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無事、セレナ達もCランクへランクアップして四日がたった。
俺達は今、あることに悩んでいる。
俺達三人のパーティー名を決めかねているのだ。
「やっぱりギルさんとこの『黒の疾風』て名前から何か使いたいよね。」
「そうね。でも、黒だとイメージがレイしかいないし、全員が闇系魔法を使えるって言っても、使える魔法の種類が多いからよく使ってないし。疾風でも、私達よりずっと速い冒険者なんてたくさんいるから、逆に弱く見られるってリーンさんが言ってたし‥‥‥なかなか決まらないわね。」
「この際新しくって、言ってもいい案が無いからな‥‥‥」
「「「うーん」」」
「もうこの際何でもよくね。」
「それ言っちゃうと‥‥‥」
「何でもって、言ってる部分をどうするか考えてるから‥‥‥」
「そうだよな‥‥‥」
全く決まらない。
「一人づつ意見出してくか‥‥‥」
「それ始めにやったわよ。」
「だよな~。」
てことでリーンさんとパーティーを組んでいるカイザーに話を聞いた。
「――てわけ何だが、カイザー達のパーティー名って聞いてないよな。」
「聞いてないもなにもパーティー名何て無いからな。」
「無くてもできるもんなのか?」
「ああ、それに名前なんて後から変えられる。ある程度名が通ってたら難しいかもしれんがな。それより俺ともう一回模擬試合しないか?」
「ランク二つも離れてたら天地の差だろ。遠慮しとく。」
「毎度毎度つれねーな。対人戦を経験しとくことも冒険者にとっては大事だぞ。」
「もしそうなったら、逃げるか面と向かって戦わないからいいさ。」
「‥‥‥冒険者は自己責任だがちゃんと忠告を聞いた方がいいぞ。レイ。」
「‥‥‥わかったよ。でも相手との実力をはかることはできる。ありがとう、カイザー。」
飲んでいたのに急に真剣な顔つきで忠告をしてきたが、俺はのらりくらりとカイザーとの模擬試合を断った。
「パーティー名って、決めなくていいのね。じゃ今のところ無しってことでいいんじゃない?」
「私もそれでいいと思うわ。」
「俺も賛成だ。じゃあそう言うことで。」
結局決まらず仕舞いでイーラさんにメンバー書(パーティーを作ったり、新メンバーを入れるときに必要なもの。)を提出した。
「やっぱり名前決まらなかったんですね。」
「よくあることなのか?」
「あ、いえ、そう言う意味ではなくて‥‥‥(職員の間では、将来有望な冒険者ほど名前なんかに頓着しないって噂だったので。)」
「?」
「まあいいわ。じゃあ登録しておくわね。」
新しく名無しのパーティーが誕生した。(壮大に言っているが、だからどうした、内容だ。)