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第81話 鍛冶の問題

今回は少し短めです。

次話かその次あたりで拠点全体での戦闘に入ります。


こちらは本日2話目です。

前話は12時の更新となります。

未読の方は是非ご覧になってください。

翌朝、俺はバンダーからの頼みを受けて、当人とケングと共に居住区の1区画にいた。

近くにはまだ建物らしき建物がないエリアだ。

まあ目的の物を考えるに、この条件が好ましいだろう。


「鍛冶用の工房ですか…知識はあるのですが、実際に建てたことないので楽しみではあります。」


そう、昨夜の宴会中に工房が欲しいとバンダーから頼みを受けたのだ。


俺も元々色々作ってもらうつもりだったので、建てる予定ではあった。

それを本人からも同意を得ることができたので、早速行動に移したのだ。



「……昨日も思ったが素晴らしい木材だな。」


やはりフバツハートチークは一級品らしい。

通常は加工することが難しいものの、その分耐久性は随一だ。

俺も最もお世話になっている素材と言っても過言ではない。


そしてバンダーの反応を見るに、長年鍛冶をしているが生まれてこの方見たことなかったみたいだ。

鍛冶が盛んなドワーフの国生まれでも見たことないってことは、やはりこの地域にしか植生がないのだろう。


いずれ金のなる木にできそうだな。


そして、とりあえずいつものごとくこの素材で工房を建てることにした。

勿論本来は耐火煉瓦で建てることがベストだろう。

しかし、耐火煉瓦を必要数作るとなるとそれだけで工期が大幅に変わってくる。

多少の横着は《分解結界》施すから許して欲しい。


ただこれまで建てた家屋と違い、床は無加工で地面剥き出しにする。

《分解結界》なら全く同じ家屋にすることも可能だが、こればかりは様式美だ。

工房って感じがしてロマンを感じる。


建物自体は当日中に建て終わった。




翌日からは鍛冶道具の作成だ。

現在、工房内は何もなく、見窄らしい印象を与える。

これから、鍛冶工房へと変わるのだ。


勿論バンダーは今までのものも持ってきているらしい。


ハンマーは魔力伝導性ピカイチのミスリル製だ。

魔力を通して強度を高めながら、熟練の鍛冶師ともなれば使えるらしく重宝すると聞いた。

丸頭ハンマーや平頭ハンマーといった必須の物もいくつかバリエーションがあった。

さらには土魔法のレベルが上がる前に使っていたという、複数の金属を叩いて融合させる用の大ハンマーもあった。


見せてもらったが、どれも使い込まれている様子でそこはかとないエモさを感じた。

またいくつかの物は実際に持たせてもらったが、小さい物でもかなりの重さがあり、自分の筋力だと鍛冶作業は厳しいという現実を知った。


大ハンマーはもう使っていないが、今後拠点内の誰かが鍛冶に興味を出したら使ってもらうように持ってきたらしい。

かなりありがたい話だ。


他にも、やっとこ、はちの巣、へし、タップ、せぎり、鏨、ポンチ、パスなど名前しか知らない、まして名前も知らないような多くの鍛冶道具を教えてもらった。

さらには、こういった鍛冶道具の総称を鍛造工具と言うことも教えてもらった。

一見すると何に使うかも分からない形状もあり、おそらく地球にいても触れることがなかったであろう分野だったので、非常に勉強になった。


そして、鍛造工具の中でも最も重要と言われる金床を見せてもらった。

素材を載せてハンマーで叩き、鍛造や板金作業を行う台のことだ。

上部の平らな面である平滑部で材料を伸ばし、側部にある鳥の嘴のような形状の鳥口で工作物を曲げたりする。


一目見た時は至ってシンプルな物であった。

しかし、《情報分解》を施して見てみると、様々な魔法や耐性が付与されており、最早一種の魔道具のようであった。

……多分投げたりしたら、魔物狩れるんじゃないかな?


そう思ったよりも物が揃っていたのだ。

だけど足りない物があるのは事実。

それを今から補充しないといけない。


持ってきていた鍛造工具は全て《アイテムボックス》内に入れていたが、作業中は基本的に鍛冶作業以外のことに割くリソースがないらしく、鍛造工具を置いておける場所が必要らしい。


こればかりは俺の知識にあった。

ツールログのことだ。

あの丸太ような物に工具を引っ掛けまくるあれ。

一度何かのテレビ番組で見た時に、無骨な感じが気に入ったので覚えていた。


そうとなれば、張り切ってやろう。

俺は乾燥済みのフバツハートチークを出して、バンダーに必要な高さを聞き、目の前でその指示通りに綺麗に切断した。


「……まじか…ま、いい。」


「相変わらずですね…」


なんだ、その珍妙な生き物を見ているかのような目は!

指示通りにしたんだし、俺に落ち度はないぞ。

ケングは段々と俺に慣れてきたようだ。

何に慣れてきたかはまるで心当たりはないがな。


そして、バンダーは取手のような物を取り出し、次々とツールログの側面に付けていく。

いやー、ハンマーが棒切れのように軽々と扱われているよ。

見事なもんだ。

俺も身体強化の魔法が使えればな。


そして最後に水回りを整える。

流石にポンプ式のものは用意できなかったが、室内に簡易的だが、井戸を作る。


こればかり《飛行》持ちのレインに手伝ってもらう。

井戸作りも慣れたものだ、3時間もあれば完了する。

レインがやたら機嫌が良さそうだったので、理由は分からないが俺は嬉しい。

やたら機嫌のいいレインだった



「これでどうかな?」


「……ああ、十分だ。想像以上の出来だとも。」


とりあえず満足してもらえたようだな。

けどそのうち、ちゃんとレンガ製の工房に変えるから待ってて欲しい。


十分だと言われたが、個人的には妥協したくないからな。

中途半端は嫌いなんだよ。

工房なら工房らしさを極めたい。


「ど〜、完成した〜?」


まるで入るタイミングを伺っていたかのようにファナが外から入ってきた。

いや、ようにではないな、伺っていたんだろう。


「へ〜、ふ〜ん。」


案の定、完成品を舐め回すように見てる。

これ絶対《分析眼》使ってるんだろうな。

ほんとこの拠点内で最も油断ならない人だよ。


「ちゃんとアタシ用の工房も作ってくれたんだね〜。」


そう、ファナが来てくれたこともあり、魔道具作成用の部屋も作ったのだ。

作業効率を考えて、鍛冶工房のすぐ隣だ。

金属音とかで五月蝿いんじゃないかと思ったが、どうやら虎の子の防音効果持ちの魔道具があるらしく問題ないらしい。

それに、すぐに品物に必要な部品を作って欲しいようだ。


ちなみに前までは作業担当であった双子妻はOXさんの家で業務をこなしていてもらった。

ただこれ以降はこの部屋で従事してもらう。

前みたいに部屋の汚れを気にしなくても大丈夫になったし、その点での作業効率の向上も見込めるな。



さあ早く電化製品、おっと失礼、魔道具を作って安定した生活を過ごさせてくれよ?

次回更新日は10/25(日)です。


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