22:我、ついに飢餓脱出!
ガタゴトガタゴト、車体を揺らして馬車は行く。
「~♪」
その車内には鼻歌交じりに上機嫌で座席に腰を下ろすちみっこと
「「・・・・・・。」」
そんなちみっことは対照的にしょぼくれて萎んだ、座席でなく床に正座するスキンヘッドと七三メガネ。
我? ちみっこの胸に抱かれてます。
ただおぜうさん、ちょ~っと腕の力を緩めて欲しいなーって我思うんですけども。
軽く身動ぎして抗議の意を示したら何故か更に抱きしめる力が強くなりました、むぎゅう。
ぎぶぎぶ、そんな強く抱き締められたら中身出ちゃうから。
「な、なぁお嬢。 さっきも言ったがそんなんでも一応魔物なんだから……」
「毛皮にも泥が付着していましたし衛生面で考えても……」
「ふ~んだっ」
おずおずと声をかけるもちみっこにそっぽを向かれ更に凹んで項垂れる野郎's。
哀愁を誘う光景ではあるけども散々な言われ様をされたのを忘れてはいませんですよ?
ざまみろとまでは思わないけど同情はしませぬ。
それ所じゃないし、我。
死因:幼女に抱き締められてとか笑えませんです。
いや、駄女神ならお腹抱えて大爆笑しそうだけども。
ってあ、ヤバい、割かし本気で潰れそう。
胃の中がほとんど空っぽだから締め殺されても吐くものがないのは救いなのかしら。
死んじゃうならせめて綺麗な姿で死にたいよね。
でも、嗚呼、お腹空いたなぁ。
せめて死ぬ前に、お腹いっぱい食べたかったなぁ。
ク~キュルル……。
oh....。
自覚した途端我のお腹の虫さんが自重を投げ捨ててくれやがられましたね。
「ラビさん、おなかすいてるの?」
「いや、お嬢、そんだけガリチビなら飢えてる事くらいすぐに……」
「ベンにきいてない」
わ~お一刀両断、スキンヘッドのおっちゃん崩れ落ちちゃった。
床に突っ伏してぴくりとも動きませんね、なむなむ成仏しなっせ。
ってあれ、いつの間にか我を拘束してた腕が解かれてる?
おや、なんだか我の体半回転させられた。
で、両脇の下になんか差し込まれてそのまま持ち上げられて~。
はい、ちみっことご対面。
こうやって文字通り面と向かい合ってみるとこのちみっこ、めっさ可愛いっていうか顔の造りがパねぇですね。
今はまだ幼い、が前面に来てるけど数年したら物凄い美人さん確定ですわ。
…は、いいんだけどもさ。
なんかこのちみっこ、偉く上等なおべべ着てません?
しかも頭にティアラが乗っかってますね?
我、とてーも嫌な予感がするのデスよ?
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名前:ティセリナ=ガオルーン
種族:ヒューマン(♀)
状態:正常
称号:ガオルーン帝国・第三皇女
Lv :3
HP :18/18
MP :32/32
筋力 :2
耐久 :2
敏捷 :4
魔力 :12
幸運 :6
【固有技能】
王の権能[魅]
【魔術】
水魔術
風魔術
聖魔術
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わぁい、なんだか厄介事さんの足音が聞こえてきたぞ~?
別にこの世界のヒトと関わるのは構わない、というか色々と知識を得る為にも必要不可欠であったと言っても差し支えない。
けど、だからって皇女はない。
我は平穏が好きなんです。
権力なんていう面倒極まりない事この上ないものと関わりたくなんてなかとです。
て、ゆーか皇女が魔物をペットにって外聞的にどうなの?
下手したらお城についたらポイしてきなさい言われるか問答無用で殺されるかの二択なんじゃないの?
うん、このまま進むとロクな結末を迎えられそうにない予感がビンビンする。
ここは勘に従ってさっさと逃げよう、幸い逃げる事に関してなら我はそれなりの……
「ラビさん、クッキーたべれる?」
自信が~……クッキーとな?
小首を傾げて問うたちみっこは我を膝に下ろし隣に置いてある小さな鞄をごそごそと漁り、やがて可愛らしい刺繍の入った巾着袋を取り出した。
「はい、どうぞ」
そう言ってちみっこが巾着袋から取り出したのは何らかの木の実を練り込んだ甘い香りを放つ焼き菓子。
紛う事なきクッキーであった。
……良く良く考えたら、ここで逃げても現在地も我のおうちの場所も分からない訳で。
闇雲に動いても野垂れ死ぬのがオチだよね?
それならこのまま流れに身を任せつつ情報を集めておうちの場所を探すのが正しいんじゃないカナ?
いざお城に着いてポイされるか殺されそうになったらその時に逃げてもきっと間に合うよね?
その為の体力を取り戻す為にもここは飢えを癒すべきなのです。
そう、これは決して欲望に負けた訳ではなく冷静な思考の元最善を追及した結果なのだ。
うん、自己弁護完了。
ではでは、手を合わせまして。
いただきま~す♪




