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Different Sides(5)

こちらは本日2話目です。

前話は12時の更新となります。

未読の方は是非ご覧になってください。

◇〈トライデン大陸〉のとある港町にて



「毎度ー!」


今日の商売も順調だ。

特に違う大陸の品物がよく売れるんだ。

普通なら船で何週間、何ヶ月も掛かるものは維持費などで価格が高くなるのが常だ。

けど僕にかかれば、ほぼノータイムで仕入れができるから現地価格のちょい割り増しレベルで売れる。


あと、商人ギルドの評価ランクが高いのも幸いしている。

商人ギルドでは、1つ星から5つ星の5段階で表されていて、星が増えるほどに評価ランクは高い。

2つ星から店を持つことができて、4つ星以上で支店を設けることが認められるようになる。


そんな僕は最も評価の高い5つ星だ。

正直今は行商人よろしく路上販売しかしてないから、はっきりとした評価ランクの恩恵は享受してないんだけどね。


このランクは言わば、実績と信用だ。

いかに実績を積み重ねようが、犯罪まがいのことをしてはいけない。

信用を勝ち得ようとして、慎ましく商売するだけでは利益は少なくなる。

商売人たる者、上手に両立できないとね。



「あの、そろそろ店舗を設けられては如何でしょうか?」


路上販売区画の使用時間の期限が来たため、商人ギルドに向かった。

そこで撤収報告していたら、受付の人からそう言われた。

何でも、実はギルドマスターとのことだ。


「いやー、今ちょっと考えている最中でしてね。前向きには検討しているんですよ。善処しようかなって感じで。」


いつものようにはぐらかしながら答える。

毎回似たようなことを言っている気がする。

自分が同じことを言われたら、内心イライラしちゃうね。


「そ、そうですか。是非お願い致します。」


案の定、ピクッとしていた。

交渉の場で相手に感情を読み取らせたらダメだよ。

僕の場合は、過去にあった経験で、だいぶ他人の感情を読むことが得意になってしまったから、分かってしまったのかもしれないけどね。


決して望んだ経験ではなかったけど、今となってみればいい思い出かもしれないな。

ただあのおかげで、黄道先輩に会うことができたんだからね。

悪いことばかりじゃなかったよ。


それまでは同じ部活だったけど、あまり交流はなかった。

けど、いつものように囲まれている中、後輩を虐めるな、と割り込んできてくれた。

あの時はすごい嬉しかった。

その後は、黄道先輩のお陰か、前までのようなことはなくなり、普通に学校生活を送れた。

感謝してもしきれない。



僕は商人ギルドから出て、いつも借りている宿屋に戻ってきた。

ここはかなりお高めだけど、お風呂が使えるから迷わず即決でここに泊まるようにした。


そんなお風呂に入りながら考える。


「それにしても、黄道先輩もこの世界に来てるんじゃないかな?」


だって、隕石に巻き込まれたあの時、同じバスに乗っていたもんね。

僕は1番後ろの席に座ってたら、ある停留所で乗ってきたもの。

いつも通り綺麗な女の子を連れて、気怠げそうに2つぐらい前の席に座ってた。


僕と話ができるくらい、黄道先輩も異世界ものの小説読んでたからな。

多分どこかで着々と生活基盤を整えているんだろうね。

商人ギルドで話を聞かないあたり、商売系には手を出していないのかな?

定番どころで冒険者、いや大穴狙いでダンジョンマスターかもしれない。

魔王…はいるみたいだし、僕がこの世界に来る前からいるらしいから、その線はなさそう。

もしくは勇者だったりするのかな?

いや、なんか似合いそうで似合わないね。


ふー、長い時間入ってたらのぼせて来ちゃったな。

上がらないと…


そろそろ新しい大陸に手を出したいな。

今のところ、最初に来た〈トライデン大陸〉と1番大きな〈アンフォナー大陸〉しか行ってないからな。

次は〈ツヴァイング大陸〉あたりにしてみようか。


今度からは黄道先輩がいるかの情報収集もして行こうかな。

不思議な事件とかあれば、十中八九僕と同じ転移者が関わってそうだから、積極的に集めよう。


さあ明日からも頑張らないとな。

僕は布団に潜り込みながら、この世界に来れたことを感謝しながら、眠りについた。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


◇〈ビューピーク〉の街にて



「姫様、こちらが貢物でございます。」

「お嬢様、これをお納めください。」

「アメリ様、どうかどうか。」


無能な男共がいつものように献上品を差し出しながら、眼前で這いつくばっている。

ほんと馬鹿ばっか。


異世界に来たらしいけど、男の本質は変わらないみたい。

女に媚を売って、ご機嫌をとって、自分のものにしたがる。

女を持つのはステータスとしか思ってないレベルよね。


「いい加減下がってくれない?見苦しいわ。」


言われた瞬間、献上物を置いて、皆部屋から出て行った。

洗練された兵隊ばりのスピードね。

いえ、違うわね。

しつけの行き届いた犬と言った方がお似合いね。


異世界に渡ったことにより、アタシの持つ魅力が強化されてしまったみたい。

流石に地球にいた頃だと、ここまで夢中になられることはなかったわ。

美の女神の力というのは侮れないわね。



どこかにアタシの魅力に翻弄されないレベルの男はいないかしら?


グラスに入ったワインの香りを楽しみながら、物思いに耽る。

勿論このワインも貰い物。

今座っているソファーも当然のこと、住んでいる屋敷でさえ貰った。


地球にいた頃も、同じ学校や他校の生徒、会社員や観光客、外国人に至るまで色んな男と関係は持った。

こっちの世界に来てからも、色々な男に出会った。

高ランクの冒険者もいたし、大商会の頭取や若頭、貴族や王族なんてのもいたわね。

けどやっぱり変わらない。

アタシの色香に狂ってしまう。


まあ、それでも狂いにくかったのもいたわね。

こっちでも数人であったけど、地球の頃だと()()だけだったわね。

名前はなんだったかしら?

……んー、思い出せないわ。


まあ他にも同レベルの男がいるかもしれないって思って、1週間しか付き合わなかったからはっきりと記憶してないわね。

ただアタシの色香に耐えた初めての男だったので、アタシのファーストキスは()()()()

……捧げたって言い方は何か嫌ね。

してあげたって言った方が正しいわ。


ただキスしたら耐えきれなくなってしまったみたいだけれど。

それこそアタシと付き合ってた頃の記憶なんて朧げなんじゃないかしら。

ふふっ、アタシとしたことが勿体ないことしちゃったな。


「久しぶりにあの子に会いたいな…」


叶うわけないと思いつつも、どこかで期待してしまう。

窓の外を見やり、東の地平線より上がり始めた怪しく光るルディアナに想いを馳せた。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


◇〈アンフォナー大陸〉の名もなき村にて



「A地点、確保完了。」

「D地点、突発的な戦闘発生。数分の後、対象を捕獲。現在移送中です。」

「C地点、布陣完了。殲滅形態、いつでもいけます。」

「B地点、想定通り敵本陣確認。現在監視体制に移行。動きは認められません。」


オレは引っ切りなしに来る情報を聞きながら、戦略を組み立てていく。

この世界に来てから、闘争に飽きることはないな。

今まで知識でしかなかったものが、実戦として使える。

こんな恵まれた環境があったなんてな。


異世界に来て初めて着いた村が大陸中から忌避され迫害されていた村だった。

理由は、個人的にはしょうもないと感じたが、科学発展の遅れている世界なら理解できないんだろうな。


そんな村にオレは留まり続け、襲い来る刺客達と日々戦の日々を送っている。

勿論地球の現代戦までの知識を網羅しているオレからしたらこの世界の戦略など児戯に等しい。

尤も、当初は魔法という技術に戸惑ったがな。

今はむしろ戦闘の幅を広げる重要な技術であると理解している。


「――敵軍および敵将の情報は?」


「こちらでございます。」


ノータイムで差し出された資料を読み込む。

同時にミニチュアを用いて、戦場の様子を再現していく。


ふむ、敵方は総数2万か。

先週救国の英雄とか言われていた将軍を討ち取ってしまったのも影響してか、だいぶ討伐に本腰を入れ始めたらしい。

敵将も国の第3騎士団長と判明している。

ここからも本気具合が知れる。


一方のこちら側は人数で表すと、200に満たない。

劣勢も劣勢、劣勢以下の表現が欲しいくらいだ。

兵力差だけだと、100倍以上の差がついている。

まあオレが能力を使わなければという条件がつくがな。


ただ今回は相手の布陣的に固有スキルをフルで使う必要は皆無だな。

山々に挟まれた所で布陣して休憩なんて、どっかの戦国大名みたいことをしている。

こんなの同じ展開に遭わせてくれと言っているようなものじゃないか。


思わず笑いが吹き出してしまう。


「大丈夫でしょうか?閣下。」


周囲の奴らが心配そうに見つめてくる。

急にオレが吹き出したんだ、異常に思われてしまったのも無理もないことだ。


「いや、何でもない。それより行くぞ。我らの勝利は目の前だ!」


「「「おおっ!」」」



案の定、圧勝で終わった。

どこかの狭間の戦いよろしく、敵本陣に直接乗り込んで、敵幹部を一掃して勝利。

抵抗はされたものの、オレの固有スキルを一部解放しただけで殲滅できた。


「「「万歳!万歳!リライブ閣下、万歳!」」」


オレはこの世界に来てから、ナポレオン=リライブと名乗っている。

直訳通り、ナポレオンの再来だ。

オレの名前のアナグラムをしてか、地球の頃の仲間内ではナポレオンと呼ばれていた。

七つの尻尾の獅子で、ナポレオンとのこと。

まあ元々ナポレオン自体好きだったから、別に嫌がることもなく、受け入れた。


ただナポレオンと呼ばれるのは個人的に好きではない。

あくまでもナポレオンの再来なのだ。

だからリライブもしくはリライブ閣下と呼ばせている。


相手方は今日で大損害を受けただろうから、しばらく動きはないだろう。

その間にこの村の要塞化を進めなくてはな。


数戦もすれば、今の相手国は抵抗できなくなる。

そしたら、不平等条約を結んでガッポリいただくとしよう。



オレはこれからの動きに目星をつけると、今も行われている戦勝記念の宴に戻って行った。

次回更新日は9/30(水)です。


良かったら評価の方よろしくお願い致します。

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別作品もどうぞよろしくお願いします!

勇者?聖者?いいえ、時代は『○者』です!
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