112:我のターンッ!
む~……。
コロンッ。
うな~……。
モゾモゾ。
うにょれりら~……。
ジタバタ。
………………………。
………………。
………。
アツゥイッ!!
我慢が限界を突破して強制起床、上半身のバネをフル稼働して跳ね起きる。
暑いってゆーかもう熱いの領域だねこれ、蒸し風呂ってれべるじゃねーですだよ。
(…むしろ、そんな状況下でよく今まで眠れていたものですね?)
あ、ルカたんおはよー。
("たん"言わないでください)
…ルカぴょん?
(泣いたり笑ったりできなくしてあげましょうか?)
ルカ、それ部下が主に向けちゃだめな視線だからね?
謝るから、ちょっとふざけてみただけだから、ちみっこのおちゃめだからっ!
だからそのどこからともなく取り出したなんかえらく禍々しいオーラを醸し出してるえらいこっちゃなデザインの毛抜きっぽいナニカはポイしちゃお、ねっ?
(次は問答無用でコレを使いますのでそのつもりで)
…うん、その右手に持った泡立て器で一体何をするのか非常に疑問だけど知りたくないから置いとくとして。
まず状況確認、なんか神属さんがこの国に攻めてきた。
で、我の飼い主のシェラさんが我をこのクローゼット内の隠し収納スペースっぽいところに放り込んだ。
周囲は真っ暗でしかも檻の中に入れられてるから転移もできなきゃ自力・DE・脱出もできやしない。
仕方がないから諦めてシェラさんが戻ってくるまで寝ていよーそーしよーで夢世界の住人になったものの熱さで目が覚めて今に至る、まる。
…うん、改めて考えてみたら独力じゃどうしようもない時点でどーしよーもなく詰んでるね。
ルカどんルカどん、戦争ってまだ続いてる風味?
(続いているも何もつい先程両軍が衝突したばかりですが?
マスター、寝付きだけは良かったですけど魘されてもがいて転げ回って、で正味一時間程度しか眠っていませんでしたし)
…あの、我けっこー汗だくで毛皮がしっとりしてるんですが?
不貞寝る前にライチっぽい果物で潤した喉がカラカラでついでにまたお腹の虫が大合唱中なんですが?
なのにまだ一時間しか経ってないとですか?
(はい)
…戦争ってさ、ふつーに考えて一時間とか二時間とかくらいで終わったりしないよね?
(国家間の戦争レベルでしたら数十日から数ヶ月単位でもおかしくないかと?)
…それが終結するまで我、このまま?
(あくまでも普通なら、であって今回の戦争がどれだけ続くのかは分かりませんが。
シェラ=フォーンの立場になって考えてみるなら、少なくとも危機が去るまでは出さないかと)
…我、ミイラ待ったなし?
(ラビミイラ、といったものは存在しませんね。
うまく乾物化できれば栄えある新種第一号になれますよ、良かったですねマスター)
良かねーでございますのことですザマスわよ?
仕方ない、とりあえずライチもどきで喉の渇きと飢えを~…って食べたらなんか汗が噴き出してきたーーっ!?
(蒸し風呂状態の密閉空間で水分を補給すれば当然かと?)
ルカせんせー、お風呂に入りたいです。。。。
(ではまず、ここから出ないといけませんね?)
詰んでーら。
またルシェルのところに厄介になる羽目になるのか~…ってよく考えたらルシェルに蘇らせて貰ってもまた即干からびてルシェル部屋送り?
(十数回繰り返す頃には立派なラビミイラにクラスチェンジできているかと?)
なりたくありませぬ。
どう考えても今までと違う意味でキャーキャー騒がれる未来しか見えないもん。
それどころかキャーキャー言われる前にこっちがギャーギャー悲鳴をあげながら逃げ回る羽目になりかねないもん。
動くラビの干物とかどー考えてもさーちあんどですとろ~い待ったなしよね。
ルシェルに頭を下げても……多分面白そうとかそんな理由で助けてくれないだろうなぁ。
むぅ~ん、どうしたものか……………………ん?
・・・・ねぇ、ルカさんや?
(なんですか?)
確かさ、ルカって実体化っぽいことできたよね?
(出来ますが?)
…もしかしてさ、ルカってばやろうと思えば我をここから出せちゃったりする?
(出来ますよ?)
……出してお願いへるぷみ~、って土下寝で頼んでたら助けてくれてたりした?
(その場合は踏み付けていたと思いますが、縋られれば応じていましたね)
………どーして、教えてくれなかったの?
(聞かれませんでしたから?)
…………そこはほら、命がぴんちだった訳だし、ね?
(残念、好感度が足りません)
あ、さいですか……。
数分後、無事隠しスペースから救出された我は眩しさに目を細めつつ大きく伸び~。 そして深呼吸、すーはーすーはー。
うん、熱の篭もってない新鮮な空気って美味しいっ。
とりあえず軽くおいっちに、おいっちにと体を動かして凝った体を解しまして。
でわでわ、早速水場を探して汗を流しに~…ってルカさんや、なじょして我の耳を掴んで持ち上げるとですか?
それ、微妙に痛いんですだよ?
「先程、警告した直後にも関わらずマスターは私の事を"ルカどん"などとふざけた呼び方で呼んで下さいましたよね?」
我を自分の顔の前まで持ち上げ、にっこり笑顔で小首をかしげながらルカが問うてくる。
ルカさんや、笑顔もその仕草も可愛いんだけども全身からなんかおどろおどろしいオーラが湧いちょりますよ?
「泣いたり笑ったりできなくする、そう警告した筈です」
おーけールカ者、時に落ち着け。
まずは話し合おうじゃないか、暴力は何も生まないんですだよ?
だからほら、ね?
その謎ぱわーで浮き上がらせてる泡立て器と菜箸と毛抜きっぽいナニカはしまって、とりあえず対話をしようじゃございませぬか?
「問答無用、と言いました」
ギャー、ラビ殺し~~っ!!
やめてよして触らないd……あ゜~~~~~っ!!?!?




