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KallistoDreamProject  作者: LOV
その2:ブランデンブルク門、及び近所の池での些細な事件
38/150

第14話

若干ですが卑猥・性的な表現が含まれます。

ご注意下さい。


 カリストの籠絡に失敗した美幼女は、転げ回っているカリストを蔑み見ながら、忌々しげにその端麗な顔を歪ませて吐き捨てるように宣言する。

「いずれにしても連れて行くわ。それからもう何も考えられなくなるくらい滅茶苦茶にしてあげる」

「むわあ~!」

「あなたは私専用の人形オモチャになるの。昼も夜もなく、何日も何日も気が触れるまで弄んであげるわ」

「むわあ~!」

「……本当に趣も嗜みも無いのね」

 まだ頭を抱えて悶え転がっているカリストに、いい加減ウンザリした様子の美幼女。溜息をついて思わず顔を背ける。

 その瞬間を見逃さず、カリストは素早く飛び起きて全速力で逃走を図り……美幼女に遮られた。信じられない反射速度と動作で美幼女はカリストの前に立ち塞がっていた。

「ふぇ!?」

「本当に愚かね。だから言ったでしょう? あなたは私から逃れられない」

 それから再び厭らしい笑みを浮かべて続ける。

「あまり“おイタ”が過ぎるなら、手足をもぎ取ろうかしら……イモムシみたいな姿にして飼い慣らすのも面白いかも」

「んう」

 イオから伝えられている限り、バイオロイドは身に危険が迫った場合に自動的にリミッタが外れ、非常に高い戦闘機動を行うことができるとのことだった。今こそが「身に危険が迫った場合」なのだろうが、しかしなぜかリミッタが解除されないのだ。これでは抵抗しようにもムリがある。今のカリストは見た目と同様に「せいぜい12歳くらいの普通の女のコ」程度のチカラしか出せないのだ。

 そんなカリストの心中を再び見透かすように美幼女は言う。

「何度も同じ様なことを言わせないで。あなたが仮に全力で機動できたとしても、私には絶対に敵わない。無駄なことは考えないで。そんなことよりも……」

 そして不意にカリストのムネに手を伸ばし軽く突いた……カリストは抗うこともできずに腰が砕けてヘナヘナと芝草の上にシリモチを着く。

「ああぅ」

「どうせ何をしても無駄なんだからヘタな悪足掻きはやめて、あなたは黙って私の言う通りにすれば良いの。そうすれば今後は何かと手心を加えてあげるわ」

 美幼女は冷たい笑みをカリストに投げかけ、しゃがみ込んでいるカリストの傍らに膝を突いて、その肩に手を掛けた。

「ただ痛い思いをするのと、気持ちイイ思いをするのと、どちらが良いかしら? もっとも……気持ちイイとは言っても、あなたの場合は初めはそれなりの苦痛も伴うでしょうけど……その純潔の証を私に捧げなさい?」

 正直、カリストは先ほどから美幼女が何を言っているのか、その真意のほとんどを理解できないでいた。一緒に楽しく遊ぶというならそれも悪くはなかったが、何かを強要されたり自由を奪われたりするのはカリストの本意ではない。

「砂糖菓子みたいに華奢な肩……このまま握り潰してしまおうかしら?」

 美幼女はゾクゾクとする笑顔で嬉しそうに呟く。

「あなたは愚かだから何も判っていないようだけれども、その綺麗で無垢な顔が快楽のいろに焼け爛れるまで、ココロもカラダも私がねぶり尽くしてあげる」

「んう……い、イタイよっ……!」

 肩に掛けられた手が、何の気なしに万力のように締め付けてくる。数字にするなら数トン近い圧力だ。

「ほら……壊されるのが厭なら、私の厚意を素直に受け容れなさい? その可愛らしい瞳に精一杯の涙を浮かべて、“もう赦してください、好きにしてください”って哀願するのよ」

 自らの言葉に陶酔したようにウットリとした表情で身震いすらする美幼女。

「だらしなくヨダレを垂らしながら濁った瞳で私を求め続けるあなたを愛でたいの。すぐよ、すぐにそうなるわ」

 そして心底から可笑しそうに嗤い声を上げた。この世のモノとは思えない清楚で淫猥な嗤い声……この期に及んで、ようやくカリストは「このコはマトモじゃない」と感じた。アタマがヘンだとか、そういう次元ではない。もう根底から尋常ではないのだ。


 ウンともスンとも言えずに怯えているカリストに対して美幼女は一方的に焦れ、その両肩に手を掛けると、ついにそのまま押し倒してきた。実際には「押し倒す」などと言えるほど優しいモノではなく、カリストは芝草の上に上半身を叩き付けられる。

「んうっ!」

「もう良いわ。返事なんて意味がないもの……何と応えようともあなたは私に囚われ痛ぶられ奪われるしか途がないのだから」

 そう言うや否やカリストに覆い被さる。まるで大蛇が獲物を締め殺すかのように手足をカリストのカラダに巻き付けながら、その細い首に手を掛けたのだった。



 もう何が何だか判らない。何の確証もなしに「ここ」だとヤマを賭けた。ヴァレンタインは賛成も反対もしない。藪と灌木の枝を掻き分けて林の奥に進むと不意に視界が開け、小さな湖沼に出る。

「カリスト、よくこの辺でカエルの観察してるみたいだし……」

 キョロキョロと辺りを見回してみると、灌木の影にカリストの小型バイクが停められているのを見つけた。イオは手を叩いて飛び跳ねる。

「やったわ! やった! 喚び合ったわっ! 引き合ったっ!!」

「急いでカリストを探そう! もう接触されているみたいだ!」

「たぶん岸辺にいるわ! 前にそう言ってたし!」

 ふたりが転がるようにして湖岸まで走り、見れば、そこに今まさに何者かに乱暴されようとしているカリストの姿があった。

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