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大量発生はとても不思議なもので、なぜこんな発生が起こるのかいまだに解明していない。
ただちょっかいをかけると、時間でもないのに魔物が押し寄せてくるので、冒険者は街の平和のために押し寄せてくるのを待つだけだ。
そして俺もただただ待っていた。
スピサの街について四日たった。
いまだに大量発生は来ていない。
この間、Aランクパーティー「新緑の風」をリーダーとし今回の発生の対策を練った。
どうやら五年以上たった発生の場合、高ランクの冒険者またはパーティーが指揮をする決まりがあるそうで、カイザー達はAランクになって日が浅いから辞退したらしい。
その「新緑の風」のリーダーの話で「くれぐれも抜け駆けしようとするな。」と何度も何度も聞かされた。
他には新しく予備の剣を一本買っておいたり、シエラが常に幻術魔法で毛の色を狐色にしていたりと細々とした事ばかりだ。
「ねえ、何でシエラの毛並みが狐色になってるの?」
「詳しいことはわからないけど、奴隷になってたから色が問題なのじゃないか?」
「あぁーー‥‥‥成る程。」
「スティーブさん。今回のは遅い方なのか?」
「うん?あぁ‥‥‥そうだな‥‥‥まあ、遅い方だとは思うぞ。だが昔のだと七日日後に来たってもんもあるし、俺らはとにかく待つしかねぇんだ。」
「はぁ、色々大変だな。特に昼後にピリピリした空気は。」
「ま、しょうがねえよ。いつくるかわからないからな。それより、家のダリアがな―――――」
『また始まったよ、親バカスティーブさん。ま、それだけ嬉しいんだろうけど。』
「なあ、ちょっといいか?」
「何だ?カイザー。」
「お前あの赤髪の‥‥スティーブったけ、あいつのことをさん付けするのに何で俺はさん付けじゃ無いんだ?」
「さあ?そこまで長いこと付き合ってないからじゃないかな。」
「それを言ったらリーンだってそうだろ!」
「女性にたいしてはちゃんと節度を持って相手するからな。」
「おまえな~!」
「おっと、弱いものいじめは感心しないな。カイザー。」
「おまえの化けの皮剥がしてやる!」
「おっと、ほ、は、とと、」
「待ちやがれ!レイ!」
「待てと言われて待つやつはいないぞ。」
「レ~~イ~~!」
と、細々としたものの一部。