63
シエラの剣を直してもらっている最中、俺は俺で情報収集をすると決めたので、まず始めに冒険者ギルドに足を運んだ。
「よおぉ、レイぃ~」
入って一番に声をかけてきたのは、王都でお世話になってるカイザーだ。
酒が入ってるせいか、顔が真っ赤になって、ニヤついている。
と、同じテーブルではリーンさんがジョッキを持ったままつぶれている。
「結構酔ってるみたいだな。」
「おうよ。何せやっとAランクに上がったからな、その宴だ。」
「おお、それはおめでとう。」
『今、別の話をするわけにいかないな。』
「じゃあ俺は用事があるから。」
「おう!」
俺はギルド職員の中で、一番知っているイーラさんのところに行った。
「イーラさん、ちょっと聞きたいんだけど。」
「あら、レイくん。あ、そうだ。ちょっとギルドカード貸してくれる?」
「?別にいいけど。」
「ちょっと待っててね。」
俺のギルドカードを持って水晶にかざすと、俺のギルドカードがくすんだ鉄のような色から、磨かれた鉄色へと変わった。
「はい、これではれてCランク冒険者ですよ。」
「やっと、Cランクか。」
「やっとて、DからCランクを上げるのに頑張っても一年はいる!何て言われてるのに、それを約半年で上げることはすごいことよ。」
「ランクを上げるのって、案外難しい事なんだな。それにしても、すごいなこれ。一瞬で綺麗な鉄色になったな。」
「そのギルドカードはね、昔の天才が作った物らしいけど、何でこんなものを作ったのかだったりは、分からないのよね。ギルドカードは色が変わるけど、例えば銅色になったから銅に変わった、訳じゃないわよ。あ、そうそう、この水晶何かもその天才が作ったらしくて、だからギルドカードに反応するみたいよ。」
「昔の天才って、なに考えてるか分からないな。」
どうせ転生者だと思いながらそう返事した。
「あ、忘れそうだった。イーラさん、聞きたいことがあるんだが。」
「なに?私に答えられることなら何でも答えてあげるわよ。」
「それが、もっと早くランクをあげる方法と、もっと早く金を稼ぐ方法を教えてくれないか。」
「速く、ランクとお金を稼ぐ方法ね‥‥‥一番はやっぱり『メイリーズ』に行くことね。あそこは街の中心にダンジョンがある迷宮街だから、深く潜ればランクもお金も稼ぎやすいけど‥‥レイくんと同じように考えてる人達がいっぱいいるところだから、あまりオススメしないな。あそこは特に治安が悪いし。」
「『メイリーズ』か‥‥‥いつかは行ってみたいな。他には?」
「他に‥‥‥他にか~。『スピサ』の街の魔物の大量発生らへんしか無いわね。」
「大量発生って今起こってるのか?」
「うんん、起こってないわよ。大量発生が五年以上無い時の発生が、冒険者のあいだではおいしいって言われてるのよ。今年で六年来てないから、発生したらおいしいわね。」
「分かった、ありがとイーラさん。」
「私達はこれが仕事だからね~。」