12.会いたかった (カク視点)
投稿遅れてすみません。
カク視点、楽しんで見てください!
(あーーーー泣き顔も可愛かったなーー。ってだめだめ)
ぶんぶんと頭を振って思想を消す。
(泣き顔が可愛かったとか全然思ってない。あ、そういえば、まず仲良くなるため、呼び捨てで呼んでもらえってスピンが言ってたな。)
「あの、カク様」
(い、今言っちゃえ!)
「あ、その前に、」
「?」
「カクって呼んでくれませんか?」
「へあっ!?い、良いですよ?!」
(ビックリしてる、申し訳ないような……………でもok貰えたし。)
「じゃあ、えっとカク。」
(ちょっと恥ずかしがってるのも可愛い。)
「なんですか?」
「記憶喪失のこと何で知ってたんですか?」
(えと、婚約者って事話した方がいいのかな、でも無理やり思い出させるのは駄目って言うし。)
「あぁそのことですね。実は僕、記憶喪失前のリリア様と仲が良かったんですよ。」
「え!そうだったんですか?なるほど。だからなんですね。記憶喪失前の私とは、お友達だったんですか?」
「はい、お友達みたいなものでした。」
(みたいな、だけど。早く結婚したいな。)
「へー!それは早く記憶を取り戻したいです!」
(うん、僕も早く取り戻してほしい。)
「よかったら、記憶を戻すお手伝い、しますよ!」
「ふふっ。ありがとうございます。」
◇◆◇
パーティーが終わった後、リリアとカクは馬車に乗ろうとしていた。
「あの。やっぱり歩いて帰りますよ。お馬さんが風邪を引いてしまいます。」
「なにいってるんですか。あなただって風邪が治ったばかりでしょう。あなたの体の方が心配です。」
(馬のことお馬さんって言ってるのかわいい)
率直な感想を頭の中で述べながらリリアのことを見ている。それに気付くとリリアは少し頬を染めた。
「そうですか……ありがとうございます。」
「はい。マリアさんの方も、別の馬車で送りますからね。」
(かわいい。めっちゃかわいい。)
「本当にありがとうございます。馬車なんて久々に馬車なんて乗ります。懐かしいですね………………………あの、ジロジロと見られると恥ずかしいです…………」
(まつげとか長いし、目の色とかもう夜空みたいだし、薄く塗られたリップとか、恐ろしいほど似合ってるし。………………ん?久々?)
「あ、すいません。あまりにも可愛かったので。」
「かわいっ!?…………ソ、ソウナンデスカ。」
「ほら。もう可愛い。顔真っ赤ですよ。ところで、最後に馬車に乗ったのはいつなんですか?」
久々というワードが気になり聞いてみる。
「え、えと記憶を失う前なので、五ヶ月前程かと。」
「五ヶ月前!?それは辛かったですね。」
「いえ、もう慣れているので。」
外の雨の音に、辛い何かを隠した少女は笑っている。
(今出来る、最低限のことは)
一瞬の判断だった。咄嗟にカクは席を立って、リリアの手を握った。
「えっ………………」
「俺はあなたの苦労を知っています!リリアが溜め込む必要はありません。良いですか!あなたは俺が救います!」
(絶対。)
無意識に一人称が変わっている。ふと気付くと恥ずかしくなってくる。
「…………………すいません。一人で盛り上がってしまって。」
(とりあえず元気になってほしくて、失敗した。記憶が戻らない間は、さんか様付けで呼ぶって決めてたのに。)
「いえ、ありがとうございます。次はカク様がお顔を赤くする番ですね。」
「ふ、あはは。そのようです。よかったらこれからもリリアと呼んでも?」
「もちろんです。」
◇◆◇
「はぁ~~、めっっちゃかわいかった!三ヶ月七日と十八時間ぶりのリリアめっちゃかわいかった!」
(あの泣き顔と笑ってる顔は国宝級じゃないか。あ~早く記憶戻って俺が婚約者って事思い出さないかな。)
「何回言うんだよ、流石に飽きたぞ。」
久々に婚約者に会いに行った事の惚気を話すカク、それを聞き流すことに限界がきたスピン。執務室で、ある言い争いが行われていた。
「でも、溜めてた物もあるっぽいし、吐き出させてあげなきゃ。」
「はいはいそれも聞きました。」
惚気を聞いてくれる存在が居なくなると困るといった様子で顔をしかめる。
「えーじゃあ、マリアさんの方は………………」
「まじで女神でした!照れた顔めっっちゃかわいかった!キスもしちゃったし、国宝レベルでした!」
「同じ事思ってるやん!」
これには思わずカクもツッコんでしまう。
「うぅ、こほん。えーとリリア様の記憶喪失に関して、調査が終わりましたよ。」
「……………で、どうだった?」
場の空気が深刻な物に変わった。先日カクが頼んでいた調査についてだ。
「聞き込み調査について何ですがちょっと大きな手掛かりがゲットできまして、」
こそこそと内緒話をするように喋る。
「…………という証言が出てきまして、」
「ふむ、よし詳しく調べろ。」
「了解!あれそう言えばさ、リリア様が風邪引いて倒れた後ってどうだったんでしたっけ。」
「そのこと?なんか矢飛ばしてきた奴を、八つ裂きにして………………」
「ちょちょちょっとまて!マジで八つ裂きにしたの!?」
「え、うん剣でさくっと。」
「いやいや、さくっとで済ませられる問題じゃないからな!?」
スピンは大声で喚くと、手慣れた様子でカクは耳を塞ぐ。
「いや、本気で八つ裂きにした訳ないじゃないか。」
「そ、そうだよな!いやー安心し………」
「ちゃんと事情聴取をしてから、八つ裂きにした」
手に顎をおいて真剣そうに呟く。
「いや、変わってねぇよ!」
スピンは机をダンと叩く。同時にロウソクと本棚が揺れて、分厚い歴史書が数冊落ちた。拍子に、一冊の本が開いた。
「おい、気を付けろ。本が落ちたじゃねぇか。ん?これは。」
「お前本当、リリア様の前と態度違うよな~~」
「うるせ。おい、この資料知ってるか?」
開いていたページをスピンの前に差し出す。少し考え込んでいたが、数秒後口を開いた。
「んーー分かんねぇけど、やってみる価値はあるんじゃないか?」
「あぁ。準備よろしくな。」
「結局俺任せかい!」
ちょっと長くなりました。
カクがリリアの事となるとテンパる感じが好きです。
★★★★★、ブクマ、レビュー、お願いします。やる気UPになります。




