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のどかな町 ラピアス(1)

「……そういえば、ルーディーさんも先生もあの野郎も名前で呼びやがったな」


 汽車の中、物思いにふけっていたリセはふとそんな事を思い出す。その時はバタバタしていたり、久々の仕事に張り切っていたから分からなかったが。彼は名前で呼ばれる事を苦手としている。名前が女の子のような名前だからだ。

 だからリセ自身は自分の事を名字か“ディー”と呼んで貰うように言っているのだが、小さな子供や親しい間柄の者、彼自身を皮肉る人間はそれを聞かない。“リセ”と呼ばれる度に、すぐに名前を訂正しろとムキになるが、それでも取り合ってくれない事がリセの悩みの一つでもある。


「帰ったら言わないと、な……それにしても……」


 依頼の紙を見ながらリセはまた溜息を吐いた。そこに書かれているのは報酬や場所の事だけではない。リセがこれから“解放する”人間の事も書かれていたのだ。


「僕とそんなに違わない歳の男じゃないか……もしこれが神の気まぐれでの発動だったら、ふざけすぎている」



 この世界の神様は人間が大嫌いで、全ての人間に呪いを授けた。その呪いは神様がきまぐれを起こした時であったり、虚弱体質だったりした時に発動される。つまりは呪いが発動しないままその生涯を終える者も多い。

 しかし運悪く発動したら最後、一年以内に死が訪れる。前触れもなく突然影が消え、一日で三ヶ月の寿命が奪われる。たまに高熱にうなされる事もあるが、それ以外は無害である。だが余命が三ヶ月の人間は即死となってしまう。

 またどんなに寿命が長くても、一年で奪われる寿命は約九十一年。安心は出来ない。

 呪いは医者には解く事は出来ず、その呪いを解く事が出来るのは“解放者”と呼ばれる者のみ。彼らは呪いを取り除く手を持っている。自身が少しは退屈しないように、と同じ神様が一部の人間に与えた能力である。

 しかし解放者が自分で自分の呪いを取り除く事も出来ない。呪いが発動した本人の残り寿命も分からないから、発動者が同じ場所に三人以上いた場合の優先順位も決められない。(呪いを解く事が出来るのは一日に二人である)

 更には発動前の呪いを取り除く事も出来ないし、解放の能力を持っているからと言って自身の呪いが発動しない訳でもない。だから万能な能力ではないのだ。



(頼むから、残り寿命が二年以内って冗談はやめてくれよ)


 変わる変わる景色を眺めながら、リセはゆっくり目を閉じた。


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