16.同じ所で見上げてる
不定期投稿で申し訳ありませんどうにか頑張ります(;_;)。楽しんでください!
「ほ、本当にこれで良いかなぁ?変じゃない?」
「変じゃありません!何回言うんですか!?」
買ったお揃いのイヤリングは明日、また呼び出されたパーティーで渡すことにしたらしい。
(カクに似合うとは思うんだけど、喜んでくれるかな…………)
そう思うと自然と眉毛が下がって心配そうな顔になってしまう。と、突然美味しそうな香りが漂う。リリアはその匂いでパッと顔を上げる。
(あれは…………!)
「マリア!たこ焼きよ!」
「えっと、日本という国の食べ物でしたっけ。」
「そうなのよ!とっても美味しくてね!食べてもいい!?」
「……良いですよ。では、買いに行きましょうか。」
喜びながら屋台へ向かう。一ヶ月前、たこ焼きの屋台がお祭りで出ていたのを見つけたリリアは、たこ焼きを食べることになったのだが、それが美味しくリリアの初の好きな食べ物なのだ。
(自分がなにを好きだったか覚えていなかったから、好きな食べ物が出来て嬉しいのよね)
「いらっしゃいませ!」
「八個入り、一つお願いします」
「あいよ!」
たこ焼きがパックの中に詰められていく。ヨダレが垂れそうになるのを必死に我慢してまるで『待て』と言われた子犬のようである。
「こちら、八個入りで七百五十円です!」
財布からお金を出そうとすると、横からお金を差し出される。
「これで。」
覚えのある声が聞こえ、リリアは思わずそちらに目をやる。
「カクっ………!?」
◆◇◆
「奢っていただいてありがとうございます。」
「いえいえ。俺が勝手にやったことなので。」
人気の少ない公園に足を運ぶ。この季節はとても寒く吐息も白くなっている。近くにあったベンチに座って、たこ焼きを食べる。サクサクフワフワの食感はとても癖になる。
「カクはたこやき、好きですか?」
「俺、たこ焼き食べたこと無いんですよ。でも、美味しそうですね。」
「はい!とても美味しいですよ!…………あ、そうだ!」
「?」
つまようじで、たこ焼きを一つ刺して、カクの前に差し出す。
「どうぞ!食べてください!」
「!?えと、じゃ、じゃあお言葉に甘えて………………」
大きな口で一口で食べてしまった。
(ん!?てっきり手に取ってから食べるものかと……………)
予想外の出来事にリリアの顔は真っ赤っかになっていく。
「すっ………すみません。」
「い、いえこちらこそ。」
それを見たカクも真っ赤になっていく。恥ずかしい、でもどこか、心地よい沈黙の中でリリアは考えた。
(これ、プレゼント渡すのに、ちょうど良いタイミングじゃないかしら?…………よしっ!)
『「あのっ!」』
二人の声は同時に重なった。また恥ずかしくなるが。勇気を持って、声を出す。
「あっ、お先どうぞ…………」
「ありがとうございます。では、リリアにコレを渡したくて」
ポッケの中から二つの物を取り出す。
「これは、ブレスレット?」
「はい。今日購入した物なんですが、リリアへのプレゼントにと思いまして、いやなら付けなくても良いんですけど!」
そんなことを言っているカクをよそに、ブレスレットを手首にはめてみる。緑色の宝石、エメラルドが月の光に反射してキラキラと光っている。
「綺麗ですね。これを私に?」
「はい。お揃いで!喜んでくれますか?」
「勿論です!ありがとうございます!記憶喪失以来初めてのプレゼント!じゃあ、私からも、」
リリアもポッケからイヤリングを取り出す。
「!……………」
「私からもお揃いです!安物ですし、私の方こそ捨ててくれたって、」
「いえ、絶対捨てませんよ!嬉しいです!でも良いんですか?好きな人が居るんじゃ…………」
「…………え?」
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