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第106話 グライフの問題

この度、仮題であったタイトルを変更しました!

理由として、日常パートに比べてシリアスや戦闘パートの方が多く、「思ったより、のんびりスローライフ送れてないな…」と思ってしまったからです。

最終的にはのんびりスローライフな感じで終わらせるつもりではあるので、これからもよろしくお願いします!!



新作投稿しました!

勇者?聖者?いいえ、時代は『勝者』です!

https://ncode.syosetu.com/n5294gq/


※本格的な投稿開始は来年からですので、予めご了承下さい。

「そうか、そんなことがあったのか…」


無事に〈安息の樹園〉に帰ってきたところ、拠点メンバーが慌てて集まってきた。

今日は狩りの予定もなかったため、拠点内に皆が留まっていた。


本来の帰ってくる時間はもっと遅いはずだったのだ。

それなのに、日もまだ高いうちに戻ってきたため、異常事態が起こったと思ってしまったようだ。

まあ実際アクシデントは起きたのだから、間違いではない。


出来事の経緯を説明し終わったところで、OXさんが一言ポツリと溢すと、何か考え込むようにして黙ってしまった。

そのOXさんから滲み出るオーラは酷く淀んでいる物であった。

決してポジティブなことを考えているわけではないのだろう。

間違いなく厄介事を思い浮かべている、んだと。


他の皆も感じたのか言葉を発することなく、静かにOXさんが口を開くのを待った。


「……近いうちに王国の手先が押し寄せてくるかもしれん。」


聞きたくない言葉が出てきた。

だが、詳細を聞かないと絶対後悔する。


「どういうことだ?」


「話せば長くなるんだが…」




まず、今の〈レンテンド王国〉を統治しているグライフ=ジェンナーについての話を始めた。


彼はどうやら相当の野心家で自信家。

目に見える結果・メリットを何よりも重視しており、それらを自慢することに幸福を覚えるのだという。

その一方で、自分の欲しい物にかかる自身以外の犠牲は気にせず、またそれによって生まれた弊害・デメリットは考慮することはない。

自分だけ良ければ全て良しというご都合主義的思考回路の持ち主であるらしい。


そんな彼が今や王国の最高権力者に上り詰めた。

次に見据えるのは、自身の栄華を極めることだろう。


それで1番効率の良い方法は何かとなった場合、挙げられるのが王族を自身に嫁入りさせることになる。

一般的な貴族的感性だと、王族を身内に据えることは、自身の権威を正当化させるためのことである、と考えることができる。

だが、実際は王族出身の女性という宝石を己の手中に納めたいという欲求が主であろうとのこと。


その筆頭候補として上がっているのが、第五王女であるフィアナと考えられるらしい。

現在レンテンド王家の王女と考えられる存在は6人存在する。

フィアナの上4人は既にジェンナー家を除く公爵家もしくは他国の上位貴族の元へと嫁いで行っている。

末妹は未だ2歳と非常に若く、両親共に猫可愛がりされており、今回の事件で帝国領へと亡命している。

しかも、計画段階に過ぎないらしいが、帝国王家の王子との婚姻が結ばれる予定のようだ。


その点、フィアナはまだどこにも嫁いでいない。

別に他王女に比べて、容姿なり頭脳が劣っている訳ではない。

むしろ今代の王女の中で最も優れていると言っても過言ではないらしい。

では何故嫁いでいないのかとなると、どうやら血筋が途絶えかけた時のバックアップ要員として残されているためだとか。

万が一今代の王子が皆亡くなり、なおかつその者達が子を成していなかった場合、国内外の他貴族から婿養子を迎え入れ、女帝と統治するという方針であるようだ。



次の話題は、何故フィアナを捕らえる部隊が都合よく襲撃してきたかについてだった。


先の話題でグライフがフィアナを狙っているということは理解した。

そして、グライフは今もまだフィアナを捕縛しようと躍起になっている可能性が高いと考えられるらしい。


各国には大きな魔力の高まりを感知するための組織が少なからず存在しているとのこと。

〈レンテンド王国〉も例外ではなく、少数ながら組織運営されている。

本来の役目としては、戦場などに同行し、相手の動きを予測することにある。

そして平時はというと、王国の組織の場合は、特にすることはなく、専ら研究や鍛錬に勤しむことが多いらしい。


だが、グライフはその組織をフィアナ捕縛のために運用していると考えられるようだ。

それこそ人員を追加するなどして、組織の規模を拡大した上で。

それにより、昼夜問わず広範囲に渡る魔力反応の観測が可能になった。


戦時の大規模な魔法による殲滅が行われていない限り、最も高い魔力反応を示すのは各国王家の魔道具が使われる時と言われている。

そして、中でもレンテンド王家の物は転移魔法の効果を宿しているため、少なくとも大陸内では1番の魔力規模になるという。


王国の魔力観測の組織は勿論そのことを熟知しているため、今日転移したことを観測した。

その報告を受けたグライフやそれに近しい者が〈イルガシャーシ公国〉内にいた工作員を緊急動員したことにより、あんなにも早く囲まれるという事態に陥ってしまったのだとか。



で最後が問題になるのが、今後起こりうること、らしい。


転移の魔力の観測は転移前の地点と転移後の地点の2カ所で観測される。

大きな力を使う弊害ということらしい。


つまり、今回の場合、王家の魔道具の魔力を観測できたことにより、転移直前のこの〈安息の樹園〉の位置がバレた可能性があるらしい。

昔は〈不抜の樹海〉は魔力観測の範囲外であったためあまり問題視する必要がなかった。

だが、グライフがどこまで組織を拡大していたか分からない今、特定された可能性も無視できないとのこと。


グライフは〈不抜の樹海〉そのものを軽視する傾向にあるらしい。

そのため、フィアナを手に入れるためにこの地へ追手を差し向ける可能性が高い。

また、最悪の場合、軍団レベルで来てもおかしくはないとまで言っていた。



結論として、先の"赤雷"ことエルグランドをはじめとする〈レンテンド王国〉の手の者と、いつ交戦関係になってもおかしくない、と考えられる。




OXさんの話を聞き終えた今、なんとも言えない空気が漂う。

よくよく考えてみれば、ここにいるメンバーのほとんどが王国出身者である。

国がらみの厄介事に巻き込まれて、いい顔する者はいないだろう。


当事者である姫様はちょっと涙目になって俯いている。

グライフに目をつけられたことに対する嫌悪感か、はたまた周りの者に迷惑をかけてしまうことに対する罪悪感かは分からない。

ただ1つ言えるのは、年頃の少女に与えてはいけないレベルの重圧である、ということだ。


だが、しかし…


「まっ、もう覚悟はしてた。」

「グライフならやってもおかしくないですね。」

「俺達が姫様を守ってやろうぜ!」

「何も悪くない姫様が可哀想です。」

「"赤雷"だかなんだか知らんが、まとめてぶっ倒せばいいんだろう?」


意外と早くその陰鬱とした空気は解けた。

王国出身者がこぞって、打倒グライフの意思を示し始めた。


すると、必然的に他の国の出身者の者も賛同する旨を示し始めた。

勿論俺もだ。

ほとんど身内になった、同世代の女の子が困っているのだ。

ここで立たなきゃ俺の矜恃に反してしまう。



「ありがとうございます!私は幸せ者です!」



皆の言葉を聞き終えた、姫様は瞳から大粒の涙を溢しながらも笑顔でお礼を言った。

その顔は今までに見たことないくらい綺麗だった。

次回更新日は明日です。お見逃しなく…


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勇者?聖者?いいえ、時代は『○者』です!
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