Different Sides(2)
4連休初日なので、臨時更新致します。
この機会に是非ブックマーク等お願いします!
こちらは本日1話目です。
次話は18時の更新となります。
◇創造神・アイネの状況
『――おやすみ、俺の女神様…』
こちらからの声が聞こえない状態にしただけで、実はまだ通信は繋がっていたのである。
「なんなのよ、あいつ。とんだ天然ジゴロね」
歯の浮くようなセリフばっかり言って、仕方ないやつ。
私は大丈夫だからいいものの、他の子に言ったら多分その子はジョーのことを好きになってしまうわ。
私は大丈夫だけど。
大事なことだから2度言っておくわ。
そんなこと言いながら、その実アイネは顔がこれでもかというほどににやけている。
頬はすっかり赤く染まっており、嬉しさが隠し切れていない。
それもそのはず、なにせこの女神は初めて告白されたのである。
永劫の時を生きてきた中で、晴天の霹靂とも思える経験であった。
それに対して、悪い気はせず、むしろ好感を抱いてしまったのも無理はないだろう。
勿論他の誰かに惚れたりしたことはない。
そのため、おそらくだが時間の問題と言ったところだ。
「もう仕方ないんだから、ジョーったら。また明日の夜も連絡してあげなきゃね。なんだったら向こうから連絡して欲しいな。」
ものすごくルンルンしている。
思わず情景描写が稚拙になってしまうほど、すごくルンルンしている。
ただ残念なことに丈から連絡することはスキルの関係上できないのだ。
アイネがスキルを使って連絡しないと、応対できない。
その事実に後々チョロ女神は気付くことになる。
「創造神様、よろしいでしょうか?」
ふと、声が聞こえた。
その声がした方を見ると配下である神が立っていた。
まさか今までのを見られた?
思わず動揺してしまったが、努めて表面に出さずに返事をした。
「あら、リブネね。ノックもなしに入るとはどういう要件かしら?」
「……いえ、申し訳ございませんが、何度も扉の方を叩かせていただきました。それに入室して良いとの返事をいただきましたが…」
「え、あ、そうね。その通りだわ。」
嘘である。
あまりにも浮かれて上の空であったため、入室許可をしたことが記憶に残っていない。
一方の配下の神は主人である創造神の痴態を見なかったとこにした。
気にはなったが、まずは職務が優先だ。
「はい、私の担当した者が地上に降り立ったので、ご報告させていただきたく存じます。」
「あら、他の子たちはとっくに報告に来たわよ。随分時間がかかったのね?」
「いえ、少々問題が起きまして…それも含めてお伝えさせていただこうと。」
「?まあ、いいわ。教えてちょうだい。」
そして、その配下の神--生命神・リブネは報告を始めた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
◇幼馴染み・清水めぐりの状況
「--ここが異世界…」
私は異世界にたどり着いた。
そして草原の間にある大きな道に立っている。
丈の持ってた小説で何度か読んでいたが、実感がまだ湧かない。
『はい、こちらがあなた方の言う異世界でございます。この世界は…』
そして、この世界に関する基本知識を教えてもらった。
読んだ小説の知識が活かせそうね。
ふふ、丈に感謝しなくちゃ。
ちなみに、これが私の能力みたい。
名前:清水 めぐり
種族:ヒューマン
能力:《救い癒すモノ》
《言語理解》《鑑定》《隠蔽》
異世界ものの必須基本能力に加えて、固有スキル?という他の能力より優れたものも1つ貰ったわ。
「それで丈はどちらにいるんですか?私は早く会いに行きたいのですが…」
そう、丈に早く会いに行かなくてはならない。
それが私の望みだし、きっと1人で寂しく思ってるはずだわ。
多分彼も私がこの世界にいることは聞いたに違いないし。
すると、私の担当である生命神は申し訳なさそうに言った。
「……彼が今いらっしゃるのはこの大陸東端の〈不抜の樹海〉です…」
〈不抜の樹海〉、先ほど聞いたが最悪の土地らしい。
今私がいるこの世界で2番目に大きな大陸である、ツヴァイング大陸の東端に位置している樹海だ。
凶悪なモンスターが跳梁跋扈し、一般人なら入って半日生きていられれば幸運と言われている。
ちなみに私は大陸のほぼ中に位置する中立都市〈スウィーセファンド〉の近くにいるらしい。
「え、嘘、なんで?」
「彼の担当が私の主人である創造神様だったのです。それで望みを叶えるためにと転移先に選ばれたのがその地でした。」
私の中で冷たいものが流れる。
生きているの?と確認したくない。
まさかずっと死にたかったとかじゃないよね…
すると、その心中を察してか生命神様は言葉を紡ぎ始めた。
「もちろん今も生きておられます。どうやらその地で生活しようと住居を建てられています。勿論その地で生きていけるだけの能力を与えられたようです。」
良かった。
思わず瞳から何かが溢れそうになる。
ちゃんと生きていると安心したためか、私は落ち着きを取り戻した。
「そこまでここからどれくらいかかるの?」
「歩いて行くとなると少なくとも半年、馬車など乗り継いで行けば3ヶ月ほどとなります。」
「そう、じゃあすぐに向かいます。方角を教えてもらえますか?」
「……向かう分には構わないのですが、ギルドでBランク以上でないと樹海に入ることは許可されないのです。なので、とりあえずは最寄りの都市にてギルドに加入なさってはいかがでしょうか?」
今は少しでも時間が惜しいけど、仕組みがあるなら仕方ない。
ちゃんと手順は踏んで行かないとね。
私は生命神様の言葉に従って、ギルドに加入するため〈スウィーセファンド〉を目指した。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
◇再び創造神・アイネの状況
「………ふーん。」
リブネからの報告が終わった。
絶対その子ジョーのこと好きじゃない。
なんかわからないけど心の奥底の方でモヤモヤとしたものが感じられる。
「それでどうしたの?」
「……はい、可能でしたら彼に出会えるまで私が彼女のサポートをさせていただきたく存じます。」
ふーん、そんなに彼に会わせてあげたいのね。
ほんとリブネったら優しいんだから。
「まあいいわ、許可しましょう。」
「寛大なご処置ありがとうございます。」
「……どうせ私の方が先に会うからいいわ。」
「?なにかおっしゃられましたか?」
「いえ、別に。ああ、もう下がっていいわよ。」
すると、リブネは頭を下げて退室した。
思わず声に出てしまったみたい。
けど、私の方が先に会えることに変わりはないわ。それに毎晩話ができるし、私の方が何歩もリードよ。
……けど、その子幼馴染みとか言ってたわよね。
油断できないわ、色々と先を越されないようにしなきゃね。
明日からもっとコミュニケーション取ろうっと。
お気づきだろうか?
もうこのチョロ女神、手遅れである。
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