Другая точка зрения:Рождество(Еще раз)
恒例のクリスマス用の特別篇です。
現在進行している本篇とは時間軸的に直接の関わりはありません。
いつもこの時期になると、会社のみんなからの期待と冷やかしの視線を強く感じる。そういう風に見られているんだと思う。たぶん。確証はない。けど、私たち(カリストはどうだか知らないけど!)が思っている以上に周りのみんなは私たちの動向が気になっているものらしい。
特にディオネあたりがしつこく訊いてくる。
「ねぇ? イオ、あんたたちクリスマスの予定とかどうなってんの? どこかに食事にでも行くの? そのあとはどうするの? なんだったらどうすればいいのか教えてあげようか?」
「し、知らないわよっ! あのバカに訊いてよっ!」
実際のところ、予定は決まっていた。私がカリストの部屋に行って、ふたりでささやかなクリスマスパーティーをするのだ。パーティーと言ったって大人数で賑やかにやるでもなし、要は単なる「お部屋デート」なんだけど……。
そういえば、バイオロイドが大勢集まってパーティーみたいなイベントをするなんてハナシはいまだかつて聞いたこともない。社内には間違いなく30人以上の同胞がいるはずなんだけれど、本当にたまに廊下ですれ違ったりブランデンブルク門の周辺で姿を見かけたりする程度。その時でさえ、せいぜい軽い挨拶をしたり手短に雑談する程度で、そんなに互いに執着しないし、必要以上に感慨深く思ったりもしない(実際は内心ドキドキしちゃうんだけど)。深い部分で繋がっているのが判っているからこそ、普段は案外と素っ気ないものなのかな。
そんな状況にも関わらず、私とカリストの「関係」についてだけは、なぜかみんな充分に把握しているようだった。噂レベルの話ではなく、もう公然とした事実のように扱われてるらしい……ディオネのハナシに依れば。
ディオネが私を指さして、その指先をクルクルと回しながら言う。
「あんたたちって、ほら、もう社内じゃ公認カップルみたいなもんじゃない? バイオロイド同士が本当に愛し合えるのかどうか、みんな気になってんのよ」
「はあ!? わ、私たち女のコ同士だしっ! バイオロイドだしっ! そ、そういうんじゃないしっ!?」
「私は堂々とレズビアンだから前半部分には納得できないなー? あんたのこと大好きだし」
ディオネは平気な顔でこういうことをズケズケと言ってのける。本気なのか、私をからかっているのかは判らないけれども、レズビアンだというのは本当らしい(本人が公言しているだけなので真相は不明なんだけど、だからって「試して」みる気には到底ならない)。普段からポルノの女教師みたいな格好をしてるディオネに対して、私は女学生のような内勤制服を着ていることが多いから、この組み合わせは絵的に非常によろしくない。
「だいたい、あんたの今の発言、カリストが聞いたら悲しく思うんじゃない……?」
「う……い、いや、あのバカは……あのコは私のことを本当に良く信頼してくれてるから、こんな言葉ひとつで揺らいだりしない……と思う……たぶんだけど……きっとそうだと思う」
私は途端にカリストに申し訳なくなってきてしまった。どうしても私は恥ずかしくて、人前でカリストのことを好きだって素直に認めることができない。それはカリストに対してもだけれど。本当はいつまでだって抱きしめていたいのに。
「うふふ……そういうふうに相手を想えるって、凄く素敵なことだと思う。そう簡単にできることじゃないわ」
ディオネは私との会話に充分に満足したらしかった。いつもこうやって私に意地悪な問いを吹っ掛けては最後にひとり判ったような顔をして会話を終えるのが通例だ。
「と、とにかく! わ、わたしはカリストのことを誰よりも大事に想っているけど、そ、それは、その、友情っていうか、姉妹愛っていうか、そういう言葉だけじゃ上手く伝えられない特別な感情っていうか……」
私はよく判ってる。そういう特別な感情って、恋愛感情。
今日はクリスマスイヴで、だから私は、他でもない、誰よりも私のことを愛してくれている、私の愛するカリストの元へ。




