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第42話 レインの実力

こちらは本日1話目です。

次話は18時の更新となります。

結局、魔石を使った魔力の適性チェックはしたものの、火だけではなく、水・風・土の全ての適性が低かったのだ。


異世界チートじゃないのかと落胆してしまった。

……せめて魔石レベルは使えるぐらいはあって欲しかった。


そして、基本の4属性がダメならば、と今回の探索に繰り出した

今回の探索のもう1つの理由は、光属性と闇属性の魔石の採取なのだ。


残念ながら、異世界定番の空間魔法や時魔法は、その適性を持つ魔石の存在が確認されていないため、魔石による適性チェックはできないとのこと。

そもそも、それらはスキルオーブでしか手に入らないと言われている稀有な魔法らしく、適性云々は存在しないらしい。


個人的にはそんな大仰な能力はいらないから、基本の4属性のうちのどれでもいいからスキルオーブを使って取得したい。

まあ適性もないから、スキルのレベルなんて上がりようがないんだがな。


とりあえず光と闇の適性チェックをしてないので、そちらの適性がある線は否定できない。

一縷の望みを託したというわけだ。




「……魔法使いたいな。」


思わず願望を口に出してしまう。

そう思ってしまうのも、無理はないと自分に言い聞かせる。

まだ例の洞窟へと向かう道中であるが故か、はたまた別の理由か、魔法に対する欲求が蓄積していく。


「無事討伐完了致しました。」


なぜなら、目の前でレインが魔法をフル活用して魔物を屠っていくからだ。

数頭の群れなど歯牙にも掛けない。

時には1匹ずつ、時にはまとめて撃破していく。


別に俺はバトルジャンキーなわけではない。

しかし、ここまで見事な蹂躙劇を見せられると、どうしても対抗心のようなものが芽生えてしまう。



「どうやら新手が現れたようです。」


そう言って、レインは臨戦態勢を取る。

先ほどから、《領域感知》の能力で、接敵する前に準備を整え迎撃をしている。


すると背後の茂みが揺れたかと思うと、複数の影が躍り出てきた。


……あれはセイバーマンティスか。

俺も倒したことがあるカマキリ型の魔物だ。

どちらかというと攻撃に重きを置いてあるタイプだ。


「……素材は必要ないから好きにしてくれ。」


「かしこまりました。シミラリーウィンダーズ!」


レインがそう言葉を紡ぐと、相手と全く同じ姿形の物体が目の前に形成される。

何度か披露してもらっている上級魔法だ。


この魔法は、風速100m/sほどの嵐を相手の姿と同じ質量体に形成し、そのまま突撃させるという能力を持つらしい。

台風が多い日本の瞬間最大風速が80m/sしかないことから、その威力の恐ろしさは想像に難くない。

ただ威力が強力な分、コントロールが非常に難しいらしく、場合によっては自ら作り出した嵐に巻き込まれ、そのまま巻き込まれて命の危機に瀕することも珍しくないとのこと。


風の塊が易々と斬れるはずもなく、攻撃重視のセイバーマンティスはなす術もなく、その圧倒的な風圧で粉砕されていく。

気付いたら、見るも無惨な状態の外殻や肉片が転がっている。


「毎度ほんと鮮やかな手際だな。」


「お褒めいただき恐縮でございます。しかし、これらは私だけの力ではありません。ご主人様がいらっしゃってこその力です。」


本人曰く、単身だとこれほど楽にこのレベルの魔物を屠ることはできないとのこと。

セイバーマンティスのレベルだと、1匹ずつ戦ったうえで長期戦は免れないらしい。


やはりというか、その差を生み出しているのがレインの固有スキル《滅私奉公するモノ》である。

俺を真の主と認めたことで完全に開花したようだ。

魔法技術自体に直接的な影響はないものの、身体能力が格段に上昇したことにより、魔力の総量も増加し苦もなく上級魔法の行使が可能になったとのこと。



まあその固有スキルが真価を発揮するのはやはり近接戦闘だ。


セイバーマンティスの死骸の臭いに引き寄せられ、また新たな魔物が姿を現した。


今度は防御力に全振りしたような魔物ガーディアンタトゥであった。

甲羅の固さは正直今まで遭遇した魔物の中でもピカイチを誇る。


勿論レインはその姿が目にする前から、いつでも戦闘できるように待機していた。

ほんと頼りになる。

どうやら今回は槍術で対処するつもりらしい。


レインの得意とする風魔法は、高い機動力を誇るものの、貫通力が基本の4属性の中でも低く、防御力の高い相手には通用にしにくい。

それを補う方法が武器を用いた戦闘だ。

レインの場合は高レベルの《槍術》があるため、その点も問題ない。

ちなみに使う槍は、リメが《生み出すモノ》を使用できた頃にこさえたジュラルミン製のものだ。


「しっ!」


短い掛け声と共に、一瞬にして敵背後に移動する。

俺の目からすると、消えたという表現が近い。

すぐに移動先がわかったのは、単に戦闘の定石を考えた結果だ。


フォン!――トスン。


風を切る音が聞こえた。

それと同時にレインは武器を片付けながら、こちらへと歩を進める。

どうやらこの一瞬で倒したらしい。


ピクリとも動かないガーディアンタトゥを確認すると、綺麗に甲羅から心臓部へ貫通した穴が開いていた。

見事な腕前だ。



ちなみに俺はリメを抱きながら、見守っていた。

そんな俺たちの足元は夥しい魔物の死骸だらけだ。

勿論俺の周りに張り巡らされた《分解結界》と《認識分解》を付与したミスリル糸のおかげだ。


レインが戻ってきたので、《魔糸操作》でミスリル糸を解除する。


「うん、この樹海でも十分通用するみたいだな。」


「いえ、ご主人様がいらっしゃってこその賜物でございます。」


そこまで謙遜しなくてもいいのな、と思うが決して口には出さない。

お互い譲らず、会話がループし続ける気がするからな。





無事数日間掛けた探索により、光と闇の魔石は手に入れることができた。

あくまでも、()()()()()()()()である。


結論から言うと、どちらの適性もありませんでした。

チャンチャン、非常に悲しい。

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