14.それぞれの行く先
ここ最近、投稿できてなくてすいません!
頑張ります…………
「はぁーー」
(リリアが、恋……バナ?まさか好きな人が居るとか!?嘘だ嘘だ、そんなん俺、生きていけないよぉ、で、でも、おでここっつんしちゃったし、可愛かったーー)
カクは城に帰る途中で盛大に溜め息を付いている。でも嬉しそうな顔になる。隣にいた従者、トア・スピンはその繰り返しの主人の様子を見て声を掛ける。
「リリア様と何かあったんですか?カク様。」
「スピン………心配してくれたのか?」
「いえ一応、業務中ですので。」
潔く話す。カクは更にデカい溜め息を付いた。
「はぁぁ~~~~、業務中じゃなきゃ心配してくれないの?」
「はい。どうせ何かの思い違いでしょうから。カク様は、思いこみが激しいことがありますからね。」
「今回は本当にヤバいの!」
「いや、今回は、って認めましたね。」
周囲の人が乙女のような目を向ける。カクは元よりかなり美形ではあるのだ。サラサラの黒髪に、珍しい赤と紫のオッドアイである。歩くたび周りからは賞賛の声が挙げられる。大体は丁寧にお辞儀をするのだが、律儀な彼も今日はそう行かないらしい。
「かくかくしかじかで。」
「ほう、リリア様が別の人を好きになった可能性があると。……………無いですね。」
「そんな即答なんてぇ、てか何でそう決めつけるのさ。じゃあマリアさんが浮気しても良いんだぁ。」
スピンにビシッと指をさす。その手をガシッと掴まれる。
「ひぇっ」
「マリアが浮気なんてするはず無いじゃないですか。それとも、マリアがそんな子に見えると?本気で言ってるのでしたら……」
「怖い怖い!冗談だよ、マリアさんはそんな性格じゃないもんね。アハハ………」
「分かってるなら良いんです。」
(そう言えば忘れてた。スピン、ヤンデレだった。浮気とか二度と言わないようにしよう。)
そう胸に誓ったのだった。
(だとして、結局リリアの件、終わってなくね?)
「あ、少しだけこの近くにある街へ行っても良い?」
「仕事がまだ残っているんですが?」
「まぁまぁ。帰ったらちゃんとやるから。リリアにプレゼントをあげたいんだよね。」
「………………分かりました。」
心の中でガッツポーズをしたカクであった。
◆◇◆
「おでここっつんしちゃったぁぁ!」
「はい、これで椅子から立ち上がるの、四十回に到達しました。おめでとうございます。」
「嬉しくないわ。」
パチパチと拍手をしてくる。それに思わずツッコむ。
「でも、お嬢様。いい加減、予算書をまとめてください。もう閉店してから三時間も経ちましたよ。来月もヤバいんでしょう。」
「え。えぇやばいのよ。来月使える予算が八千円ほどしかないわ。」
再び椅子に座り直し、ヤバいといった様子でマリアを見据える。
「本当にヤバいじゃないですか。薬草すら仕入れられないですよ。」
「本当、胃が痛くなってくるわ。近くで取れる薬草は良いとして。ネリハミ草やタスーケマ生薬の仕入れが問題ね。」
利益の八割は国王の所へ渡さなくてはならない契約であるため、経営も非常に厳しい状態なのである。
「常に監視もいるし。外に出るたび矢を放ってくるから、避けるの大変なのよね。」
「でも、受け止めきれるようになりましたし。成長しましたよ。」
(カクと出会った日も矢を飛ばしてきたのよね、あれ?そう言えば。)
「でも、なんか最近見なくなったわよね。どこに行ったのかしら。」
「さぁ?分かりませんね。」
他でもない。カクが監視達を消した本人である。
「少し気分転換がしたいのだけれど、街の方に行ってきても良いかしら。」
「お供いたします。」
軽く身だしなみを整えて、薄く化粧をし、街へ出掛ける。
(街へ行くのは、この前のパーティー振りね。ちょっと楽しみかも。)
「ついでに、カクへのプレゼントも買って良い?!」
「予算の事考えてくださいね。」
「う、うん………じゃあ買えないか。」
シュンとヘコんでいると、マリアが渋々許してくれた。
「………はぁー…分かりました。三百円までですよ。」
「うん!ありがとう!」
薬草の名前を考えるのが地味に大変です、
★★★★★、ブクマ、レビュー、いいねも、お願いします。やる気UPになります!




