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「―――て言うわけで、また職員をやってると。お前も物好きだな。」
「助けられる範囲だったからな。それに特に目的なんか無かったし。カイザー達は?」
「俺達も目的なんか無いぞ、暇だったから来たんだ。」
「まあそうだろうと思ったよ。」
イルーシオの冒険者は小遣い稼ぎでやってる人ばかりだったので、時間が空いたしなんかやるか、て言う感じにギルドに来て無かったら出ていく感じだったが、王都に来てみると冒険者は暇があったらギルドに来ている。
そして酒をよく飲んでいる。
「そうだ、カイザー達に聞きたいことがある。」
「うん?なんだ。」
「シエラと喧嘩したんだがどうすれば仲直りできるかアドバイスしてほしい。」
「あぁ――もしかして小さいやつに容赦しなかったことでか?」
「それだな。」
「え‥‥レイ本当に容赦しなかったの。」
「全力は出していないさ。」
「あれで全力じゃないのか、お前。」
「まだ身体強化できたからな。」
「どうだ?俺と決闘しないか?」
「ちょっとカイザー、黙ってなさい!」
「えっと、リーンさんはなんかいいアイデアありますか?」
「うーん。そうね二人でどこか出掛けたら?」
「デートしろってことか?」
「デート‥‥‥うんまあいいんじゃない。オススメな所紹介するわ。」
「よろしくお願いします。」
「いいか?」
カイザー達との会話し終わったあと話しかけてきたのは、いかにも騎手の格好をした人だった。
ちゃんとこちら側が会話を終えるまで律儀に待っていたのだ。
「おっとすまなかった。」
「ごめんなさい。(紹介するのは終わってからね。)」
「こちらこそ、話を割って悪かった。」
「それで、どういったご用件で?」
「これを。」
そういい差し出されたのは赤いろう、みたいな物で止めてある手紙だった。
『いかにも貴族からのです、て感じだな。』
「これをどうすれば?」
「ここのギルドマスターに渡してくれ。」
「分かった、確かに受け取った。」
「ではこれで。」
騎手は早々にギルドを出ていった。
俺はまだギルドマスターに会ったことがないので、イーラさんに手紙を渡そうと考えたが、気配を感じるとどうやら女性用更衣室で寝ている用だったので仕方なく、リーンさんからの話を聞きながら時間まで雑務をこなしていた。