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22.国民

ローレがホワイトハッカーだと分かった、三日後。リリアとカクは、リパーチア国、王宮の近くの主に貴族や高い位の人達が集まる街に来ていた。


「わぁ、高そうな服着てる人がいっぱい居る………」

「今度リリアにもプレゼントするね。」


今日はカクに話がある。と言われて緊張状態である。


(うーん、別れ話って雰囲気じゃないし…………てか第一からして、本当に付き合ってるんだよね…………実感がわかない…………)


「リリア。」

「は、はい!」

「あそこ。座ろうか。」


座ったのは、少しお高そうなカフェの屋外席だった。ふと、テーブルに置いてある、メニューを見てみる。書いてあったオムライスの値段は、普通のカフェの十倍近くする物だった。


「何か食べる?」

「あ、えっとお恥ずかしながら、お金をあまり持ってなくて…………」

「ん?あぁ。大丈夫だよ、俺が払うから。」


申し訳ないですよ。とばかりに両手をぶんぶんと振る。まぁまぁ。と、メニューを手に持たされた。


「うーん。じゃあ、お言葉に甘えて…………オムライスを……卵はトロトロより、ちょっと焼きすぎぐらいが…………」

「…………………ぷっ」

「え、ど、どうしましたか?」


急に吹き出したカクを見て、リリアは困惑してしまった。そのことを訪ねると、カクは笑いながら答えてくれた。


「ごめんごめん。いや、変わってないなぁ。って思って」

「変わってない?」

「そう。リリアは、記憶喪失前から、卵は焼きすぎぐらい。っていつも言ってたから。」


(記憶喪失前…………そうなんだ。じゃあ、何回か来たことあるのかな…………あれ?なんかここ覚えているような……それはないか)


「…………ねぇねぇ。なんか周りの人からの視線が、気のせいですかね?」

「あーー。多分当たってると思う。実は……」


そういうとカクは、ぽつりぽつりと話し始めた。


「リリアが記憶喪失前、婚約してたって聞いたでしょ?」

「はい。」

「ちょうど記憶喪失になった日に、リパーチア国王宮、つまり僕の家に、婚約破棄の書類と、手紙が送られてきたんだよ。」

「えぇ!?も、もしかして私が?」


リリアの顔に血の気が無くなってくる。その様子を見てカクは慌てて、訂正を入れた。


「いや、手紙の文字がリリアのじゃなかったし、手紙が送られてきた日、ビックリして、スノウ・クロック国まで行ったんだけど、その時既に記憶喪失になってたから。リリアじゃない誰かが手紙を送ったってことになる。」

「そう、ですか…………」




一通り喋った後、カクは、ちょうど、リリアのオムライスと一緒に来たコーヒーを一口飲んだ。


「それでね?」

「はい。」

「えーーーっと。話してないんだよね。婚約破棄のこと、国民たちに。」

「えぇ!?」


大声を出すとカクは自分の口を人差し指で押さえて、「静かにっ!」と言った。慌てて口を手で覆う。


「そそ、それは言った方が、良いんじゃ…………」

「うっ、そ、そうだけど………まぁとにかく。だから。国民達からの、今の僕たちのイメージは……」


三秒ほど間をおいた後に、小さな声で言った。



「婚約したのに、二人で街にそんな出たこと無い、神隠し夫婦。になってる。」

「ほぉ………」

「で、今二人で初めて街に出たから、みんなに注目されてると。言うことなんです。」

「へぇーー」


◆◇◆


その話の後、オムライスとコーヒーを食べ終わった二人は。誰も居ない噴水広場に、場所を移した。


「そういえば、話って?」

「あぁ。えっと」


一瞬、時が止まった気がした。


「家に、住まない?」

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