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第66話 仕事の問題

こちらは本日1話目です。

次話は18時の更新となります。

「一体昨日はどうしたんだ?急に休養日だなんて言い出しおって!」


「あははは、面目の次第もございません…」


開口一番、OXさんからの怒号が飛んできた。

言い訳のしようがありません。

ただ単に自己満足のためでした。

批判は甘んじて受け入れよう。


結局、アイネが来た翌日は、今までにないほど長い時間一緒に過ごせるということもあって、急遽休みにした。

だって日を跨げるんだぜ?

寝起きのおはようも聞けるし聞かせられるんだぜ?

朝食も昼食も一緒に食べれるんだぜ?

好きな人相手にできることをさせないってのは苦行じゃあなかろうか。


「姫様もなかなかお出になられずにいて…貴様、よもや!」


「いや、それはない。神に誓おう。俺は何もしていない。だから、剣に手をかけるのはやめろ。」


そう、俺は何もしていない。

様子を見に行ったレインから聞いた話によると、俺の渡した掛け布団でだいぶスメルをお楽しみだったようだ。

そこまで密着し続ければ、自分の匂いに変わりそうなものを。


まあ何にせよ、俺以外の者達も久方ぶりの完全休暇になったようで、思い思いの過ごし方をしていたようだ。

意図せぬリフレッシュの機会になったと思えば、重畳だろう。


「さあ今日からまた頑張らないとな。」




五月蝿いOXさんをその場に放置して、拠点の拡大計画を再開する。


現在の優先事項は、仕事の割り当てである。

基本的に俺は、働かざる者食うべからず主義である。

そしてここは〈不抜の樹海〉。

穀潰しの存在など邪魔でしかないのだ。


この点は他の者達も理解しているようで、その結果がOXさんからの罵倒であった。

皆何も言ってはこなかったが、内心同じことを考えていただろう。

それなのに昨日急に休みにされたため、戸惑ってしまっているのだろう。

安心しろして欲しいことはしっかりとある。



まず俺はOXさんと騎士達を連れ、内側に作られた壁と外側に作られた壁の間のうち、角の1つ来た。


現在、拠点の壁は今までと違い、2重に築かれている。

だから、壁と言われてもどちらを指しているかがわからない。

そのため、安直であるが、それぞれ内側の壁から順に、内壁、外壁と呼称すると決めていた。


そんな内壁と外壁の間の角に簡易ではあるが、塔を建てることにしたのだ。

防壁より数mだけ高くした代物を想定している。

その目的は、見張りである。


現状で《領域感知》を使える者はレインとオリ爺以外には残念ながらいなかった。

しかも、オリ爺は魔物であるため、レイン以外の者にはその存在を公開していない。

それ故に、《領域感知》を用いることができるのはレインだけとなっている。


そうなると、拠点防衛の観点から問題が発生する。

多くの魔物は俺のなんちゃって防衛システムで瞬く間に仕留めることができるだろう。

しかし、因縁のテンペストグリズリーやそれに匹敵するレベルの魔物に拠点を襲われたら、同じ結果になるとは考えにくい。

なるべく早く存在を確認するという、迅速な対応が求められるのだ。


しかし、十分なレベルの感知系スキルを持つ者は先ほどのようにレインしかいない。

だからといって、レインに24時間年中無休で拠点周辺の監視を頼むことはできない。

食糧確保のための狩りにも行かないといけないし、長距離の遠征なんてことも今後はあるかもしれない。

単純な戦闘力なら拠点最高のレインが監視のために拠点から離れられなくなると、大いに行動の幅が狭められてしまう。

そのような状況は避けないといけないのだ。


俺が考えた結果、塔を建てて交代制で周辺の見張りをするという結論に至った。

塔をそれぞれの角に作れば、ある程度死角というものも排除できる。

場合によっては、塔を用いることで、高所から一方的な攻撃が可能になるというメリットも存在する。


見張りの人員はやはりというか、今連れてきているOXさんと騎士達である。

この提案には、皆反対することなく、喜んで了承してくれた。

元々の職務で行っていたようなことと大差ないからである。

何度かは経験があるらしく、見張りをしていた結果感知系スキルが手に入ったという前例もあることを知った。

俺も暇を見ては見張り業務に参加しようかな。


と言っても現状塔はないので、それの建設から始めないといけない。

彼らには是非一から頑張っていただきたい。


「いや、別にいいんですけどね。建築となると、自分の領分ですし。」


ケングも張り切っているみたいだな、頼むぞ。

塔を4つも建てられるのだからな。

腕の見せ所だろう。


作り終わった塔には《分解結界》を張って、保護する予定だ。

しかし念には念を入れて、不燃性の素材で建てる方針にした。

ケングは少し考え、レンガなどの石材で建てることを提案してきた。

勿論、異論はない。


さらに諸々の打ち合わせを終えた後、レイン同伴でレンガの元となる材料を川まで行ってもらうことにした。

無論、魔物との戦闘訓練も兼ねてである。

運搬要員として、リメにも行ってもらう必要があるかと思ったが、幸いにもOXさんの屋敷から運び込んだ物の1つに、アイテムボックスがあった。

各辺1mとだいぶ大きな魔道具ではあるが、その分容量は十分らしく塔1つにつき、1回の往復で十分な材料を用意できることだろう。


無理はしないように言いつけた上でレインと彼らを見送った。

《念話》持ちの騎士もいるので、緊急時も何とかなるだろう。



次に騎士の妻達を呼び出した。


男連中がいなくなった隙に自分達に手を出すのでは、と思われたらしく若干距離を取られている。

出会って間もない関係だから、そう考えるのも理解できなくもない。

まあ頼むから、話がしやすい距離ぐらいには来てくれ。


彼女らには農作物の世話をしてもらう予定だ。

具体的には内壁と外壁の間に新しく作るフバツソラヌンの世話だ。

いずれは俺の家の後ろにある果樹の数倍規模の果樹の管理や、新しい作物の世話も頼みたいところだ。

やや仕事量が多く思えるかもしれないが、収穫作業は見張り業務以外の者全員で行う予定なので意外と重労働ではない。


この世界では女性が農作業に従事することは比較的当たり前らしく、抵抗は少なかった。

男性が兵役とかで度々招集され遠方まで赴くのに対して、女性は基本的に家周辺での活動がほとんどだ。

そのため、女性の方が農作業に取り組む時間が多くなる。

実は女性の方が《土魔法》のスキルを持つ割合が多いのだとか。


俺の家の畑に向かい、フバツソラヌンの取り扱いに関してのレクチャーを行う。

一応俺だけだと説明不足の部分が出るかもしれんので、側にいたオリ爺から念話で確認しながら行う。

どうやら、既存の芋系の作物との違いはないらしく、問題なく世話できそうだと言われた。


早速、内壁と外壁の間のエリアに移動して、塔建設予定地を除く場所を耕していく。

元B冒険者のワーネ以外は《土魔法》のスキルを持っているので、ハイペースで畑が耕されていく。

順調に耕し続け、塔建設組がレンガの材料を持って無事に帰ってくる頃には見事な畝ができていた。


残りの時間で種芋の作成をしてもらい、準備ができ次第植えて世話をするように頼んだ。



さあここからがメインイベントだ。


今残っているのら、双子妻とその子供達、そして姫様だ。

その中の双子妻に頼みたいことがあるのだ。

初対面の時に《情報分解》で知った()()の出番である。


探してみると、OXさんの家で2人はお昼寝していた。

子供達は特にそれに反応することもなく、掃除していた。

いやはや、どちらが子供か分かったものじゃないな。


そして、2人が起きるのを待った上で、俺は頼み込んだ。



「2人には魔道具を作ってもらいたい!」

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