第13話 拠点作成⑤〜トイレの問題〜
少し下品な話になりますが、大切な住環境の一部です。ご理解のほどお願い致します。
こちらは本日2話目です。
前話は12時の更新となります。
未読の方は是非ご覧になってください。
目が覚めると同時に俺は飛び起き、家から飛び出した。
そして森の中に駆け込み、一息つきスッキリとした顔になった。
「やはりトイレが最優先だな…」
そう、今俺は生理現象による現実を叩きつけられた。
昨日から何度か用を足してるがその度に茂みの方まで行かなきゃ行けないのは困る。
さすがに《分解結界》があるとはいえ、襲われるかもしれない場所で平気なほど肝っ玉は座っていない。
そういう理由で朝食に昨日採取した木の実を食べた後に河原へ向かった。
目的は、トイレ本体を作るための素材だ。
セラミック製のものを作るために必要になるのは、長石・珪石・粘土などである。
幸いにもこれらはありふれた素材であり、河原で全て採取することができた。
「じゃあリメ早速作ってくれるかい?」
地面に絵を描きながら説明する。
本来であれば、水で流せるようにするところであるが、そんな技術はない。
そのため、作る部位は最低限で、穴の開いたほとんどおまるのような感じになった。
それをリメの《生み出すモノ》で作ってもらった。
うん、まんまおまるだな。
掴むところがあれば幼児用に販売できそうなレベルだ。
そして、物はついでとセラミックを大量に用意して家に戻った。
これらはあとで食器とかにしてもらおう。
トイレの本体が手に入ったので、次の問題は場所だ。
昨日作った家だが、さっそく改築作業が必要になった。
リビングキッチンにおいて私室と反対側の壁の方へ新たな部屋を作ろうと考えた。
……忘れていたが、風呂も作らないとだな。
それ用の部屋も増やしておこう。
それにまた必要になったするかもしれないからまとめていくつか作らないとな。
その結果、新しく4部屋できた。
作業自体は慣れた物で昨日より断然早く終わった。
そして新しくできた部屋の中で最も入り口に近いところをトイレにすることにした。
ここまで来て、やっと自分の考え足らぬ点に気付いた。
排泄物、どうやって処理しよう。
小説とかの知識に基づくと、その多くはスライムなどを使って処理している。
しかし、ここではその手は使えない。
なぜなら、現状近くにその用途に使えそうなスライムはいないからだ。
このような弱肉強食の地に、弱者の頂点に位置するような魔物は生息できないだろう。
おそらく樹海に入って1時間もすればミンチである。
また、仮に生き残っているスライムがいたとしても、それらはとんでもない戦闘力を持つ化け物スライムである。
そんな魔物が大人しくトイレの中で静かにしているなんてことはない。
つまり、定番の方法が使えないのだ。
……リメ?
確かに分類上はスライムであるがそんなことは頼みたくない。
個人的にはもはや大切な家族でペットだからだ。
ほら、そんなこと思ってたら嬉しそうにすり寄ってきた。
よしよし、お前はそのままでいいからな。
「それにしても困ったな。」
ひとまず地面から3mほどの穴を掘り進めておく。
リメに魔法を使って貰ってるから手間はさほどかかっていない。
ん?そうか魔法か!
持っている能力を使えばいいんじゃないか!
トイレ問題解決に一筋の光が差した。
そういえばリメは自分以外にも魔法を付与していたな。
となると、俺の能力も付与できるんじゃないか?
おそらく《素材分解》が付与できれば問題は解決する。
不要なものを分解処理できるようになった今、排泄物をその不要なものとして指定すればいい。
後々処理する必要もないし、これ以上ない手だ。
そして実験は始まった。
試しに適当な木の葉に《素材分解》の付与させようとしてみる。
しかし、上手くいかない。
どうしても葉自体を分解してしまう。
けどここで諦めては俺のスイートトイレ生活が終わってしまう。
その後もひたすら付与し続け、やっとのことで付与させられるようになった。
そして動物の糞の上にその葉を乗せると、みるみるうちに分解して消えていき、最終的にはただの地面のみが残った。
対象全体に付与するのではなく、表面のみに付与させるようにしていたらできた。
同じ容量で違うものに対しても、付与していく。
木の棒やさまざまな石に付与させていき、いずれも無事に付与させることができた。
目処が立ったのでトイレ作成に戻る。
セラミック製の板を用意して、先ほど開けた穴の底や壁の表面に敷き詰めていく。
隙間なく埋めたところで《素材分解》を付与していく。
不要な分解対象は排泄物および洗浄用の水だ。
……成功だ。
試しにひと座りしてみたが、快適に用を出すことができた。
トイレの脇に用意したセラミック製の壺から水を組み中へと流し込む。
この水は川からリメに貯蔵してもらって持ってきた水だ。
トイレットペーパーの代わりはかぶらない柔らかめの葉を使用した。
ふふふ、これで人権を得たな。
トイレのある生活のなんて素晴らしいことか。
もう大自然の中でフリーダム排泄をしないで済む。
その夜、アイネから連絡が来て、昨夜同様に話をした。
トイレができたということでアイネもなんだか嬉しそうだった。
……いや確実に昨夜よりテンション高かった。
なんかあったのだろうか?
それともそんなにトイレ好きなのだろうか?
聞くに聞けず、その日の会話も終わった。
そして何もない室内でリメを枕にして横になる。
明日こそは家具作ってベッドで寝たいな…
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