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「なあセレナ、明日デートしないか?」
「‥‥‥え!?で、ででで、デート!?」
「そう、デートだ。‥‥‥と言ってもちゃんとエスコートできるかわならないがな。」
次の日
「おまたせー。」
「おはよう、セレナ。化粧したのか?」
「そうなの、なんだか変?」
「いいや、いつも綺麗だけど今は神秘さを感じるよ。」
「き、綺麗って‥‥‥は、早くいこ!」
「そうだな。」
セレナとのデートはいつもはいかない貴族街に行って、劇をみたり(よくある勇者と魔王の物語り)、レストランに寄って昼を食べたり、公園でアイス(かき氷みたいで、フルーツを凍らせたものを削ってた)を食べたり、アクセサリーを見たいと言われれば宝石店に寄ったりした。
あと恥ずかしかったが、「あ~ん」もお互いにやった。
「今日はありがと、レイ。楽しかったわ。」
「俺も楽しかった。特にセレナの笑顔がみれて。」
「も、もぉ‥‥‥それよりも、明日はシエラとまたデート何でしょ。お土産買ってきて。」
「ま、まあシエラともやる予定だったけど今話すことか?」
「だってこれで私だけが、で、デートしたんじゃ不公平よ。」
「ふっ、ありがとセレナ。」
「な、何でレイお礼言うのよ。」
「何となくだ。」
次の日
「デートすれば許してくれるとでも?」
「‥‥‥‥‥‥」
「まったく、もう怒ってませんよ。」
「‥‥‥本当か?」
「ええ。実力の分からない相手に警戒するのは当然だと考えたのよ。でも、分かった上であんなことをするのはどうかと思うわよ。」
「‥‥‥善処します。」
「ここはもう二度しないって言って欲しいところだけど、冒険者である以上難しいし、それでいいわ。さ、デートしましょ♪」
シエラの尻尾はさわさわ、と揺れていた。
あとはセレナと同じで、セレナとは違う劇(非恋もの)を見たり、違うレストランで食事したり、公園でアイス(セレナの時同じ店)を食べた。
「レイ、あ~。」
「ん?あ~ん。」
「‥‥‥」
「‥‥‥」
「い、意外と恥ずかしいわね、これ。」
「そうだろ。セレナに聞いたのか? 」
「夜にいっぱいデートとの事を聞かされたから‥‥‥」
「ほら、俺からも。あ~。」
「あ~‥‥‥」
俺はシエラにあげるアイスを自分の口に入れた。
「ジィーー‥‥‥」
「悪かった、俺が悪かったって、ほらもう一回。あ~」
「‥‥‥あ~ん。」
「「‥‥‥」」
「‥‥‥やっぱり恥ずかしいわね‥‥‥」
と、イチャイチャしていると音楽が流れてきた。
「なかなか明るい、いい音楽だな。」
「そうね‥‥‥あら?」
「どうした?」
「あの子。」
シエラが指している方を見ると今聞いている音楽を引いている男の子がいた。
「て、なんか見たことあるな。」
「見たことあるって、レイが助けた子じゃない。」
ふと思い返してみる。
すると、僕が引きたいのはこんな音楽じゃない!と言うヴァイオリンを持った少年を思い出した。
こっちで使われる音楽は劇等で使用されるものと式典等に使用される形式の音楽しかないのだ。
俺自身こっちの音楽は嫌いではないが好きでもないぐらいだったので、ゲームの戦闘BGMをいくつか風属性魔法で披露した。
そしたら見事に食い付き完全コピーまでされた。
『あいつか、絶対音感持ってるやつ。』
「思い出した。でも、俺が教えたやつとは全然違うな。オリジナルの音楽か、それもなかなかいいものだな。」
「そうね。」
「ちゃんと金払ってやるか。」
「ありがとうございました!‥‥‥‥‥‥」
パチパチ、
「え?あ、あなたは‥‥‥」
「なかなかいい音楽だったよ。これは聞かせてもらったお礼だ。」
「こ、こんなにも受け取れません!」
「なに、彼女の分も入ってるからな。」
「多すぎますって!」
「いいから受け取っとけ、俺にはそれだけの価値があると感じたんだから。」
「そんな‥‥‥」
いいことをした、というのは偽善かも知れないが、俺にとってこの世界で好きな音楽が聴けるのはそれだけ価値があるものだった。