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第33話 レイン=クラリオネス②

若干胸糞悪い描写が出てきますので、ご注意ください!

主人公がやらかすわけではないのでご安心を。


こちらは本日2話目です。

前話は12時の更新となります。

未読の方は是非ご覧になってください。

「――まさか、本当にわたくしの状況までわかるとは…」


「ああ、今君が逃亡者であることも、鳥人族であることも、まだ不完全な固有スキルを持っていることも全て認識している。」


何度か先ほどから見ている驚愕した顔から戦慄した顔に変化する。

まあ、正体不明の相手に自分だけ一方的に情報を抜き取られているとなると、無理もない。

地球だったら、ストーカー扱いされて一発で警察行きもあり得る。


「んー、()()()()()()()()()?」


「……取引ですか?」


「そう、取引だ。内容は簡単、こちらからの要求は、君の身の上話を聞かしてくれ。答えてくれたら、俺は《鑑定》を弾いてるスキルを解除する。」


「……なるほど。どうせ救っていただいた命です。隠すほどのことでもないので、わたくしが逃亡者となった経緯を伝えましょう。」


そして、レインは語り出した。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


レイン=クラリオネスは元々別大陸で生まれ、冒険者となって、この大陸へと渡ってきた。

洗練された戦闘センスとその恵まれた容姿により、次々と活躍を見せ、最終的にAランクまで至った。


そして、山脈向こうにある〈レンテンド王国〉で活動していた時、自身の固有スキルについて聞いたジェンナー公爵家にスカウトされたらしい。

その結果、ジェンナー公爵家にて働くことになり、次期当主であるグライフ=ジェンナーの担当メイドとなった。


始めは慣れない環境のせいか、苦労していたようだが、固有スキルの補助的効果によりメキメキとメイドとしての実力をつけていった。

いつしか、ジェンナー家に"白翼の翼"あり、と呼ばれるまでになった。


しかし、次期当主はというと、レインの固有スキルの対象に自分がいつまで経ってもならないことに鬱憤をたまらせていた。

自分は強くそして賢いという、高いプライドを持つグライフにとって、それは屈辱でしかなかった。

その煽りを受け、日々何度も罵倒されるも、レイン自身その原因も分からず、ただただ苦悩する日々を送った。


いつしかグライフは考え方を歪め、レインに対して自身に対して嫁ぐように要求し出した。

さしものレインもその要求に応えるつもりは一切なく、固辞しづけた。

その求婚が次第とエスカレートし、レインはいつしか逃げる事を計画し始めた。


しかし、グライフは最終手段に出た。

就寝中であった彼女を無理矢理犯して既成事実を作ろうとした。

さすがにレインもその行為に抵抗し、グライフを失神させることで難を逃れた。


ただこれ以上居続けるのは危険と判断し、そのまま夜の暗さに紛れ計画していた脱出を敢行した。

船に乗り、沖合を移動していたところで、嵐に遭遇した。


その結果、漂流し、この場にたどり着いた。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「ちっ!」


思わず舌打ちしてしまった。

グライフとかいう公爵家の男の行為に反吐が出る。


「……な、何か機嫌を損ねるような事を言ってしまったのでしょうか?」


申し訳なさそうに聞いてくるレイン。

ふう、怒りを抑えなきゃな。


「いや、そのグライフとかいう野郎に嫌悪感を抱いただけさ。思い通りにならないからと、手をあげるなんてクズの所業だ。逃げてきて正解だな。」


「……己の身を案じていただき、ありがとうございます。」


「いいんだ、同じ男として代わりに謝罪する。本当に済まなかった。」


思考せずに反射的に行動してしまう。

こんなのでレインのトラウマが払拭されるなぞ考えていない。

しかし、頭を下げずにはいられなかった。


「あ、頭をあげてください。ジョー様には何の非もないでしょうに。」


なら、そんな悲しそうな顔しないでくれよ。

知らず知らずのうちに罪悪感が募っていく。


ふう、一回状況をリセットしなくてはな。



「悪かった、若干取り乱してしまった。」


「い、いえ、大丈夫です。」


相手の身の上話をしてもらったんだから、俺も義理は果たさないとな。

俺は自身に付与していた《分解結界》を解除する。


「じゃあ約束は守る……能力を解除したから、遠慮なく《鑑定》をかけてみてくれ。俺はそちらに危害を加える気は一切ない。」


虚空のある場所と俺の顔を何度も見比べている。

思わず何度見もしたくなるような鑑定結果が出ているのだろう。

しかし、残念ながら正真正銘本物だ。


「その結果は、その一切が紛れもなく事実だ。俺は固有スキルを越えた能力を持つ。だからこの土地でも十分に生きていける。」


「な、なるほど。そのような理由がございましたか……これなら納得がいきますね。」


まあ、これで疑いは晴れたかな。

もしかしてこの方が、とかなんか聞こえる気がするけど、聞こえないフリをする。




「それで、これからどうするんだ?時間はあるし、それを実現するために手伝うよ。」


どうせ数日の間は、何もできないんだ。

それならレインのためになることに費やしてあげた方が有意義だ。



「あ、あの、もし宜しければわたくしもこの地で一緒に生活させていただいです!家事は得意ですし、おそらく自衛するぐらいには戦闘できるつもりです。」



「はい?」


予想だにしなかった答えに思わず呆けてしまう。

おい、ここなんてさっさと去りたい場所の筆頭じゃないのか?

なぜにそんな覚悟を決めた顔をする。


「よろしいのですね?ありがとうございます。わたくし精一杯ご奉仕させて抱きます。」


「待て待て、さっきのはいは、疑問形だ。〈不抜の樹海〉なんて普通出て行きたがる場所じゃないのか?」


ご奉仕は若干魅力的なので、否定しないでスルーする。

だって男の子だもん。

……アイネが怒ってる気がしてきた。

夜にやったら速攻謝ろう。


「いえ、この地の方が都合がいいのです。おそらく国の方では、大規模的にわたくしの捜査網が敷かれることになるでしょう。しかも、相手は公爵家。国を越えても、捕縛しようとしてもおかしくはありません。その点、この地なら追手なぞ来れるはずがありませんから。」


まあ道理だな。

1ヶ月以上生活しているが、この地で会った異世界人はレイン1人だからな。

それに拠点も森の中にあるし、侵入者対策も施されてるから、抵抗も可能と。


「それに我が身を救われた恩を返させていただきたいのです。ほとんど一度捨てた命です。それを助けていただいた方のために賭したとしてもなんら問題はありません。」


いや、せっかく拾った命なんだし、自分の好きに使ったらいいんじゃないかな?

――いや、ダメだ、それは言ってはいけないと第六感が告げている。


「……わかった、それを望むなら叶えよう。」


「ありがとうございます、命を賭して誠心誠意尽くさせていただいます。」


ああ、もう何言ってもダメそうだな。

ここまできたら、どっしり構えて受け入れよう。

ただ、ひとつ気になる点を改善させないとな。


「ただ1つだけ約束してくれ。レインの命は、他ならぬ君のものだ。俺のために捨てたりすることだけはしないでくれ。これは約束だ。」


「はい、わかりました。しかと胸に刻み――んく!」


ん?どうしたんだ?

急に胸を押さえて……まさか傷口が開いたのか?


「ど、どうした?」




「どうやら固有スキルの対象にジョー様が認定されたようです。改めてこれからよろしくお願いいたします、()()()()!」


…………まじかよ…

次回更新日は明日です。お見逃しなく…


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勇者?聖者?いいえ、時代は『○者』です!
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