設定など(イオについて) ※ややネタバレ含む注意
本篇中で詳細に説明できていない設定などを載せています。
随時、項目など加筆していく予定です。
基本的には、ある程度読み進めて頂いたことを前提に書いています。
過度のネタバラしはありませんが、本篇中では伏せられている事柄や裏設定なども含まれるかと思いますので、興が削がれるという方は見ないのが良いかと思われます。
・イオ
アストラル技研で創られたバイオロイド。型式は「XX48cz-EgVI-S」。正式な呼称は「イオ・イャフキエル・ボスポラス・フォン・アストラル」。「イオ」は木星の衛星、「イャフキエル」は生命の樹を守護する智天使、「ボスポラス」はギリシア語で「牝牛の渡海(ギリシア神話のイオが牝牛の姿で渡った海峡にその名を残している)」の意味に、それぞれ由来する。なお、イャフキエル(ザフキエル)は別名をイョフィエルと称呼することもあり(と言うか、イョフィエルと同一か)、また、共に智天使の長としてエデンと生命の樹の守護者でもあるのだが、イョフィエルはカリストのセカンドネームでもあるため、イオとカリスト、ふたりの「存在の近さ」を反映していると言える。
型式から考えればカリストの後発機であるが、実際には僅かに先行してロールアウトしている。そういった事情もあってか、イオ自身はカリストよりも「年上」であるかのように考えているが、ふたりとも設定年齢は16歳になっており、ほぼ双子と見なせるほどに設計思想も近い。ただし、社外にいるカリストとは異なり、会社に残っているイオは最新の機関や機構に更新し続けているため、その性能差は開いていく一方である。戦闘用バイオロイドとしては平均的な性能で、際だって特化された部分は無いが、それゆえに汎用性に優れ、カリストと同じく日常生活に良く適応する。
身長140cm、体重35.5kg。前述の通り設定されている年齢は16歳で、カリストよりは僅かに背も高いため年長に見えないこともないが、それでも16歳には見えない。ただし、立ち振る舞いや態度はカリストに比べれば遙かに大人っぽいため、明らかに子供扱いされることは少ないし、ムネも少しは膨らんでいる(カリストに比べて、だが)。髪色はフラクスン・ブロンド(いわゆる亜麻色)。髪型は前髪を切り揃えたストレートロングであるが、ロールアウト直後にカリストに勧められるままツインテールにし、現在もその際の記憶を消去されているにも関わらずツインテール(正しくはツーサイドアップ)に結わえている。また「エンケラティス時代」には結わえずにいた(本人的には変装のつもりだったらしい)。瞳の色は明るいブラウンだが、内心ではカリストのコバルトブルーの瞳色を羨ましく思っている。右利き。設定上の血統はスラヴ系ゲルマン人。設定上の血液型はAB型。
カリストのことを自分より遙かにカワイイと思い込んでおり、また、イオとしてはそうであってもらわないと困る(?)ため、ほとんど自覚できていないが、イオ自身も相当に優れた人目を惹く美しい外見をしている。
もっぱらアストラル技研の内勤制服を着用し、戦闘が予想されるときにのみ戦闘制服に着替えるようにしている。カリストが言うにはイオの下着は「しましま」とのことである。
良く言えば非常にメリハリの付いた性格をしており、強気の時にはノリだけで何でもこなす勢いの良さを持ちながら、慎重さを要するときには徹底的に細心に振る舞うなど、良くも悪くも気分に左右されやすい。容易に激昂したり、一転して落ち込んだりと、気持ちのムラも比較的大きい。幼稚な言動ながらどこかしら超然とした部分さえ感じられるカリストに比して、イオの性格は思春期の少女に特有な不安定さと自信の無さを感じさせるが、そういった部分を自覚しながらも、それを外に出さないように努める気の強さも持ち合わせている。
一見すると誰に対しても常に無遠慮な物言いをしていると思われがちであるが、一線を越えないように自制はしているようである。常識的で真面目ではあるが高い自尊心を持っていると同時に恥ずかしがり屋でもあるため、誰に対してもなかなか素直になれない。時に攻撃的な言動が見られるのは、自分の真意を悟られるのを恥じているためである(ただしカリストには変な部分で見透かされやすい)。意外と猜疑心が強く批判的で、何にでもまずケチを付ける傾向があり、どちらかと言えばネガティヴな考えに陥りやすい。意固地と言えば意固地であるが、何事にも強い信念を持って当たり、自分の判断や決めごとは容易には曲げようとはしない。正義感が強く、不正や御為ごかしを嫌っており、否定すべきは明確に否定する。
初対面の相手には付き合いにくそうな印象を与えかねない面もあるが、実際は高い道徳心を持ち情に篤く、優しい性格である。カリストほど感受性が強くないため、他者の心情を汲むようなことはあまり得意ではないが、信義や恩情に対しては万難を排してでも応えようとする。意外と耳年増なところがあり、アダルトな物事に対しては興味があるがゆえに過剰に反応しがちである。一見するとリアリストであるが、実際はかなりのロマンチストである。
カリストに対しては友情や姉妹愛を超えた心情で接し、すでに自覚するまでに深い愛情を向けている。そういった意味ではカリスト以上に同性愛志向が強いとも言えるが、実際のところ、恋愛感情を向ける同性はカリストのみであるため、厳密には同性愛者というわけではない。また、男性に対して「自分が女性」であるということを過度に意識しているため、なかなか上手く接することができないが、カリストがいなければ、普通に異性に好意を寄せていた可能性も否定できない。カリストとは双子とも言えるほどに近い姉妹機ではあるが「血の繋がった姉妹」という意識はほとんどなく、あくまで同胞であり親友である(これはカリストも同様である)。なので(同性だということの是非は別にして)近親恋愛という禁忌を犯しているという意識は互いに無い。根拠は不明ではあるが、本篇中にもあるように、イオはカリストの「おヨメさん」になると考えているようである。
イオはカリストへ無償とも呼べる愛情を持っている。本篇中では互いに相思相愛だと確認はしているものの、それ以降は特に具体的な進展はない。ただし、幼稚なカリストはさておき、耳年増なイオは「その先」へ進むことを念願しており、常にカリストに対して僅かに発情し続けている(本人もよく判ってはいないようだが)。
本篇中にもあるように、ギターなどの楽器を弾くこと、およびヴィンテージギターの蒐集を趣味としている。ギター以外の楽器(いわゆる「ロック楽器」)全般も巧く扱うことができ、作詞作曲や歌うことも得意である。ほか、古典的SF小説やジュヴナイル小説(いわゆる「ラノベ」)など、読書も趣味にしている。カリストの趣味趣向が特に珍奇なため、その陰になって目立たないが、イオも相当に偏った知識と趣向の持ち主であり、風変わりと言えば充分に風変わりである。
カリストのことを食いしん坊だと揶揄することも多いが、実際はイオも相当に食欲旺盛な方で、きちんとした健康的な三度三度の食事は欠かさない。空腹になるとあからさまに不機嫌になるという短所を持つ。自炊は得意ではないので、会社にいるときにはバイオロイド用の喫茶店を主に利用している。