一人称が「我々」な厨二聖女は聖女認定を返上したい。†§‡§†「自分の中に交差点がある」と主張する聖女様。
※「なろうラジオ大賞3」の参加作品の為、合計1000文字しかありませんご了承ください。使用キーワード『交差点』
タイトルにキーワードを入れ込むのを忘れてました(汗)
ご指摘ありがとうございますm(__)m
変更前:一人称が「我々」な厨二聖女は聖女認定を返上したい。
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変更後:一人称が「我々」な厨二聖女は聖女認定を返上したい。†§‡§†「自分の中に交差点がある」と主張する聖女様。
俺の名はシモーノ。
この春から栄えある聖女の教育係になった男だ。
しかし、担当になった若い聖女様が聖女をやめたいと俺を困らせている。
……本当にカンベンして。
この職を得る為に宦官(かんがん)にまでなったんだからな。
ちなみに宦官というのはアレをアレされて男性機能を失くした者をさす言葉だ。
一生使う相手と予定なんて無い俺は、そんな無用の長物よりも今日の衣食住というワケ。
「我々はもう聖女をやめるのじゃ!」
ほら始まった。
一人なのに一人称が『我々』。
俺が担当になるまではこうじゃなかったと聞いている。
ということは完全に俺の責任にされる流れじゃないかコレ。
「聖女様。その『のじゃ』を付ける話し方は幼い魔族女性のしゃべり方です。はしたないのでおやめください」
『我々』についてはもうツッコミいれても無駄なので、ツッコミしない。
「いやじゃ、『下々の』」
「聖女様。俺の名は『シモーノ』であって『下々の』ではないです。自分の名前が嫌いになりそうなんで本当にやめてください」
俺のオネガイをいつもの様にスルーし、聖女様が恒例の一人語りを始める。
「我々はいつから自分自身を我々だと認識していた?
キーワードは交差点……?
道路の交差点。
人生の交差点。
偶然の交差点。
――そうか!
人の子の『我』と別次元の『我』が時空の狭間で交差した時。
『我々』が誕生したのかっ!
そう。
我々こそが次元と次元の交差点なのだ!」
くそう。
聖女様の教育係に任命された時は大出世と思ったのになぁ。
「聖女様。交差点も結構ですが、人の世のことも大事にお考えください」
「いや、我々は忙しい。何せ交差しているからな。世界が我々の中で!」
「毎日部屋にこもっているだけに見えますが?」
「そう見えるか? 私……我々の中は大混雑さ、なのじゃ」
ツッコミ入れて欲しそうなもろもろをスルーする。
というかもうムリ!
「聖女様、俺の宦官になった時の気持ちを返してください。コッチは男性機能まで犠牲にしているんですよ!?」
「何、そんなことか」
ニヤッと微笑む聖女様。
「エクストラヒール!」
まばゆい癒しの光に包まれる俺の下半身。
「下々の。お主のアレを確かめてみるのじゃ」
「な、な」
なんと、俺のアレが復活している!?
「だって『恋愛脳』なんじゃ。チューがしてみたいんじゃ。聖女は恋愛禁止じゃろう?」
唇を尖らせて俺を見つめる聖女様。
――俺は聖女様とこの国を捨てる算段をすることにした。
「チョロルチョコなのじゃ」
お読みくださりありがとうございましたッっ。
m(_ _)m
穢れなき眼の幼女「ねえねえ、純粋なギモンなんだけど。最後の『チョロルチョコ』ってどういうコト?」
汚れきった作者「あー、それは、『チョロい』と『チロルチョコ』を掛けてだな……説明させんな恥ずかしいっ」
◆おまけ◆
作品に収まらなくてボツになった2人の会話集。
1.
「そろそろ聖女様の聖力を神殿に注ぎこんでもらう必要があるのですが」
「いやよ。セイリョクだなんてイヤらしい」
「聖女様にとっては絵を描く写生大会もイヤらしいんでしょうね」
「まあいやだ」
2.
「あれはできない。これもいやだ。いったい聖女様には何が務まるのですか。神殿から追い出しますよ?」
「それは困る。我々は神殿しかしらない。追い出されたらこまるんじゃ」
「別次元どうした」
3.
「そうだ……。私……我々に出来ることは、せいぜい恋愛相談に乗ることぐらいだ!」
「聖女様って恋愛経験ゼロですよね? ずっと神殿の中で、周りは女子ばっかりなんですから。俺も宦官ですし」
「誰だって最初は経験ゼロだろう? まずはやってみないと向いているかどうかわからんだろう」
「正論ですが。じゃあ、まずは聖女のお仕事やってくださいよ」
「ムリだ。我々は聖女は向いていない。もう穢れてしまっているんだ。なんせ交差してしまっているからな! 別次元と!」
「んん? どういうことですか? 思考が多少残念なのは認めますが、それくらいいじゃないですか」
「何をいう? 交差しているんだぞ? 我々は交わってしまっているんだ! ま・じ・わ・っ・て・い・る・ん・だ、ぞ!?」
「これは、算数の図形を見て、交点とかにエロスを感じる小学生レヴェル……」
4.
「我々にとって、恋愛相談など余裕よ」
「なにせ、我々は次元を超えた恋愛の結晶の様な存在だからな!」
「3次元の恋愛などおちゃのこさいさいよ!」
(男子の気持ちはまったくわからないけどな)
「しかも、多感なお年頃だから、興味津々なんだ」
「……」←シモーノ
5.
「どうして、そんなに【聖女】になりたくないんですか?」
「だって、私……我々、恋愛脳なんじゃ。【聖女】は恋愛禁止じゃろう?」
「それは昔のことですよ。今じゃ【アイドル】と同じく【聖女】も恋愛は許可されています。ただし、次の聖女が見つかるまでは純潔を保つ必要があります。処女でないとできない業務があるので」
「そうなのか。チューは許されているのか? チューは。我々はチューがしたいんじゃ」
「チューは……神殿長に聞いてきます」