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第26話 オリヴァント

こちらは本日1話目です。

次話は18時の更新となります。

突然だが、無事人手が増えた。

と言っても勿論人間なのではない。




無事昨日の悪天候も深夜には回復し、今はまさに台風一過の快晴である。

そんな澄み渡った空の下で、当面の食材確保のため拠点周辺で狩りをしていたら、敵対する前に全面降伏してくれた魔物が現れた。

まさか向き合うや否や、自分の持っている素材を即座に差し出してくるとは思わなかった。


これはもしやと思い、リメに意思疎通を図ってもらう。

俺は魔物と会話できるなんてそんな器用なスキルを持ってないからな。

リメを介して会話するしかないんだ。



[オリヴァント]

  直径15cmほどの果実をつけ、それに釣られた

  生物を自身の枝や蔦で捕食する木型の魔物。

  いわゆるトレントの亜種。

  枝や蔦には《活力吸収》のスキルがあり、接触

  している間、相手は生命力が徐々に失われ、そ

  れを栄養に変えられてしまう。

  栄養過多になると、つける果実の数が増加す

  る。

  果実は高級な食用油として使われることもあ

  り、需要の多い素材である。



そう、俺がいつかお世話になった、オリヴァントの実を強奪した相手であった。

その時は時間がなかったので、果実だけ切り落として採取させてもらった。

だから今も無事に生きていて、眼前に立っている。


相手としては、もう戦いたくないと認めているのであろう。

だから、こうしてお近づきの印に自身の実を差し出したのだろう。



お、どうやら話が終わったようだ。

こちらが向こうを庇護下に置く代わりに、毎月1つ果実を提供してくれることになったようだ。

……なんかペコペコされているような気がする。


庇護って具体的に何すればいいんだろう?

衣食住の保障、いやトレントだから食住の保障だな。

住は問題ないとして、食は何を与えればいいんだろうか。

余ってる魔石とかで大丈夫かな。


リメに確認してもらう。

お、大丈夫そうだ。

じゃあそれでよろしくお願いします。


一応ちゃんとした能力の方も確認してみるか。



名前:名無し

種族:オリヴァント

立場:[味方(屈服)]一帯の魔物の主

能力:《活力吸収》Lv6《領域感知》Lv5

   《土魔法》Lv6《水魔法》Lv2


《活力吸収》

  能力をしようとした対象の生命力を吸収し、自

  身の生命力へと変換する。

  ただし、対象と自身の一部が接触している必要

  がある。

  生命力の吸収量およびスピードはレベルに比例

  して増加する。


《領域感知》

  自身のテリトリー内への侵入者を感知する。

  また《気配感知》とは違い、面で感知するため

  に、《気配遮断》で認識を阻害されても、その

  違和感を認識できる。

  感知可能距離はレベルに比例して増加する。


《土魔法》

  土魔法をどれぐらい扱えるかの指標。

  Lv6だと、下・中級魔法と、一部の上級魔法ま

  でが使用可能。


《水魔法》

  水魔法をどれくらい扱えるかの指標。

  Lv2だと、一通りの下級魔法が使用可能。

  


へえ、野生の魔物ってこんな感じに見えるんだ。

やはりお約束で名前はついてないんだな。

異世界ものだと、名付けって大事ってよく聞くし、ちゃんと考えてからつけてやろう。

……魔力切れとか死なないよな?


それにしてます能力はだいぶ畑管理に向いてそうだな。

言ってみれば、農作業可能というなかなかハイスペックな案山子といったところか。

餌になる魔石は能力的に、土と水系統のものにしてやろう。

これは頼りになりそうで何よりだ。




よし、じゃあトレントだっていうし、畑予定地の方へ植え替えるか。

生物は《ストッカー》に入れられないため、リメに強化魔法をかけてもらい、持ち上げて拠点を目指し歩く。


どうした、オリヴァント?

ちょっとプルプルしてる気がするんだが。

もしかして高い所がダメなのか?

少しの間だから我慢してくれ。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


◇木型の魔物オリヴァントの目線



儂はこの樹海で生まれてだいぶ長い時を生き抜いてきた。

こう見えてこのあたりなら負ける魔物はおらんよ。


生まれて数年ほどは常に外敵に身を襲われ、何度殺されかけたか覚えておらん。

じゃがある時に、ここら一帯の主であった魔物が別の者に襲われたのか、満身創痍で儂の下で横たわりおった。

その機を逃さず、儂はそやつのエネルギーを全て奪い取った。

それ以降、この一帯で負けることはなくなった。




その日もなにも変わらず、近くにやってきたリスポーンラビットを捕食するという日であるはずだった。

しかし、奴は現れた。


最初見た時に思わず目を疑った、遠い昔に殺したことのあるニンゲンという種にそっくりであったからの。

ニンゲンという種は基本的に群れなければ弱いし、群れたとしても弱い。

この樹海だと底辺の方に位置するぐらいの弱さじゃな。


どうせ此奴も同じだろうと思って、果実がなる枝を近づけ、接近してきたところを蔦で捕まえようとした。

其奴は一瞬喜びを顔に出し、躊躇なく前に足を踏み出しおったわ。

狙い通りに動きおったので、間髪入れずに蔦で捕縛をした――()()()()()()



突然儂の出した蔦がバラバラになりおった。

奴は抵抗する動作など出さなかったはずじゃ。

いったいなにが…

そう思い、辺りをよく見ると、ミスリルでできたはずの糸がそこら中に張り巡らせておった。


はず、と言ったのは、あまりにもミスリル本来の性能と乖離しておったからだ。

触れれば全てを切り裂かんとする、比喩ですらない圧倒的暴威を感じた。

誰がやったのかなぞ、考えるまでもなくわかった。

奴であった。


久しぶりの自分より格上の者と遭遇し、命の危機を感じた。

儂はその運命を受け入れようとした。

しかし、彼奴はそれ以上何かするわけでもなく別方向へと去っていった。




後日、また()()()がやってきた。

今度は前回と様子が違い、しっかりとこちらを見据えておられる。

……無理じゃ、勝てる方法が思いつかん。

儂はすぐに実を差し出し、助命を嘆願した。


すると、前回は見られなかった者が進み出てきた。

――スライムか?

いや、明らかに存在感が違う、こちらもまた歯が立たんレベルなのだ。

この見た目に騙された愚かな者も多いだろう。



話をしてみると、ごっとはーとすらいむ?という明らかに格が違う種族であった。

……神獣とか聞いておらんぞ。


そして、どうやら配下になって欲しいとのこと。

しかも、配下になった暁には住処と食い扶持を保証してくださるらしい。

願ってもない条件であった。


儂は迷わず即決した。

そして、食い扶持の確認で魔石になると伝えられた。

これまた素晴らしい提案じゃった。

わざわざ要らない部分まで捕食する必要がなくなる。



拠点の近くに連れて行くと言われ、主人に持ち上げられた。

その時、神獣の方から1つ脅しがかけられた。

何事かと、思わず気圧されてしまった。



――()()()()()()()()()



いや、儂に可愛がる要素はないから、ご心配無用じゃよ…


拠点近くの大地に下され、そこで根を生やすように促された。

どうやら、ここに畑というものを作るらしく、それの管理をして欲しいとのこと。


一帯の魔物の主、改め畑の管理人。

それが儂のこれからの役目じゃ。

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