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第29話 そうだ、船を作ろう

こちらは本日2話目です。

前話は12時の更新となります。

未読の方は是非ご覧になってください。

異世界ジャガイモ、もといフバツソラヌンが順調に発育してきたある日、ふと思いついた。


――そうだ、船を作ろう。


理由はただひとつだけ。

川を使って、海まで移動するためだ。

帰りはリメの《ストッカー》で持って帰ってくればいいだろう。


川の流れに任せていけば、睡眠中も移動しづけることが可能であるから、効率が良い。

日中は魔法を使ってブーストかければ、3日ぐらいもあれば海に着けるんじゃないかな。


あと今後のことを考えて、移動手段のひとつでも持っておいた方がいいだろう。

リメの能力もあるし、保管にはそこまで困らない。

持ってなくて後悔することはあっても、持っていて後悔することはないものだ。



……それに実は今やることがなくて手持ち無沙汰なのだ。


既に6月の半ばに入り、アイネが来る日までおよそ1週間を切っている。

海への探索は今優先すべき課題である。

しかし陸路で今から海まで向かうとなると、アイネが来る日までに戻ってこられる保証がない。


しかし何もせずにアイネが来るまで、ただ無為に待機していることは憚られる。

アイネが本格的に地上に来るまで15ヶ月あるが、少しでもより良い環境にしたいと思うのは、惚れた弱みであろう。




幸いにも、拠点周辺の木々は直径が俺の身長以上のものがゴロゴロある。

中には直径5mクラスという化け物サイズもある。

今回は3mクラスのフバツハートチークを使う。


毎度同じ木しか使ってないような気がするが、しょうがない。

こいつが1番万能な木なんだからな。



選んだ木を切り出し、俺の能力で乾燥させる。

《素材分解》で不要な水分を飛ばすだけの簡単な仕事だ。


まあこの手法は耐久性が高いフバツハートチークにだからできる手段であって、他のものだと変化に対応できずにボロボロと崩れてしまう。

前に種芋を一瞬で乾燥させようとして試してみたら、見るも無残な状態になってしまった。



乾燥し終えた木材の形を整える作業に移る。

この木材で船側と船底を兼ねた部分を作るつもりだ。


完成形の船側と船底をイメージしながら、木材をカットする。


本来ならノコギリなどでやらないといけない作業だが、俺には《魔糸操作》のスキルがある。

《分解結界》を付与したミスリル糸を高速に振動させることで、電動糸鋸を異世界で再現した。

……これ、()()()()使()()()()()()()だな。


船のサイズもこの時点で決まった。

現時点で、長さ6m、幅2m、高さ1m20cmになった。



ある程度カットし終えた木材の、その中身をくり抜いていく。

丸木舟をイメージしながら、アンチディスダイト製のノミで削っていく。


ちなみに俺の能力では一部分だけ切り出すなんて器用な真似はできない。

()()()()という感じで、木を切り出したりすることは可能なのだが、途中までしか分解しないということは不可能らしい。

もしかしたらそのうちできるようになるかも知れないが、とりあえず現状は無理。


流石にこの作業は1日で終わらず、3日かかった。



次に他の船内設備を作っていく。


雨風をしのいだり寝泊りすることも考えて、船室を甲板の上に作ろうと考えたが、そんな技術はないので諦めた。

甲板の下の空間を前後に2分し、前方部を物資を貯蔵する倉庫、そして後方部を船室とした。


マストも建てることは忘れない。

適当な太さの木材を用意して、船中央よりやや前方部に立てる。

甲板下の部屋のスペースを潰さないように、境目の壁を通るようにしたからだ。


帆布はスタンピートボアの皮を利用することにした。

木綿帆布や莚帆布が素材の関係上、作れないからだ。

まあいずれはきちんとした帆布を作るつもりだから、代用品てところだ。



オールや緊急時用の丸太をくり抜いたカヌーなどの備品を作っていたら、アイネが来る前日になってしまった。

明日の日中にでも進水式と洒落込もう。


アイネと会った翌日にでも海方面の探索に出かけることにした。

そこからおよそ2週間を見込んでいる。

それ以上かけると、フバツソラヌンの収穫に間に合わなくなってしまう。


やり方を教えれば、オリ爺に頼むこともできなくはない。

しかし、最初の収穫ぐらいは自力でやりたい。

そのため、何がなんでも収穫時期には戻らないといけないのだ。



翌日、川の方まで行って、船を浮かべた。

自作の船だと思うと、少し感慨深いな。


1本の木をくり抜いて作ったこともあり、浸水の心配もなさそうだ。

まあ万能な《分解結界》を張ってあるし、そもそも心配はしてないがな。


安定感も……まあ問題はなさそう。

地球にいた頃に乗ったことのある、木造船と大差ないぐらいだ。

いやむしろ、こっちの船の方が安定している気がする。

作り手の偏見ってやつかもしれんな。


船着場を作ったりすることはしない。

川幅はそこまで広くはないし、余分なスペースを取れない。

作るなら大規模な造成工事が必要になってしまう。


あと、そんな高頻度で船を使うつもりもない。

今回行ったら1ヶ月は出かけることはないだろう。

それに、いちいち浮かべてある船の状態を見に行くのも億劫だ。



再びリメの《ストッカー》に収納してもらい、拠点に戻る。

そこで物資を船室に詰め込んでいく。


あまりリメの能力を使いすぎると、リメが大きくなってしまうからな。

両手で抱き抱えられるぐらいの大きさが個人的にはベストだと思ってる。

だから、腐ったりしない日用品類はそのまま船に乗せておいた方が良い。




作業も終わったことだし、今夜の食事の用意でもして待つかな。

俺はレシピを考えつつ、アイネが来るまでの時間を潰すことにした。

次回更新日は明日です。お見逃しなく…


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