21:我、言語を理解する
兎様をおちょくったメールを送りつけてきた美人さんに脳内でラビ・ソバットをかましつつ周囲を見渡すがあるのは四方の木壁と敷き布。
ガチャチケ…じゃなかった黄金桃ってどこ?
多分食べたら魔眼生えてきたあの桃だよね?
右ー、左ー、前ー、後ー、下ー、上ー。
うん、どっちを向いても見当たりませぬ。
神経逆撫でメールに書き込んでおきながら送付忘れとかそういうオチ?
だとしたら我、ラビ・ソバットに続く必殺技第二段に開眼しちゃうよ?
必ず殺す、が実践できてないじゃんっていうツッコミはなしの方向で。
「ほら、ラビさんちゃんといきてたよっ」
エアジャンプあればラ○ダーキック再現できないかなー、などと考えていたらなんか物騒な言葉が降ってきました。
え、なに我死んでると思われてたの?
「こんだけガリのチビが白目剥いて倒れてりゃ普通死んだと思うでしょうがよ」
「辛うじて息はありましたが、状況的に時間の問題と判断しましたので」
ガリチビ言うなしっ!
そりゃあ確かにスライムさん以外ノーサンキューを貫いてたから常時飢えてたし兄弟姉妹ズの中じゃ一番ちみっこいけどもさっ。
だからと言って見ず知らずの赤の他人から言われる筋合いはないわっ!!
抗議の意を篭めて後ろ足をだんだんと踏み鳴らしつつれでぃ相手に無礼極まりない暴言を吐いてくださりやがった輩へと視線を飛ばすと……。
ピカッ。
目が、目がぁ~~~~っ!!?
視線を向けた先にいたのは40半ば位と思われるハg……げふんげふんスキンヘッドのおっちゃん。
で、我が目をやった瞬間に狙い澄ましたかのように窓から差し込んできた光がおっちゃんの頭部を直撃。
結果、我の目は見事光に焼かれ両目を前足で押さえて転げ回る羽目に、がっでむ。
「…どうやらあのラビに君の頭は眩し過ぎたようだね」
「ブッ殺すぞテメェっ!!?」
「ラビさん、だいじょうぶっ!?」
割と大丈夫じゃありません、暫くそっとしといてくだしあ。
後ろの♂二人、特にスキンヘッドさんの怒声とか耳に響いてきついです。
目が見えない分聴覚に意識がいっちゃうから洒落にならんとですよ。
…ちなみに心配してくれてるのは嬉しいけども割とすぐ傍で騒いでるおぜうさんの声も耳に優しくはございませんですことよ?
数分転げ回り、力尽きてへばりながら視力の回復を待つこと数分。
我、復・活!
…まぁ視力の代わりに耳がキーン鳴ってるんですけどもね、騒音の三重奏で。
視力回復待ちの間に状況を整理してみたけど、常時揺れてる感覚と時折聞こえる馬の嘶き、窓付きの壁に囲まれた空間から考えると馬車に乗ってるっぽい?
四方を覆う壁は多分木箱か何か?
纏めるとミヅチさんに吹き飛ばされて気絶していた我をおぜうさんが発見、保護して自分の乗っている馬車に収容、この肌触りのよろしい布を敷いた木箱に寝かせてくれてたって所かな?
で、未だにおぜうさんの後ろでハゲしく騒いでるおっちゃんとその片割れは我が死んでるor死ぬまで秒読みと考えていたけどおぜうさんは我が生きてると信じてくれていた、と。
なんだこのおぜうさん、女神か。
後ろの二人? 知らんです。
「ラビさん、うごかなくなっちゃった?」
思考に没頭していた我をそんな声が現実に呼び戻す。
けどおぜうさん、耳をつっつくのはやめて?
「お嬢、そんなんでも一応魔物なんですから迂闊に手ぇ出したら危ないですぜ」
そんなん!? 一応!?
「ラビの幼体ならまず危険はありませんよ、力も弱いですし牙も未発達ですからね。
ただどれだけ汚れているか分かったものではありませんからそちらの蛮族の言う通り迂闊に触れぬよう」
よ、よよよ汚れてねーしっ!
ファザー液が付着した時は巣穴にあった湧き水で体洗ってたしっ!
…そりゃ、今は濡れた状態で転がってたからちょっと汚れてるかもだけど。
「あ゛ぁ!? 誰が蛮族だテメェ」
「蛮族と言われてキレる人間がですよ」
この二人、仲が悪い?
いや、どっちかって言うとじゃれ合ってるのかな?
ハゲしく蛮族なおっちゃんは本気でぷっつんしてるっぽいけど。
片やスキンヘッドでがっつり筋肉武装、顔や腕に夥しい傷跡を付けたブレストアーマー装備のおっちゃん。
片や細身のっぽ、ピッチリ七三分けで眼鏡装備の目付きがあんまりよろしくないプレートアーマー装備のおっちゃん。
う~ん、対照的というかなんというか。
「もう、ふたりともうるさいっ」
あ、おぜうさんに怒られて二人とも萎んだ。
「いや、今のはハースの奴が……」
「怒鳴り散らしていたのはベンだけで……」
「いいわけしないのっ」
「「…ごめんなさい」」
うわ、ようじょつよい。
スキンヘッドさんを20代半ば→40代半ばに変更




