第12話 拠点作成④〜初代マイホーム〜
通算2,000pv達成しました!
こちらは本日2話目です。
前話は12時の更新となります。
未読の方は是非ご覧になってください。
では、ログハウス作りを始めたいと思う。
日の傾き的に、あと2時間もすれば辺りは暗闇に包まれそうなんだが、間に合うのだろうか?
まあ急ぐしかないのだがな。
まず、リメに頼んで魔法で地面にいくつか穴を開けてもらう。
この穴には先ほど必死こいて持ってきた束石を埋めるのだ。
地盤を安定させるために、河原からリメに《ストッカー》で運搬してもらった砂利で埋めることも忘れない。
砂利はリメの魔法で操って流し込めるからいいが、束石に関しては完全手作業だ。
こんな時身体強化する魔法を使えられればなあ。
リメ、ちょちょっと掛けてくれないか?
……どうやら、人に付与できるらしい。
もっと早く言って欲しかったな。
あ、別にリメを責めてるわけじゃないよ。
だから申し訳なさそうにプルプルしないで。
リメのおかげで作業効率が上がった。
あまりにも便利だったので、真っ先に身体強化の魔法を覚えようと思った。
そして瞬く間に束石を配置し終えた。
いくつか束石は余ったが、これらは別途有効活用させる。
次に木々を綺麗に隙間なく重ねていく。
リメの《生み出すモノ》のおかげで完璧な加工が施されたログがドンドンと用意される。
勿論材料は耐久性が高く度々お世話になってるフバツハートチークさんだ。
寸法もミリ単位どころかマイクロやナノ単位であってるんじゃないか、と思うぐらいピッタリだ。
そのおかげで作業も滞りなく進む。
ある程度積み立てた段階で窓を作る。
ガラスを用意するのも手だが材料もないし、それより良い素材もあるのでそちらを活用する。
そう、余った束石となっているアンチディスダイトである。
リメのスキルでできるという保証はないが、物は試しだ。
もしガラスの代用品として使えれば、地球の強化ガラスなんて目じゃないほどの逸品が作れる。
やはり難しいものの、加工自体は可能らしいのでリメに頼む。
なるべく薄く伸ばしてアンチディスダイトの向こう側が見えるようにする。
厚さが1mm程度で程よい感じの透明度になった。
試しにリメに魔法で攻撃してもらう。
火・水・風・土の魔法が雨霰のように降り注ぐ。
しかし割れずに傷1つつかない。
あ、リメが悔しそうにしてる。
まあ高い耐久性は証明できたから良しとしてくれ。
最後に扉を作っていく。
金属である蝶番の問題も、アンチディスダイトで解決した。
ここもこの鉱石である必要はないんだが、鉄とか基本的な鉱物がない以上これを使うしかない。
フバツハートチークといい、まったくもって贅沢な使い方だな。
せっかくだから覗き穴とノッカーもつけておこう。
来客があるとは思えないが、もしもの場合に備えてつけておこう。
勿論どちらもアンチディスダイト製だ。
そして遂に住居が完成した。
外は既に真っ暗だが、もう室内にいるので問題はない。
しかし、まだ照明を作っていないため、室内も暗い。
明日になったら解決しなきゃな。
あ、家具も何もないな。
家具ならリメに頼めばできなくはないが、デザインとかもあるし、しっかりと時間をかけて作りたい。
まああまり細かい装飾はつけれないし、つける気もないんだが…
とりあえず今日は雑魚寝かな。
ん、リメ枕になってくれるのか?
それはありがたいな、助かるよ。
そして俺は微睡の中に意識を落としていった。
『ちょっと、夜になったら連絡ちょうだいよ!』
頭の中に声が響いてきた。
誰だ、って一瞬思ったが、アイネか。
そう言えば夜お話しするって言ってたっけ?
「あー、アイネか。すまん眠くてな…」
『ふーん、忘れてたわけじゃないのね?まあ、いいわ。とりあえずお疲れ様。』
これはバレてるな、拠点作りですっかり忘れてた。
ここは素直に謝っておいた方がいいか。
「まあすまん、忘れてたと言えば忘れてた。けどおかげで立派な家ができたと思うよ。」
『素直に謝れるのはいいことよ。……それにしてもだいぶ規格外な家ね。フバツハートチークに星外の鉱物なんて。私、その鉱物に関しては初めて知ったわ。』
「そうなのか?神々なら知っていて放置してるとばかり思ってたんだが…」
これは驚きだ、神々が知らない、少なくともアイネが知らない物質だったとはな。
『………星外のものは残念ながら私の認識外なの。おそらく配下の神々も知らないと思うわ。もし知っていたなら、神託なりでその鉱物の取り合いで戦争が起きるわ。』
「まじか、絶対に隠し通さなきゃな…」
『ええ、お願いするわ。それで住居の話に戻るけど、木製の家にしたのね。ログハウス?だったかしら、エルフが作る家と同じような感じなのね。』
気になるワードが聞こえたけど、今はとりあえずスルーしよう。
どうせ、言葉を介して会話できそうな者に会えるのは当分先だからな。
それにしてもエルフか、ロマンだから会いたいな。
『……若干今邪なこと考えなかった?』
あ、不機嫌になった。
俺が他の女性を考えただけで不機嫌になるとは、これはますます期待が持てるな。
なんやかんややはりチョロインな気がする。
「……いや、考えてないよ。それで家だけど3部屋作ったよ。まず玄関入って最初の部屋は、一番大きく作った部屋で、リビングキッチンと呼ばれるものだ。まだ家具も何もないからわからないと思うけど、ここで料理したり会話しながら寛いだりするスペースだ。ちなみに玄関で靴を脱いでもらうよ、家の中を汚れにくくするためね。」
『ふーん、玄関で靴を脱ぐのね。それも地球の文化ってやつかしら?』
「んー、どちらかというと俺が住んでいた日本の文化だな。俺の中ではこれが当たり前だったから、こっちでもそれにしたい。」
『なるほどね、そういう文化も存在するわけね。それで、残りの2部屋は?同じぐらいの大きさな気がするのだけど。』
「残りは俺とアイネ、それぞれの私室だよ。1人で過ごしたい時はこの中で過ごすんだ。寝室も兼ねてるから、寝る時はこの部屋だね。」
『え、べ、別々で寝るの?』
「おい、なんだ?もう付き合う気満々なのか?まあそういうことになったら、俺の部屋のベッドを大きくしておくよ。」
アイネの発言に思わず笑ってしまった。
もう付き合う気満々じゃないか。
『………い、一応の確認よ。そ、それにまだつ、付き合うと決まったわけじゃないわ!』
「はいはい、そういうことにしておくよ。なぜか焦って照れてる顔が見れなくて残念だ。きっと可愛い顔してるんだろうな。」
『い、いい加減にしなさい!も、もう今日のところはこの辺で終わりね。はい、決定!』
これはからかいすぎたかな?
まあ少しだけでも話が出来て俺は満足だ。
すっかり約束を忘れていた自分をぶん殴りたいぐらいだ。
「わかったよ、名残惜しいけどこの辺で。アイネの私室にはとりあえずベッドだけは用意しておくから、こっち来たときに他に欲しいものを言ってね。」
『そ、そう、わかったわ。ありがとう、そうさせてもらうわ。私も話ができて良かったわ。じゃあまた明日の夜ね。おやすみ!』
そして一方的に連絡が途絶えてしまった。
だいぶ焦ってたんだろうな。
まあ明日も1日頑張ろう。
「おやすみ、俺の女神様…」
俺は聞こえるわけではないのに、そう呟いて、意識を手放した。
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