第27話 異世界ジャガイモ畑
こちらは本日2話目です。
前話は12時の更新となります。
未読の方は是非ご覧になってください。
畑の管理をしてくれるオリヴァントが仲間に加わったので、色々と余裕が生まれた。
ちなみにオリヴァントの名前は一晩考えた。
ずばり、オリバー。
オリヴァントだからオリバーというなんとも安直な名前になったが、後悔も反省もしていない。
呼ぶ時はオリ爺と呼ぶことになった。
ちなみに向こうは俺のことを
一応アイネに名付けに関するルールを聞いた。
魔力と対象の合意があれば、問題なく行えるとのこと。
魔力は今の俺でも問題ないらしい。
合意とは魂レベルから認めないといけないらしく、催眠系のスキルで無理矢理ということはできないらしい。
……てか催眠系のスキルもあるのね。
欲しいと思ってしまうほどに男子高校生魂が疼く。
前日に植えたオリ爺のところへ向かう。
実は名付けを行ったおかげで、オリ爺と会話が出来るようになった。
その仕組みとしては、一定距離以内での念話みたいな感じである。
「おう、調子はどうだ?」
『だいぶ良きところですな。正直儂が前おった場所よりも土の状態が好ましいですな。しかも、水脈があるようで地中の水分も豊富でございますな。』
そうか土の状態も悪くないのか。
これなら思う存分畑作業ができそうだ。
俺はフバツソラヌンをリメに出してもらい、オリ爺に栽培方法を説明する。
『ほう、フバツソラヌンですか。確かそれは猛毒な根菜であった気がするのですがな…』
やはり魔物と中での常識は、食べることのできないものという括りなのだろう。
そこは問題ないから育てて欲しい、という意思を伝える。
『……なるほど、それは主であれば毒なぞ造作もないことでありましょうな。これは余計な心配でしたな。』
ほっほっほっ、と笑うオリ爺。
……どんだけ俺を出来る奴認定してんだよ。
さすがに生で食ったら召されるぞ。
畑は家から見て北西エリアに作ることにした。
1つの種芋でどれぐらい収穫できるかわからないから、3畝分ぐらい作ることにするかな。
まず、リメとオリ爺に頼んで土魔法を使い、畑を耕してもらう。
俺はそれの指示を出す。
確か向こうだと、1畝あたり70〜80cmとかだったから余裕もって1mの幅を確保する。
1畝あたり10個ほどの種芋を植える予定だから、1畝あたり大体5m程の長さになった。
盛り土の高さは実際にフバツソラヌンを採取した時と同じぐらいの深さ10cmぐらいにする。
よしよし、なんだが農業感が出てきたな。
『適当に耕せばいいと思っておりましたが、なかなか奥が深いですな。』
オリ爺はなんだか感心した様子だ。
どうやら、新しい知に触れられて嬉しいらしい。
長い間変化のない生活送ってきたとか言ってたしな。
魔物だというのに、なんだか知識を得ることに貪欲である。
次に種芋を植えていく。
種芋はアイネが来る前に作業して置いた。
今頃いい感じに乾燥している頃だろう。
俺は鉱石倉庫の隣の倉庫へ入って行った。
そこは食糧貯蔵庫である。
実は鉱石用だけでなく、農作業で採取した作物を貯蔵するための倉庫も建てていたのだ。
と言っても、今は倉庫内には乾燥させている種芋しかない。
元の状態から半分程に切り分けた種芋が転がっている。
この作業は子供の頃から手伝わされてきたから、慣れたものである。
昨日は若干雨で湿気が多かったので心配であったが、フバツソラヌンの特性なのか、特に問題なく乾いていた。
その種芋を畑まで運び、30cm感覚で植えていく。
幸いにも、オリ爺の枝で同時に複数ずつ植える作業が可能になったため、効率が上がった。
リメは1つ植えようと頑張ってた、可愛かったです。
これで作業は終わった。
収穫時期を考えると、これから数日以内に芽が出てきてもおかしくはない。
異世界に来て初の農業、非常に楽しみである。
それから数日間のんびりと狩猟したり、他の作業の下準備をしたりと過ごしていた。
すると、ある日の朝オリ爺から芽吹いたとの念話を受け取った。
早速家を飛び出し、畑の様子を見に行く。
話を聞く分だと、芽がひょっこり出てきただけかと思ったが、そんなことはなく次の段階に移行するレベルまで育っていた。
恐るべし、異世界ジャガイモ。
俺は、芽の選定である芽かきと、成長に合わせた土寄せを行う。
勿論リメとオリ爺にそのメカニズムを説明する。
2人(?)とも、飲み込みが良く、すぐに理解して作業を手伝ってくれた。
これ以降の段階の作業についても説明したので、万が一俺がここを離れていてもオリ爺がしてくれるはずだ。
これで安心して他の仕事をこなせる。
本来ならここまでで農作業は終わりなのだが、ここは異世界、使えるものは全て使う。
生えてきたフバツソラヌンに対して、俺は《分解結界》を付与する。
一応目的としては、害虫・害獣対策だ。
尤も《分解結界》なら、たとえ竜種といえど危害を加えるのは困難を極めるだろう。
オリ爺が不思議そうにしていたので、試しに魔法で攻撃してみろと促す。
始めはそんなことできない、と抵抗していたが、絶対に傷付かないと言い放ったら、渋々だが魔法を発動してくれた。
どうやら、嘘だと思っていたのだろう。
弱い威力の魔法で傷付かないと見るや否や、次第に威力が高い魔法へと移行していった。
そして、自身の持つ最高威力の魔法が弾かれると、意気消沈した調子で言葉を発した。
『……まさかこれほどまでとは…』
ふふん、俺の《分解結界》の性能を思い知ったか!
ちなみにリメは過去の自分に想いを馳せるような感じでオリ爺の挑戦を見守っていた。
次回更新日は明日です。お見逃しなく…
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