レイチェルの来訪
「ルシアーノさん、起きてくださーい」
と、台所から、2階の寝室へ上がってきたティーナが、まだ眠っているルシアーノを起こしに行く。
ルシアーノは布団の中で仏頂面でまどろんでいる。
「ん、まだ、、、眠い」
「もう9時過ぎてますよ?寝坊助さんですねぇ」
ルシアーノは突然、ティーナの腕をぐっと引っ張り、布団の中へティーナを招き入れた。
「お前が、キスしてくれたら起きるかもしれないな」
「え?!ちょちょ、どういうことですかっ!」
ティーナはジタバタと暴れるが、ルシアーノは手をがっちり掴み、逃げ場を無くさせている。
「ほら、早くしろ」
「も、もう、、、」
ティーナが頬に触れるキスをすると、ルシアーノがため息をつき、ティーナの腕を離してやった。
「くく。恋人がキスをするのくらい当然だろ?」
「ルシアーノさん、なにか変なものでも食べましたか?」
ティーナがじとっと見つめると、ルシアーノは眉をひそめる。
「俺は変なものなど食べていない。食べてるのはお前の作る料理だけだろ」
「え、なんかひどい言い方〜。ルシアーノさん、私の料理が変なものって言ってます?」
「言ってないだろ!」
と、痴話喧嘩をしながら、ルシアーノとティーナは階段を降りていった。
「ふぁーあ。今日の依頼品は、病院に飾る、動物の置物だったか」
「はい!小児科だから、子供が喜ぶようなかわいいものにしてくれって言っていましたよね?」
「最近、そういう依頼が増えたな。かわいいものとか、愛らしいものとか、ほほえましいものとか」
と、ルシアーノがリビングの床に足をついた。
「(ふふふふ)」
と、ティーナは内心で微笑む。
「なんだ?お前、なに笑っている」
「いえいえ」
2人が談笑していると、突然、玄関のドアがばん!と開いた。
「失礼いたします」
現れたのは、肩までの黒髪をくるくると巻き、白いドレスワンピースに身を包んだ女性だった。
女性は眉毛が凛々しく、綺麗めの美人だ。
「え、あ、ドアが?!」
「ドアなら弁償いたします」
きっ!という目を向けて、その女性はティーナの方を見る。
ティーナが怯えると、女性はルシアーノへ視線を向けた。
「ルシアーノ様、お会いしたかったです」
「レイチェル、、、」
と、ルシアーノはこめかみをそっと片手でもんだ。




