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「分かった。まずあの霧について、あれは俺がやったことだ。」
「なに?あれだけのことを君一人で?」
「ああ。俺一人でやった。理由としては―――」
「理由なんざ聞く必要ねぇんじゃねえか?」
周りの冒険者の一人がそう言い出した。
「早朝に大量発生が起こったのはお前がちょっかいかけたからで、それを対処しようとお前があの霧をやったんだろ。」
冒険者がそう言うと周りの冒険者もそれに賛同し、ヤジを飛ばしてきた。
『話す順番間違えたな。ま、他の冒険者も必死なんだろうな、大量発生には参加するだけで金貨一枚、功績がいいやつは金貨十枚、冒険者にとっては儲けもんがからな。』
俺はめんどくさくなったので、風属性魔法で周りの音を無くした。
すると、状況が一気に変わったことに冒険者全員が驚いた。
「今、音が聞こえないのは俺のせいだ、話したいことがあるからちょっと黙ってもらった。まず先に俺の話し方が悪かったことを謝罪させてもらう。すまなかった。じゃっ話すぞ。まず、大量発生がくるよりも前の早朝に、内のパーティーメンバーが『精霊が大量発生がくるようなことを言っている』と、知らされた。始めは今日の昼後に来ると思ったが、一応森の方へ視線をやると、森へと入っていく人影が見えたんだ。それから数分後、『今すぐここから離れて』と精霊から聞いたと受け、あの人影が魔物にちょっかいをかけたと思い、もう一度森を確認すると大量の魔物が街へ向かってくるのが見えたんだ。だからメンバーにこの事を知らせて準備してもらうよう頼み、俺は一人で時間稼ぎを霧の中でやっていたんだ。ああ、何で見えたかは黙秘させてもらう。話は以上だ、何か質問はあるか?」
ここで俺は魔法をといた。
すると周りの冒険者が一斉に俺を罵ってきた。
その中で「新風の翼」のリーダーが
「静かに!」
と言っているが、周りはお構い無し。
このままでは話が進まないので、リーダー以外にはもう一度黙ってもらった。
「これで話が進むな。」
「‥‥‥感謝する。では話を進めよう。まず君は本当に人影を見たのか?」
「ああ見た。金髪で髪の毛は短かった、それ以外は分からない。」
「分からないか‥‥‥では次にあの霧について。あれは本当に君がやったのか?」
「本当だ。」
そういい、周りに薄い霧がはった。
「ほら、霧がでてきただろ。」
「ふむ。確かに霧が出来ているな。次だ。君は森の中で魔物を大量に狩っていた、と言っていたがそれは本当か?」
「本当だ。霧の中で殺っていた。ただ、俺が見た人影がいたかどうかは、魔物とやりあってたから分からなかった。」
「そうか‥‥‥‥‥‥」
このまま魔力を消費してくのはもったいないのでまた魔法をといた。