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あなたへ

作者: 洗いグマ

95%の妄想と5%の事実からつくりました。

今年もまた桜が咲く季節になりました。



あはたと初めて出会ったときも桜の花びらがひらひらと舞う綺麗な時期でしたね─────





小学生に上がる少し前、私は両親の転勤で都会でもないけど、そこまで田舎でもない町に引っ越しました。



両親が荷物を出して部屋を整えている間、私は暇になったので家の周りを探検がてら歩いていました。



その時、何人か遊んでいる声が聞こえてきて気になった私は声が聞こえてきたところに歩いて、そこで初めてにあなたに会いましたね。



私たちはしばらく見つめあったあと、あなたから「…だれ?」と聞かれて、緊張しながらも自分の名前と引っ越してきたことを伝えたような気がします。



あなたは一つ年上のお兄さんでお互いに同い年の弟がいたことからすぐに仲良くなりましたね。



私にとってそのときのあなたは憧れのお兄さんでした。

よく弟と一緒にあなたの家に行き、難しいゲームを難なくクリアする姿にすごいすごいと大興奮しました。



今思えば誰にでも優しく明るいあなたが初恋であったと思うのです。



でもあなたが中学生に上がる前くらいから遊ぶこともなくなり、段々と疎遠になりましたね。



お互い思春期になり、どちらからということもなくいつの間にか会わなくなりそれきりで…



私はたまにふとこの季節になるとあなたのことを思い出すくらいでなんてことはないありふれた青春の思い出になると思っていましたよ。



それがなぜか東京のとある会社に就職して入社日の初日、入社式で先輩社員として新入社員に激励しているあなたに再会しましたね。



このときの私は、広い世界の中で幼馴染ともいえるあなたに再会するなんて漫画のようなことがあるんだと恥ずかしながらちょっとばかり運命を感じてしまいました。



そして、入社式が終わって懇親会ということであなたと話す機会があってなにを話せばいいか、緊張で自分でもなにを言っていたのかよくわかっていませんでした。



その後も折角再会したのだからと2人で飲み直しましたが、実はあの時お持ち帰りされるのかと少し期待したんですよ。



それでも、少しずつ今まで会えなかった時間を埋めるように仕事の相談やプライベートのことをお互い話すうちに付き合い始めて、3年後の桜が綺麗に咲き誇る季節に結婚しましたね。



それから2年経った春には2人にとって新しい宝物がお腹の中にいることがわかり、あなたは大喜びして早くも名前を検討し始めて、よく考えてみれば100以上の候補があったような…



それから20年くらいは目まぐるしく変わる日々を過ごしながら毎年桜が咲く季節には必ず家族で花見をしましたね。



それから─────





色々ありましたが子どもも巣立ち、ようやくあなたとゆっくり過ごす日々は落ち着いた春のような暖かさがありました。



そんなあなたも一足早く旅立って、私もそろそろそちらにいくので、またもう少しだけ待っててくださいね。








読んでいただき、ありがとうございました。

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