Другая точка зрения:Рождество(Еще одно)
絹のように滑らかなプラチナブロンドの髪が私の頬を優しく撫でる。甘いバニラの香りと恥ずかしそうな小さな笑い声。小柄な身体の割に長い指の、その指先が私の指先と触れる。互いの鼓動が不思議と同期していくのを嬉しく感じながら、どれだけ時間を重ねても慣れることのない心地いい緊張がゆっくり続いてる。こうやってふたりでクリスマスを過ごすのは何度目になるんだろう。
私ね、ずっと夢見てるんだと思う。私たちを互いに強く結び付けてる、この不思議な、信じられないくらいに強い、愛しくて忌まわしい軛から解放される日を。
ううん。そういう意味じゃないわ。あんたと離れるなんて考えたこともない。そんな私を想像することもできない。その……なんていうか、私たちバイオロイドを理不尽なくらい強く繋ぎ合わせてる、なんだかよく判らない結束から解き放たれることを、私は願ってるんだと思う。
だけど、そうなることが怖い気もする。もしそうなった時、あんたと私を結んでる「魔法」が本当にあったとしたら、それが解けてしまうんじゃないかって、そんな風にも思ってるのかもしれない。こんなことを考えられるのも、きっとその「魔法」が破られることは絶対に無いってココロのどこかで判っているから。
私たちが、互いに互いを結び合っているこの気持ちは、本当に私たち自身の気持ち? それとも、誰かから与えられたモノ? 私たちは正真正銘のロボットで、だけれども、人間のように考え、感じ、愛し合うことかできる。でも、それは間違いなく誰かから与えられたモノ。じゃあ人間は? 人間の愛し合う気持ちはどこから来たと思う? 神様が与えたというなら、それでもいいけど……そこに私たちと大きな違いがあるとは思えない。私たちに愛し合う気持ちを与えたのも、もしかしたら神様かもしれないし、そうじゃないかもしれない。でも私は私の中に確かに誰か(あんたなんだけど)を愛する気持ちを感じてる。元からあったにしたって、誰かに与えられたにしたって、プログラムだったにしたって、私があると思っているなら、それはたぶんあるんだと思う(デカルトだってそんなようなことを言ってるし)。
だから私は、バイオロイドだからとかじゃなくて、きっとどこかにある自分自身の、私の中から湧き出る気持ちで愛を交わしたいと願ってる。ふたりを繋ぐ「魔法」が解けたとしても、きっと何も変わらないことをいつか証明できると思ってる。