25:我、美人なメイドさんとご対面
執事なおじ様の右手の上に乗せられて、左手を添えられた状態で馬車を降りたら目の前にはお城。
テレビとか写真とかで見たことはあるけど生のお城は初めて見ますね。
周囲を軽く見回してみた限りだと現在地は城門内王宮前広場?
王宮と城門の間にはドラゴンっぽい彫刻が鎮座する噴水。
馬車の周囲には鎧を身に纏った兵士数名とメイドさん、執事さん、それにドラゴンさん。
ってドラゴン!?
慌てて見返すと翼の無い、二本の後ろ足で立つドラゴン?が数匹、他の兵士とは異なる意匠の鎧を身に纏った兵士と並んでいる。
疑問符の理由? よく見たら連中ドラゴンっていうより二足歩行のトカゲだったから。
シルエット的にはニワトリとかダチョウとかの二足歩行の鳥みたいに背の部分が広く、首が中央より前よりになっている。
背中に鞍が組まれて馬具っぽいものが装着されている所を見るに騎乗用?
となると隣にいる亜種兵士さんは竜騎兵とかそんなのかな?
流石異世界、馬の代わりにドラトカゲに乗るとか。
馬もいるのかな? それともあのドラトカゲがこの世界では馬に相当する生物?
「シェラ」
我が情報収集中もおじ様はテクテク歩いていた訳で、気付けばメイドさん'sの前に来ていた。
周囲を見やればメイドさん、メイドさん、メイドさん。 髪の色はピンクとか緑とか青とか実にふぁんたじぃ~してますな。
着ているのはヴィクトリアンと呼ばれる部類のロング丈な古き良きメイド服ですね、善哉善哉。
ミニスカとかふりふり付きとかはメイド風コスプレであってメイド服じゃないと個人的に思うです、異論は認める。
ただこっちも緑とか青とか赤とかからふるですね、我は黒以外認めませんよ?
これでエプロンまで白以外のからふりゃ~だったりしたら我、暴れてましたですよ?
「御用ですか、ゼス様」
おじ様の声に反応して一歩進み出たメイドさん、この人もまた別嬪さんですね~。
我、この世界に来てから美人さんしか見た事ないんだけども単純に遭遇率の問題なのかしら?
それともまさかこの世界は美人さんがデフォとか?
まぁ駄女神見た後だからお~美人さんだー程度の感想に落ち着いてるんだけどもね。 アレは別格過ぎて比べらんないわ。
いや、このメイドさんもほんとに美人さんなんですよ?
白磁のように滑らかな白い肌、真紅色の切れ長の大きな目。 二重の瞼に長い睫、艶のある桃色の唇。
絹のようなさらさらで艶のある金色の長髪を首の後ろ辺りで黒のリボンを使い一つに纏めた髪型、頭頂にはシンプルな型のホワイトブリム。
袖口には透き通る青い宝石? のワンポイントが心憎いメイドカフス、それにシルクの手袋。
履物はパンプスでなくヒールのない無骨な焦げ茶色のブーツ。 ミスマッチだけど不思議と絵になりますね?
総評、駄女神見た後じゃなかったら見惚れてぽ~っとするレベル。
ちくせう、同じ♀なのにこの差は一体なんなんだ。
「こちらの御客人の世話をお願いします」
そう言って我を乗せた手を持ち上げメイドさんの前へと掲げる。
とりあえず目が合いましたしご挨拶をしましょう、右前足をすちゃっと上げておいす~。
「……これの世話ですか?」
これ!?
眉根を寄せてこちらをジト目で見てますよ、この人。
はい、明らかに歓迎されてませんね我。
ちなみにこれ呼ばわりと合わせてこっちを指差してくれちゃってます。 とりあえずあげたままの右前足でその指にハイタッチしとこう、ぷにっとな。
「ティセリナお嬢様が考えなしに生物を拾ってきたから面倒を見ろ、と?」
不機嫌な声音のメイドさん。
ハイタッチの反応? タッチした人差し指で右前足をぺちんされました、ぐすん。
てゆーかメイドさん、ナマモノとか酷くない?
「…まぁ、そうとも言いますね」
そしておじ様からのフォローはなし、まぁ実際どう考えても何か目的があって我を保護したとかじゃないもんねあのちみっこ。
見かけた、気に入った、拾った、の三拍子だったと思うし。
ファザーですら魅了するっぽい我の美兎っぷりは人間相手でも有効っぽいです、ふふり。
「と、言いますか」
メイドさんの右手が動き、我の首へと寄ってくる。 なんぞ?と思い目で追っていると首根っこを摘まれて持ち上げられました、ぷらーん。
復活後、ファザーにもやられたねこれ。 どうせ暴れても意味ない所まで一緒だろうし摘まれるに任せて脱力、余計な力が抜けると身体がうにょ~んと伸びる。
「これがティセリナお嬢様のドレス汚れの元凶ですよね?」
気付いたらメイドさんの我を見る目がジト目から絶対零度になっていた。
けど、ドレスを汚した? ………あっ。
そういえば我、今すっごい汚れてるんだった。
全身びしょ濡れ状態で地面に転がってたっぽいもんね、そりゃ泥に塗れもするよね。
で、あのちみっこはそんな泥んこ毛玉を抱きかかえていた訳で。
泥んこ毛玉の方も平然と為すがままに抱かれていた挙句膝上で惰眠を貪りまでした訳で。
…うん、そりゃ汚れもするよね。
「それはティセリナ様の責であってその方に非はありませんよ」
言いながらメイドさんの左腕を掴み、我を掌に乗せて支えるように誘導するおじ様。
うにょ~ん解除、やっぱり足裏が接地してる方が落ち着くね。
「勿論ティセリナお嬢様には後程お説教をするつもりです」
その後続けて 「三時間ほど」 、とぼそりと呟いたよこのメイドさん!?
お説教三時間とかどんな拷問なのさ、この人怖いです。
ところでさっきおじ様、この人をシェラって呼んでたよね?
その名前、確か野郎'sへのトドメになって膝から崩れ落ちさせてたよね?
そっかー、我この怖い人に洗われたり世話をされたりするわけか~。
……駄女神との再会、思ったより早く達成できそうdeathネ?




