第20話 洞窟探索
こちらは本日1話目です。
次話は18時の更新となります。
スパッ――グギャ…
今俺は洞窟の中をいる。
昨日の失態を反省し、注意深く奥へ進んでいく。
スパスパッ――キュウ…
目的は、いくつかある。
1つ目は、室内灯用のブライトモスおよびルミレットフライの確保。
2つ目は、調味料になりうる岩塩の確保。
3つ目は、鉱脈による各種鉱石の確保。
以上、3つである。
スパッ――バタッ…
スパスパッ――ゲヒャッ…
……ふふふ、やはり新しく手に入れた能力はすごいな。
先ほどから、全く自ら進んで手を下さずとも敵対生物を排除できている。
固有スキル様々だぜ!
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
◇昨夜の話の続き
「《魔糸操作》か…こんなのが手に入るとは、あいつはここいらの主とかだったんだろうな。」
『へえ、どんな能力なの?』
「ああ、説明するよ」
《魔糸操作》
固有スキル。
一定時間現界できる魔力伝導率の優れたミスリ
ル製の糸を創造し、それを自由に操作すること
ができる。
また、元々存在するミスリル製の糸も自在に操
作できる。
さらに、不要時はそのミスリル糸のみを亜空間
内に貯蔵できる。
糸の現界時間および創造量はレベルに比例して
増加する。
『あら、思ったよりもなんか地味で弱そうな固有スキルね。これはハズレかもね。』
「……いや、そんなことはないな。正直これ以上ないくらい俺にぴったりだ。」
『そう?けどその糸は一定時間したら消えちゃうんでしょ?服とか作れないわよ?』
「これでいいんだ。まあ心配はいらないさ。俺なら使いこなせる。」
『……ならいいんだけど。せっかくの固有スキルなのにもっと派手なのならよかったのにね。』
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
そう、これ以上ないくらい俺の権能と合っている。
《魔糸操作》で作り出した糸に、権能による《分解結果》と《認識分解》の能力を付与する。
これでおしまい。
認識困難な高耐久・防御無視の特製糸の完成。
それを周囲に展開するだけで先ほどから、襲ってきた魔物が切断されていく。
スパン――ビャッ…
ほら、また仕留めた。
一応倒した魔物に対して、《情報分解》を使用として目的のに関係あるか調べる。
ちっ、ハズレか…
鉱脈前に着いたので、リメに《ストッカー》にて各種鉱石を採取してもらう。
鉄、銅、鉛、アルミニウム、亜鉛…ベースメタルとなる鉱石は全て洞窟内で賄えそうだ。
ああ、セメント作りたいから石灰石と石膏も採ってもらわないとだ。
その間、俺はリメが落ち着いて採取できるよう、魔糸をし続ける。
ふと《情報分解》で周囲を見渡していると、各種鉱石以外にも目的の1つが見つかった。
[クロージャーゼン岩塩]
名前の通り、クロージャーゼン山脈で採取され
る岩塩。
長年山脈で堆積していた結果、コクがあり非常
に濃厚な風味を持つ。
光魔法の性質を持ち、円錐形に盛ると対アンデ
ット用の結界になる。
お清めに使用できるタイプの塩なのか…
どちらかというと、塊のままなら物理的に投げつけてもダメージ与えられそう。
あと説明文見てるだけ、美味そうな塩であることが伺える。
早く料理に使ってみたい。
わりとさらっと念願の岩塩を手に入れた。
スパッ――ヴィイン…
また何か切断したな。
もはや当たり前になりつつある。
そして同じ流れで《情報分解》を使い、殺した魔物を見る。
[ルミレットフライ]
臀部より光を放ち、それに群がってきた生物を
仕留めて捕食するホタル型の魔物。
《照射》というスキルを使い、臀部より放つ光
量を自由に操作して、相手の視力を奪い、一方
的な狩りを行う。
成長した個体の中には、光魔法を使えるように
なったケースもある。
臀部の光源はそのまま灯りとして使えるが、燃
費はあまり良くなく素材としては少し残念。
ご都合主義の神様がいる気がしてならない。
まあ接敵してもおかしくないくらい、洞窟の魔物に襲われたんだけどな。
早速《素材分解》をして、目的の光源を確保する。
……まんま電球だな。
発光器官諸々組み合わせても、光源である豆電球と魔石という電池とスイッチみたいなものが太めの神経でつながっている。
なんか理科の実験の回路みたいだな。
まあ、ちゃんとした光源を作れるようになるまでの代用品だしこんなもんでいいか。
燃費が良ければこのまま実用化しても良かったが、魔物の説明文にしっかりと燃費が悪いと書かれている。
うん、頑張って考えよう。
その後何度かルミレットフライと遭遇することができ、10個ほどの発光器官を手に入れることができた。
魔石に関しては、昨日の森での乱獲分でことが足りるであろう。
いくつかの鉱脈も周り終わり、ある程度の鉱石類を確保できた。
そのおかげかリメは貯蔵量に比例して大きくなっている。
具体的には俺の背丈と変わらないぐらい。
……帰ったら倉庫を作って管理するかな。
やはり腕の中に収まるくらいの大きさのリメが1番かわいいし構いやすいな。
こんなに大きいと愛でてあげることが難しいからな。
早くあのサイズのリメに会いたい。
洞窟から出ると、どうやら日が暮れるところのようであった。
だいぶ長い時間洞窟内にいたらしい。
わりとさくっと目的を達成したつもりだったんだけどな。
夜の移動を控えて、昨夜と同様に《分解結界》付きの小屋の中に入る。
慢心過信油断ダメ絶対、反省した俺は無理をしない。
この樹海で生きていくんだ、注意深いに越したことはないだろう。
ちなみにブライトモスは確保できなかった。
ご都合主義の神様なんていなかったんだ…
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