なの?
美しさは罪ですか、そして罰がこの湿臭ですかこんちくせぅ。
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あれから更に三日が過ぎた。
たかが三日、されど三日。 うん、色々とあったよ。
その一、兄弟姉妹ズの状態が "生まれたて" から "正常" に変わった。
それに伴い食事がマザーミルクからファザーの狩ってくる生物にシフトしてしまいやがりましたふぁっく。
緑の肌のヒトガタ、全長40センチくらいありそうな丸々と太った毛虫、ゼリー状の生命体、足が六本あるカラスなどなど。
無理、ゼリー以外絶対に無理。 生の死体に齧りついて貪るとか考えただけで吐き気ががが。
そんな訳で我は状態:生まれたてから状態:飢餓に変わってたり。
マザーが寝入るのを見計らって盗み飲むマザーミルクが生命線です。
その二、我が脳内でマザーファザーと呼んでいた所為か……
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名前:毛玉マザー
種族:ラビ(♀)
状態:正常
称号:なし
Lv :8
HP :16/16
MP :1/1
筋力 :3
耐久 :2
敏捷 :7
魔力 :1
幸運 :4
【スキル】
逃げ足
ラビキック
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名前:毛玉ファザー
種族:ホーンラビ(♂)
状態:正常
称号:なし
Lv :21
HP :122/122
MP :19/19
筋力 :53
耐久 :38
敏捷 :93
魔力 :14
幸運 :42
【スキル】
逃げ足
ラビキック
ホーンアタック
エアジャンプ
【魔術】
風魔術
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……なんだかマザーとファザーの名前が愉快な事になってしまっていた。
名付けとかってこんな簡単にできてしまっていいものなのだろうか?
我知~らない。 多分きっとおそらく害はないだろうめいびー。
気を取り直してその三、我的にはこれが一番大きい。
食事の切り替えと共に、ファザー同伴で巣の外に連れ出されるようになったのである。
周囲一面の草原、眩しいほどの日差し、鼻腔をくすぐる風の匂いとさざめく草木の合唱。
そんな大自然の中、我の思いはただ一つ。
食 い 物 は ど こ だ ! ?