第8話 権能と覚悟
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ご覧になってくださった方々ありがとうございます。
こちらは本日2話目です。
前話は12時の更新となります。
未読の方は是非ご覧になってください。
名前:黄道 丈
能力:《言語理解》
【分解】LvⅠー《情報分解》
《素材分解》
《分解結界》
これが俺の能力か…本当に2つしかないんだな。
まあ権能は複合的な感じだし、不満はないんだけどさ。
Lv表記があるってことは権能はいくつか段階がある考えていいのか。
ということはこれからまだまだ能力が増える可能性が高いな。
早く上がっていって欲しい。
それにしても、他のはなんとなく分かるけど、《分解結界》って一体なんなんだ?
《情報分解》を使えばわかるのか?
《情報分解》を《分解結界》の項目に行使してみる。
「おお、なんか出た。」
《分解結界》
自身に対する有害な攻撃を、物理的・精神的に関
わらず、その作用を分解・無効化する。
接触している場合、その接触している対象にも有
効化する。
これは現時点で最強のチート能力なんじゃないか?
防御能力の最高峰と言っても良さそうだ。
接触云々は試しようもないからわからないが、ひとまずこの樹海で殺される心配はほとんどなさそうだ。
早速、常に有効化しておこう。
なにな変わったのか、いつもと変わらないように思える。
一応他の能力も見ておくかな。
《言語理解》
ストラトラトスの住民と言語を介して意思疎通で
きるようになる。
《情報分解》
対象のもつ情報体を分解・解析して、自身にのみ
見える形で表示する。
《鑑定》で表示されないレベルまで情報化可能。
《素材分解》
生きている生命体以外の対象を素材ごとに分解す
る。
その対象がスキルを持つ場合、一定の確率でその
スキルをオーブ化する。オーブは身体に接触させ
ると、そのスキルを獲得可能となる。
うむ、1つだけ声を大にして言いたい。
これといった攻撃手段になる能力がない。
想像以上に非戦闘系スキルのオンパレードだ。
こうなると、食料の心配が出てくる。
果実とか集めれば短期的には心配はない。
だが、しかし動物系のタンパク質を摂取できなくなると、栄養バランス的にまずい。
どうするかな…
ガサッ。
「ん?なんだ?」
背中の方から物音が聞こえたので、その音の正体を探るべく振り返った。
すると、全身緑色の人間がいた。
腰には毛皮を巻いていて、手には棍棒らしきものを握っている。
これが記念すべき第1異世界人との邂逅か。
けど、この樹海って確か人が生存できるようなエリアではなかったはずじゃあ…
「あの、すみまs……」
声を掛けようとしたら、いきなりその緑人間が棍棒を使って殴りかかってきた。
咄嗟のことでギリギリのところで回避することができた。
ドガンッ!
先ほどまで自分がいたはずの場所が粉砕されている。
思わず唾を飲み込む。
なんだ、この威力は…
これが異世界というものなのか。
それよりもなんで急に殴ってきたんだ?
《言語理解》が機能していないはずはないのだが…
「お、落ち着いてください。話をしませんか?」
「グギャグギャグギャ!」
わかったぞ、こいつゴブリンだわ!
魔物の定番の一角で、女犯す最低なザコクズモンスターだ。
しかし、今の俺はほとんど丸腰だ。
強いて言えば、木の棒があるぐらい。
リムはなんかさっきから静かだし倒してもらおうには頼れない。
《分解結界》で怪我を負うことはないだろうから、ひたすら耐久して木の棒で殴った方が良さそうだな。
いや、これしかない。
「さあ、来い!お前で俺の能力の性能実験をしてやる。」
リムを地面に下ろし、木の棒を握りしめゴブリンらしきものと対峙する。身体中を如何とも形容し難いモノが走る。
地球では感じたことのないモノであった。
これが生死のかかった闘争というものか。
考え事をしていて気づくと、目の前からゴブリンが消えていた。
どこだ、と思った瞬間に右後頭部の方から何かと何かがぶつかる音がした。
ちっ、油断していた。
《分解結界》は十分に機能したが、今のは避けようと思えば避けれたはずだ。
いかん、戦いに集中しなければ…
余計な思考は排除してクリアにしなければ。
大きく深呼吸をし、改めて対峙する。
相手はなぜ攻撃が弾かれたわからず、若干の戸惑いはあったものの、すぐさま距離を取っていた。
もう油断はしない。
「グギャ!」
再び相手は棍棒で殴りかかってきた。
先ほどは奇襲による火力不足であった思い、純粋な火力重視といえる攻撃に切り替えてきた。
こっちもやってやろうじゃないか。
「おらっ!」
バキッ――グチャッ。
「は?」
思わず声に出してしまった。
俺が振り下ろした木の棒が相手の棍棒に当たったかと思うと、瞬間飴細工のように棍棒が砕けた。
そして勢いそのまま、ゴブリンらしきものの頭部を殴打、もとい粉砕した。
勝ったのか?
生き残ったということで全身の緊張感が解けた。
それと同時に目の前の惨状を見て、嘔吐してしまった。
生き物をこの手で殺めた。
今までの生活では考えられなかったことが起きた。
異世界だからいつか来るとは思ったが、こんなに早く訪れるとは思わなかった。
不快感が尋常ではない。
ただ生き残るためには必要なことだ。
いずれ慣れなくてはならない。
ストラトラトスで生きていく覚悟を決めなくてはならないんだ!
しばらくするとリメが動き出した。
ポヨンポヨンと擦り寄ってきてくれた。
なんでさっきは動かなかったんだろう?
まさか、俺に実際に経験させて、この覚悟を決めさせるためだったのか…
きっとそうだな、ありがとうよ。
「それにしてもいったいなにが起きたんだ?ただ木の棒で殴っただけだぞ?」
思い出せ、なにかが引っかかっている。
自分の能力を全てしっかりと思い出した。
そうか、《分解結界》の能力か。
たしか所持してるものも効果の対象になるんだったな。
木の棒という折れてもおかしくはないもので攻撃したおかげで、折れるという外的圧力を無効化しながらその形を維持し続けたんだ。
これはとんでもない力だぞ。
たかが木の棒ですら、武器になりうる。
つまりどんな武器でも、折れることのない絶対的な攻撃性を持つ武器になる。
ははっ、チートだわ。
よし、これなら生きていける。
まだ魔物を殺すための覚悟は決まりきっていないが、徐々に慣れればいいさ。
だが、俺の能力は容易く命を刈り取る。
狂戦士みたく誰かれ構わず闘争の果てに死をもたらすなど言語道断だ。
専守防衛で生きていこう。
そして、俺はリメと共に歩き始めた。
追記(7/28)
《分解結界》及び《情報分解》の能力評価を変更致しました。能力自体が変更されるわけではなく、ニュアンスの変更であるため、内容自体に大きな影響はございません。
良かったら評価の方よろしくお願い致します。
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