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続RPG~召喚から始まる魔王生活~  作者: 柊雪葵
第二幕 エルフ族と結界修復
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第七章「招かれざる」5

 翌朝、俺とリリィはリアに見送られ、エルフの集落へ向かうことにした。

 リアの機転通り、ポイントへの移動は不発に終わっている。

 やはり偶然にも正成(まさなり)の存在を忘れていたことは、回り回って正解だったようだ。



「我の記憶の欠片よ。時を紡ぎ我をかの地に誘い賜え──ワーティ!」



 そして身体が光に包まれる。

 辿り着いたのはエルフの集落僻地。

 人気のないところで待っていたのは正成だった。



「待っていたでござる」



「悪いな、1人置き去りにしてしまって」



「構わないでござる。三厳(みつよし)殿の考え通り──村の移動拠点は既に警戒網が張られていて、そこに移動していたら大惨事だったでござる」



 警戒網?

 どういうことだ──

 そう聞こうとしたとき、青ざめた様子のリリィが視界の端に映った。



「私は帰りますね──」



「いや、待てよ」



 俺は今にも逃げ出しそうなリリィの腕を掴む。

 挙動不審な彼女をこのまま連れていくべきかどうか迷いはするが、まずは話を聞かないことには行動もできないだろう。



「あの、マスター……ど、どうかしましたか?」



「どうしたって聞きたいのはこっちの方だ」



「…………」



「喋りたくないか?」



「──たくないです」



 おそらく話したくないと言ったのだろうが、最初の方が口ごもっていてよく聞き取れなかった。

 とりあえず無理強いするわけにもいかないから俺はその華奢な腕を離す。



 すると今まで逃げようとしていたリリィが踵を返して抱き付いてきた。



「マスターに嫌われたくないです」



「嫌われるようなことをしたの?」



 リリィはただただ震えるばかりで何も話そうとしない。

 幼児化してしまったリリィが落ち着くまで頭を撫でること数分。

 ようやくリリィが口を開いた。



「何から話したらいいのか分かりませんが……」



「いいよ。時間はまだ大丈夫だから」



 そう口にしてはいるが、あまり猶予があるわけではない。

 できることならば今日の内に結界修復に取りかかりたいところだ。

 フランと直接話をできていない以上、修復にどれだけかかるか分からないからな……



「昔私は魔力を暴走させてこの集落を半壊させました」



「それで封印がされていたわけか」



 その問いかけにリリィは静かに頷く。

 確かに集落を半壊させていれば、再度戻ってきた時に警戒されているのは当然のこと。

 そしておそらくそれがリリィがこの集落を抜けた理由に繋がっているのだろう。



「そのきっかけになったのが、姉との確執です。私は姉の魔力を奪ってしまいました。それで魔力が暴走して……」



「状況は分かったからもういいぞ」



 今にも泣き出しそうなリリィを抱きしめる。

 状況はある程度分かってきた。



「状況はつかめたとして、これからどうするでござるか?」



「そうだな。そういうことならリリィを連れていってわだかまりをとくしかないだろ」



「そうは言っても簡単にはいかないでござる」



「それでダメなら実力行使だな」



「…………えっ!?」



「リリィさんはそれが嫌ならがんばってください」



「……はい。分かりました」



 リリィも渋々ながら了承する。

 さて、後はどうやって話をできる状況に持っていくかだが……



「三厳殿、どうやら見つかってしまったようでござる」



「数は?」



「3時の方角におよそ20。逃げるでござるか?」



 こちらの居場所がバレている以上、逃げるのは得策ではないだろう。

 一方向からしか向かってきていないということは、おそらく反対側に誘い出そうとしているはずだ。



 俺と正成だけならば隠れるという手段も使えるが、リリィがいる以上それもままならない。

 そうなると真っ正面から迎え撃つしかないのか……



「苦肉の策だが、正面から迎える。正成は姿を隠して待機。リリィは念のために防御魔法を展開していてくれ」



「了解でござる」



「分かりました。マスターは私の命にかけても守り抜きます」



 足音が俺の耳にも届き始める。

 それとほぼ同時にエルフの集団が姿を現した。



「あれだけ言ったにも関わらず、のこのこやって来るとは思わなかったわ。あの日の怨み、今日ここで晴らされてもらうわ!」



 その中心に立つエルフ娘──シャーリィはそう吐き捨てると両手を前に突き出す。

 そしてその掌から火の玉が放たれた。



「バリークシード!」



 しかしそれが俺たちの元へと届くことはない。

 詠唱もしていない魔法が、リリィの展開した魔法防壁を破ることはさすがになかった。



「ふっ、次は本気でいくわ! 全員、一斉放射っ!」



 今度はエルフ総出で攻撃が繰り出される。

 こちらの反撃を警戒してか、またも詠唱はなかったが、それでも質よりも量を選んだ攻撃。

 絶妙な間隔で放たれた無数の火の玉は互いに干渉し合うことなくこちらへ向かって飛んできた。



「このレベルなら問題はありません」



 しかしリリィの表情が曇ることはなかった。

 新たにバリークシードを唱えることもなくその攻撃に備える。

 そして赤子を捻るかのように、火の玉は無惨にも消失してしまった。



「リリィ、前に出るから援護を頼む」



「はい!」



 さすがに相手の攻撃を防いでいるだけでは埒があかないので前に出ることにしたが、前に出てどうするかまでは決めていない。

 まあ、月詠(つきよみ)のローブとバリークシードの守護があれば死ぬことはないし行き当たりばったりでも問題はないだろうけどな。



「関係のない人間は巻き込みたくなかったけど、攻めてくるなら仕方がないわ。標的をあの男に変更!」



 そして俺と火の玉が交錯した。

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