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取り合い。_一体何の?  作者: 佐々木琴
3/3

記録:とある出版社に送られた原稿

今回私が貴社にこの文を送らせていただいたのは、近年の宇宙事情による子供への影響に大変な危機感を感じたからであります。


 ここ10数年、我が地球と隣の星である***星は極めて厳しい少子化問題に悩まされております。地球では全世界合わせても未成年の子供の数は100人をきる勢いであり、***星もほぼ同じような状況と考えられます。

そして皆様ご存じのとおり、そのことによって、とある重大な事件が引き起こされました。

そうです。***星による、児童集団誘拐事件でございます。

当時、世界の子供の数は数十人まで減り、世界中がパニックに陥りました。


しかし数年後、無事児童たちは地球に帰還し、私たち学者たちも胸をなでおろしました。

ですが、これもまた皆様ご存じであると思いますが、この悲劇は幾度となく繰り返される事となったのです。

そして…愚かにも、地球人類のトップの方々は奪還に紛れて***星の子供たちを連れ去ってくるようになったのです。


そこから、ここ数年の間、地球と***星の間の子供の取り合いは泥沼化してきております。


あちらから子供を連れてくれば、奪還という名目で地球から子供が連れ去られます。キリのないこのやりとり。どうにかして子供たちを自分の星に取り込もうと両惑星のトップも必死なのでしょうが…ここまでくると取り合いどころではなくなってまいります。


特に、幾度も両惑星による()()を繰り返された世代である、今高校生の子達。その子たちの中には、実際はどちらの星の出身なのか分からない子もいる始末であります。(今現在地球で暮らしている以上、本人たちは地球人であると疑いもしませんが)


 これらの一連の事態はもちろん子供の成長に著しく悪影響を及ぼします。

その星に馴染ませるため、それぞれの星で毎回行われる洗脳も、本来なら未発達の彼らの身体で耐えられるものではありません。

事実、主に幼少期の記憶の混濁が、対象となった多くの子供に見られています。


また、地球には***星の様子を模した公園が作られています。話によれば***星にも地球の町を模した公園があるようです。

環境の変化による無意識下の精神的負担を減らすためということですが、どれほどの効果があるかははなはだ疑問であります。


親と引き離して政府が管理するような体制も批判されるべきものです。

家庭にも近所にも子供しかいない、『子供だけの町』は彼らの将来を考えると決して楽園ではないのです。




 最後に。これらの行動は非人道的であり到底許されるものでは無い、と学者一同訴え続けて参りましたが、一向に効果も見られません。


よって、一般の皆様が少しでも興味を持ち、世論を変えてくださることを願っております。



___××大教授・教育学者 ○○○○

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