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宝物の思い出

レイチェルは、窓の向こうから、帰っていくティーナとルシアーノの姿を見送っていた。



そうしながら物思いに耽っていると、昔のことを思い出す。




「レイチェル、この人は、お父さんが気に入っているガラス工芸の職人さんだよ」


小さいころ、レイチェルは屋敷に招待されたルシアーノと出会った。


背筋を伸ばし、口元を引き結んで、鋭いまなざしをしたルシアーノはまだ若く、ルシアーノの前の机の上には、『氷の上で踊る女性』の彫像があった。 



美しい彫像と、それを作った堅物な職人。 


レイチェルは一目で、ルシアーノになにか他の人と違うものを感じた。


「(なんて綺麗な人なの)」



「レイチェル、隅にいないで、ルシアーノさんにご挨拶しなさい」



レイチェルはもじもじと前に出た。


「君が、レイチェルか」

「は、はい」


「俺の作品を気に入ってくれたら、俺も嬉しいよ」



ルシアーノはそう言って、レイチェルと握手をする。


レイチェルは、その硬い手のひらの温もりをいつまでも大切にしたいと思った。





「(もう、あの温もりは別の人のものになるのね)」


レイチェルは窓に頭をつけた。


ルシアーノが幌馬車に乗り込んでいくところで、レイチェルの目に涙がこみ上げてきた。


抑えようとしても、抑えきれず、涙が一粒、目から溢れる。


けれど、それは誰にも気づかれなかった。


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