白い揺りかご
奇病患者達は、「白い揺りかご」と呼ばれる病棟に収容される。そこで、ドクターとシスターは、子供たちを看病する。治療はしない。患者の奇病に適応する薬を投与し、進行を遅らせることしか出来ないのだ。
真弥ノ島。それは、二百人程の小さな島。ここの揺りかごには、十五人程の患者が収容されている。
現在いるドクターシスターは…なんとたった二人。
二人だけじゃ到底足りず、ドクターシスター二人を募集しているとの事だった。
胸が高ぶる。反面、不安も勿論あった。ドクターに相応しくないと言われていた俺が、奇病患者に寄り添えるだろうか。逃げ出したりなどしないだろうか。…けれど、心に決めた事がある。
「闇斗の思いを、俺が継ぐ。立派なドクターとして、奇病患者の父として。」
合否確認日、あいつに言おうとしていた言葉だ。
これからは、この決意を胸にドクターを務めるつもりだ。
移動当日、その日は雲ひとつない快晴だった。空気が澄んでいて、何もかも美しく見えた。島にある揺りかご。それは今日の天気よりも、白くて美しいと聞く。
「あっ!金城さん!おはようございます!」
甲高い声が耳を貫く。そこには、シスター煤木がいた。
「おはようございます、シスター煤木。」
「今日から初勤務ですね。昨日から緊張で、眠れなかったです…。」
「俺も、です。」
奇病。子供。死。これから、俺のドクターとしての物語が始まる。
すみません、次回からドクターとしての仕事を展開します…