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第97話 新作物の問題

こちらは本日1話目です。

次話は18時の更新の予定となっております。

執筆の関係で多少遅れて投稿になるかもしれませんので予めご了承下さい。

『ねえ、ジョー。いいこと教えあげようか?』


気づけば10月末になっていた。


〈安息の樹園〉とゴブリンの侵攻を止めた壁との間の空白地帯の改善が今日終わったのだ。

北側は一面のフバツソラヌン畑へ、南はステラヤマギュウを飼育するための牧場へと変わった。


そして、今はいつものごとくアイネとの念話の最中だ。


「それは気になるな。是非教えてくれ。」


『ふっふー、どうしようかなー?』


今夜も俺の女神様は上機嫌で可愛いです。

残念ながらアイネの表情までは分からないが、声のトーン的にニコニコしていることは間違いないだろう。


『あっ!そうだ、当ててみてよ。』


「ふっ、いいだろう。」


俺は根っからのクイズ好きだ。

そんな俺の性格を知ってか、アイネは度々俺に質問形式で会話してくれる。


『じゃあ、いつものように10回ね。いいものが何を指しているのか当ててね。』


そして、よく行うのが、二十の質問という物当てゲームだ。

特定の文言をYESかNOで答えられる質問、もしくは回答を規定数以内で当てるというルールである。

一般的には、その権利は20回与えられる。

だが、しかし俺とアイネはこれを10回で行なっている。

これと言った理由はないが、この方が緊張感があって燃えるのだ。


とは言ったものの、ふむ、いいものか…

脈絡もなく出されたクイズなのだ。

おそらく今までの会話の流れは関係ないだろう。


まあとりあえず定番どころを言っておくか。


「1つ、それは動物もしくは魔物ですか?」


『いいえ。』


「2つ、それは今の気温で個体ですか?」


『はい。』


「3つ、それは自分よりも大きいですか?」


『はい。』


なるほどな。

思ったよりも絞れたんじゃないか?


ここでもしも動物とか言われたら、困ってたな。

残念ながら俺はこの世界の動物や魔物に関する知識は今までに遭遇したものしか知らない。

それこそファンタジー定番のオークとかも、未確認のため知識がない。

なので動物や魔物でないと分かったことにホッとした。


となると、植物か無機物ってことになるかな。

そして、俺よりも大きい物であると確定している。

植物だと樹木類になるだろう。

無機物だと岩石、遺跡になるだろう。

ここをさらに絞った方が良さそうだな。


というか、先に植物云々、無機物云々聞けばよかったな…

まあルールだ、もうどうしようもない。


「4つ、それは植物ですか?」


『はい。』


くっ、やはり権利の無駄打ちだったな。

だが、これで植物であることが確定した。


アイネはいいものと言っていたな。

その通りであるのなら、少なくともウドの大木みたいな植物ではないだろうな。

何かしら利益があるタイプの植物。


可能性が高そうなものと言えば…


「5つ、それは香辛料ですか?」


『いいえ。』


くっ、まさか外すとはな。


多少願望の面が強かったが、香辛料であってくれたら、どんなに良かったことか。

香辛料があれば、容易に保存食が作れるからな。


今は塩漬け程度しかできていない。

これは冬に備えることを考えると、割と死活問題。

まあ現状リメの《ストッカー》で事足りてはいるんだけどな。

けど早めに解決しないとな。


となると、一体なんだろうな。

選択肢が思いつかない。

ふーむ、せめて情報を増やすか。


「6つ、それは樹木ですか?」


『いいえ。』


「7つ、それは根が素材となりますか?」


『いいえ。ふっふっふー、今回は苦戦しているようね。』


2連続でいいえが続いてしまったな。

解答権を考えると、あと質問は2つまでしかできない。

なんとかしないとな。


いや、ここまで来たらいっそのこと…


「……8つ、それは調味料に使えますか?」


『はい。』


おい、最早願望に近い質問にまさかのはいが返ってきたぞ。

落ち着け落ち着くんだ。

冷静になった考えなければ。


香辛料ではない調味料。

なおかつ根の部分が素材にならない。

ふむ、もう()()しかないな!


「アイネ、答えだ。9つ、それは――だ。」


『ふふっ、正解。いいものでしょ?』


「ああ、最高だな。」




翌日、俺はリメと一緒に南下していた。

採取自体に時間がかかることはないため、なるべく迅速に動くための人選だ。


最近時間を共にすることが少ないことをレインが不満そうに言ってきたが、鋼の意思で耐えた。

あの寂しそうな表情は、正直反則かと思った。

OXさんの娘のルテアのションボリ顔も破壊力は抜群だった。

俺じゃなきゃやられてたな。


俺だってのんびりスローライフを過ごしたいんだよ。

ただ足りないものが多すぎてそれどころではない。


しかし、今日を以て大きな問題の1つが解決する。


「っと、この辺りだった気がするな。」


リメの風魔法で移動するため、景色は飛ぶように変わっていく。

その間はとてもじゃないが俺の視力は追いつかない。

なので目的地付近に着いたら、そこからは自力で歩いて探さないといけないのだ。


リメに鑑定系スキルがあればいいんだろうけどな。

残念ながら持っていないんだよな。

ただこの前確認したら、スキルが1つ増えてた。

どうやらアイネが気を利かせて付与したらしい。

あまり正体がバレるとヤバいということで、《上位隠蔽》の上位互換スキルの《隠蔽体》だった。


まあ、おそらくバンダーとファナ夫妻にはバレてるんだろうな。

今更ながらだけど。



果たして、目的の物は眼前で青々と成長していた。


それは、見事な大きさのサトウキビであった。


地球にいた頃は農家であったため、ある程度の作物は直に見たことがあった。

しかし、サトウキビは熱帯や亜熱帯で栽培される作物。

雪国出身の俺からしたら、お目にかかれない存在であった。

無論テレビや図鑑などでは見たことがあったが。


しかし、それが今目の前にある。

さらに言えば、それは俺の抱えている食環境を確実に向上させる存在としてだ。

手に入れたい欲が際限なく膨れ上がる。


ポヨンポヨン。


「ああ、ごめんな。ちゃんとやることやるよ。」


いつものように《情報分解》を使う。

ここはどこまでいっても異世界なのだ。

地球のものとは一線を画す品種であるのには間違いない。



[マトウキビ]

  不抜の樹海に自生する甘蔗の一種。

  周囲や地下の魔素を吸収して成長し、その魔素

  量によって成長度合いは変化する。

  平均して半年、最短で1ヶ月で成長し切る。

  また、一度生えた地は専用の環境に変化するた

  め、他作物は少なくとも5年は生育させること

  が難しくなる。

  それ以外は一般的な甘蔗と変わらない。



連作しかできなくなる作物か。

これまた珍しいものだな。

取り扱いが難しそうだが、まあ区分けすれば問題ないな。


さっさと収穫しないとな。

持ってきた鎌に《分解結界》を付与して、瞬く間にマトウキビを刈り取っていく。

刈り取った物は順次リメの《ストッカー》内へと入れていく。



……ふぅ、終わった。

それにしても、かなりの量だな。

50平米はあったんじゃないか?

地下株が残っていれば、またそこから成長するらしいから、問題はないだろう。


俺は作業を終え、リメと〈安息の樹園〉へと帰還した。

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勇者?聖者?いいえ、時代は『○者』です!
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