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第64話 転移者の問題①

こちらは本日2話目です。

前話は12時の更新となります。

未読の方は是非ご覧になってください。

この世界に来た人達の情報だと?



アイネに転移させてもらう時に聞いたのは俺を含めて7人だった。

それが誰なのか知ることができるのか!


万が一に備えることもできると考えると、かなり美味しい情報だ。

俺もこの世界に来て、チートレベルである神の権能【分解】を得たのだ。

俺以外の転移者も、少なからず強力な固有スキルは持っているだろう。

大いなる力を得て暴走に走らない者がいないとは限らない。

対応できるかはともかく、予め知っておけることは情報を聞くメリットとして十分だ。


「是非聞かせて欲しい。」


「ふふっ、大事なことだものね。けど、私もそれぞれの担当になった神から聞いた情報しか教えられないから、そこのところはよろしくね。」


「ん?アイネから他の人達のことを見ることはできないのか?」


アイネはこの世界の最高神だ。

さらに【創造】とかいうチート中のチートレベルの権能を有しているのだ。

だから、それぐらいわけないと思うんだがな。


「今、ジョーとこの地で生活するためにお仕事にリソースのほとんどを割いているの。100年分くらいは終わらせるつもりで、余裕はあるとは言えなくてね。だから、あまり他のことにリソースを割きたくないのよ。」


そういうことだったのか。

なんだか少しくすぐったくなる。

嬉しいぞ、それだけ一緒にいようとしてくれるなんてな。


気付いたらニヤニヤされていた。

どうやら何を考えているのかバレたようだ。

取り繕わなくては…


「ん、んんー。それで他の人達について教えてもらえるかな?」


「ふふっ、いいわよ。私の知る限りのことはしっかりと伝えるわね。」



「まあ、1人に関しては初めて会った時にも伝えたわね。あなたの幼馴染みである、清水 めぐりね。この子に関しては、目的の関係で担当神のリブネ…生命神からよく報告を受けているから、結構詳しいところまで教えてあげれるわよ。」


そう、この点については知っている。

だが、これ以上のことは何も知らない。

どこで誰と何をして、そして何が目的なのだろうか?


「今、その子はこの大陸〈ツヴァイング大陸〉にいるわ。場所で言うと、〈スウィーセファンド〉という、どこの国にも属していない独立した中立都市ね。」


同じ大陸にはいたのか。

まあ〈スウィーセファンド〉自体はレインの話で出てきたから、多少は知っている。

けど、ああどこそこねって反応ができるほど、この大陸の地理知らないからな。

4つの大国の境目にあるんだっけか?


「その認識で合ってるわよ。けど、もうすぐその都市を発つみたい。〈イルガシャーシ公国〉に入って、〈クロージャーゼン山脈〉の麓を目指すって聞いたわ。」


おっ、割と知っているワードが出てきた。

ここ〈不抜の樹海〉を囲むようにある山脈が〈クロージャーゼン山脈〉だ。

その麓の洞窟には早い段階で行ってお世話になったからな。

人が増えた分照明器具の需要増えたし、また行ってこないとな。


それでその山脈向こうにある国のうち北側にあるのがその〈イルガシャーシ公国〉だったな。

姫様一行が逃げてきた南側の〈レンテンド王国〉から独立した国で、比較的善政が敷かれているって言ってた。


「ん?なんでめぐりは山脈の麓なんて目指すんだ?話を聞いている限りだと、ここほどじゃないものの、かなり強力な魔物が多い地帯なんだろ?」


「え?ああ、まずその子が今何をしているのか伝えてなかったわね…今はね、冒険者ギルドに入って、回復術師を務めているのよ。最近Bランクになったらしいわ。あとパーティーも組んでいるようで、女性だけなんだけど、皆Bランクでなかなか優れたパーティーみたい。」


待て待て、予想外の情報が多い。


めぐりは冒険者ギルドに入ったのか!

どうしても俺のイメージ的には冒険者は魔物と戦う印象が強い。

そんなものに、存在の半分が優しさでできていそうなめぐりがなったんだ?

しかも、Bランクなんてなかなかの中堅、下手すれば上級者に足を突っ込んでいるじゃないか。

訳が分からない。


さっきチラッと出てきた生命神から何か強力な固有スキルを貰ったとかいう理由なのだろうか。

名前的にも、回復とか蘇生とか命を司る系なんだろうな。

逆に命を刈り取る側の死神的能力なのかもしれない。


けどまあ、ちゃんとパーティー組めてて寂しい思いしてないようで安心したよ。

地球にいた頃は事あるごとに俺の近くにいるぐらい人見知りだったからな。


(いつも以上に感情表現が豊かなようね。久しぶりに幼馴染みの動向をしれたかしら?ちょっと妬いちゃうわ。)


「ん、んんー。続きいいかしら?」


「え、あ、ごめん。まだ続きがあったのか。てっきり今のでおしまいかと…」


「終わりにしてもいいけど、聞けることは聞いときたいでしょ?まだ大事な目的を教えてないわよ。」


「そうだった。結局目的ってなんなんだ?」


「あの子が転移した時に願ったことにも繋がるんだけどね…あなたに会うのが目的よ。正しくはあなたの側にいたい、らしいわ。」


そ、そうだったのか!

なんだか嬉しいな。

はっ、突き刺さる視線がジトッとしていて痛い。


その視線の主であろうアイネを見る。

しかし、その目はいつも通りの目だ。

気のせいだったのか?

キョロキョロ辺りを見回す。


また突き刺さる先ほどの視線。


やはりアイネの方向から来ている気がするのだが?

けど、確認しても何事もないいつも通りの目なんだよな。

これは迷宮入りさせた方が良さそうだ。


「まあまだ〈スウィーセファンド〉を経ってはいないから、来るのは当分先ね。早くて秋といったところね。」


そうか、まだ先のことか。

ただしっかりと念頭には置いておこう。

俺も仲の良い幼馴染みが来てくれるというのなら嬉しい。



「あと、あなたと関係が深そうな子でいうと、商売神の所かしら?仏賀(ふつが) (かける)くんって子、知ってる?」


仏賀、仏賀 仏賀…

ああ、中学の頃の部活の後輩か!

そういえば同じ高校に入れましたって報告されたな。

あいつも隕石に巻き込まれていたのか。

バスの中に誰がいたか見ておけば良かったな。


「あの子は今言ったけど、商売神セルスが担当していてね。貰ったスキルを使って商いをしているらしいわよ。」


商売をしているのか!

あいつ、俺の2つ下だからまだ高校1年だぞ。


ん、待てよ。

あいつの家って自営業で店やってて時々手伝いしてるって言ってたから知識がないわけではないのか。

あと、あいつって確か異世界ものの小説よく読んでたな。

それがきっかけの1つで、俺と知り合ったんだった。

おそらく、いつか異世界行けたら、みたいな感じで想像もしてたんだろう。

知識チートってやつをやろうとしているに違いない。


それに商売神からスキルを貰ったって言ったな。

スキルという言い方をしているが、その実固有スキルだろう。


「それで、駆はどこにいるんだな?この大陸?」


「んー、それは難しい質問ね。この大陸といえばこの大陸、違う大陸といえば違う大陸にいるわ。」


どういう意味だ…


「その貰ったスキルで各地を転々としているみたい。だから、いわゆる住所不定ってやつね。」


とんでもない情報が飛び出てきたな。

各地を転々としているだと?

しかも、この大陸以外にも行っているらしい。

十中八九《転移》系の能力を持った固有スキルだ。


くっ、ここに来て欲しい。

この世界の物品を色々と融通して欲しい。

小麦、あわよくば米を持ってきて欲しい。


何とかコンタクトを取らなくてはな。


「商売神経由でコンタクトを取ることって可能なのか?」


「んー、あなたの幼馴染み以外はもう担当神と交流はないわね。望みは叶えたって感じで、これ以上の介入は神の法に接触してしまうの。だから、その手は使えないわ。」


くっ、自力で頑張るしかないと言うのか。


まあ異世界ものの読んでたあいつなら、この拠点に来るかどうかはともかく、きっとこの〈不抜の樹海〉には来る。

なぜなら、ここはいわゆる魔境。

この設定に惹かれないはずがない。

今はここに来るための前準備段階か他の魔境を目指しているかだろうな。

信じて待つしかない。



「さらに、あなたと関係の深そうな人物がもう1人来ているわ。」


一体誰だろうか。

バスの中に誰が乗ってたか分からない以上、絞ることはできない。

クラスメイトの誰かか?

それとも近所の知り合いとか?


しかし、その正体を知っているアイネは形容し難い表情を浮かべていた。

それは怒り、悲しみ、憤り、戸惑い、様々なものが合わさったミックスジュースのような感情を孕んでいた。

ミックスジュースと比喩したが、決してそれは甘いものではないだろう。


そして、やはりアイネの告げた人物は、俺に不安をもたらした。

この時の俺は、エスプレッソを遥かに上回る渋い飲みものを飲んだような顔を着ていたことだろう。




「――あなたの()()()も来てるみたいなの。」


……クソッタレが。

次回更新日は9/27(日)です。


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勇者?聖者?いいえ、時代は『○者』です!
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