21.お客様
「スシャルの歌聴いたらカクなんか、すぐ乗り換えるだろ~」
「うるせぇ、俺はリリア一筋だ。」
「カ、カク……………もうやめ…う~~~」
張り合いは五分ほど続いた後、扉がガチャリと音を立てて開いた。
「お嬢様、ただいま戻りま……………どういう状況ですか?」
「マリア!ちょっと、助け………恥ずかしすぎて、倒れるからぁ」
「承知しました。えーカク様、レオ様。」
マリアが呼ぶと二人は振り向いた。長く討論したせいか、少し息が切れている。
「リリア様スシャル様もどっちも可愛すぎて、決着が付かないので、一人ずつ話してください。私が判定します!」
「ちょ、ちょっとマリア!?」
マリアは本当にそうしようか迷ったが、流石に泣きそうな主人を見てしまったら、可哀想なので止めておく。
「と思いましたがその話し合いの中心に泣かれてしまっては意味がありません。また今度にしましょう。」
「あ、うん。しょうがないね。」
「そういえば、マリアさん。お客様は誰だったの?」
「あ、忘れてました。入ってきて良いですよー」
寝室の入り口から入ってきたのは、鮮やかな赤髪を、三つ編みにした女性。ローレ・タニカトリだった。
「こんにちは、リリアちゃん。それに皆様も。」
「ローレさん!?なんでこんな、真夜中に…………」
挨拶をした後、ローレは頭を下げて、丁寧に挨拶をした。
「リリア。こちらの人は?」
カクが話しかけてくる。リリアは薬屋の常連さんである事を教えた。
「ごめんなさい。こんな真夜中に…………ちょっとここにいる全員に話があるの。」
「お話……………ですか?」
「はい。マリアさんから、お電話をいただきまして、ちょっと玄関で話していたんですが…………サリス製薬で、データ関連の事とかは、私も協力できると思いまして。」
(コンピューター?何でだろう?)
リリアは、それをなぜローレに話したのか分からず、マリアの方を見てみる。その視線に気付いたマリアは、ローレの肩をちょんちょん。と叩いた。すると、ローレは大事なことを話し忘れていた。と口を開いた。
「あ、すいません忘れてました。私、国家警察の、ハッカー課で、ホワイトハッカーをやっています。」
「ホワイトハッカー………とは?」
「あ。そこからですか。ホワイトハッカーって言うのは、まぁ、悪いハッカーを調べたり、捕まえたりする、ハッカーの事です。」
分かったような、分かってないような感じだが、リリアは分かったことにした。すると途端に、カクとレオが身を乗り出して質問攻めにした。
「ローレ。ホワイトハッカーって、え!?あのローレさん?!」
「あの、デジタルの番人って言われてる!?」
「えっと、変なあだ名ですが、たぶん合ってると思います……………」
マリアはローレさんが困っていますとばかりに、二人を椅子に座らせようとしている。
「っはい!お二人が言っているように。ローレさんは一人で、百人ほどの実力があるといわれている、スノウ・クロック国の誇る、御方です。」
話の展開に追いつけていないリリアをよそに、レオとカクは興奮を隠し切れていなかった。
ホワイトハッカー。気になる人は調べてみてください!
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