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異世界転生した。  作者: R0R0
70/168

62.5

書きたかったから書いたものなので、ほぼ勢いに乗せてます

のちのちの伏線に使うかも‥‥‥

 ある日のこと。


 商店街を歩く上下黒の服を着た青年がいた。


 言わずもがな、レイである。


 そしてふと並んでいる店の内、リンゴをたくさん売っている店の前で立ち止まった。



「おばさん、これ一個いくらだ。」

「‥‥大銅貨五枚だよ。」


 嘘ついたな。俺には嘘が嘘だと分かるが、これは‥‥‥


「‥‥‥お嬢さんこのリンゴ一個いくらぐらい何ですか?」

「‥‥‥特別に大銅貨三枚だ」


『特別に大銅貨三枚‥‥‥か、嘘じゃないな。どこも栄えてるところは物価が高くなるもんだな。しょうがない。』



「じゃあ―――」



 と、その時、台に置いてあるリンゴを少女が掠め取った。



「な!待ちなさい!」



 店主の制止を聞かずに少女は走り去っていった。



「今度来たときはただじゃおかないからね!」

「‥‥ちょっといいか。あの子はいつも盗みにくるのか?」

「そうよ、全くこれじゃ商売上がったりよ。」

「‥‥‥」

「どうしたんだ、買うならとっとと買ってくれないか。」

「分かった、じゃあリンゴを十個くれ。」

「はいよ。」

「代金だ、つりはあの子の分に当ててくれ。」

「な!こんなに‥‥‥」

「いいさ別に。ありがとよ、おばさん。」

「な、あんた!」

「ククク」





 裏路地にて、



『こな辺だな。とと、』

「ねー、おねーちゃん。お腹すいたー!」

「はい、おいしいリンゴよ。」

「昨日もリンゴだったじゃん、もうリンゴいーやーだー!」



 泥棒した少女を追いかけて裏路地に来てみると、先ほど盗んだであろうリンゴを持った、銀髪、黄金の瞳、の少女と、リンゴを食べたくないと駄々をこねる、黒髪、黒目、の妹?を見つけた。


 二人とも痩せこけている。


 特に酷いのは盗みを働いた銀髪の方で、気になって後を追ったのだ。


 レイは自分の収納魔法から買ってあった焼き鳥を取り出し、



「これでも食うか?」

「え?」


 レイを見た瞬間、銀髪の少女は妹?を奥へと追いやった。


 そして



「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいリンゴを盗んでしまって、でも盗んだのは私です、私はどうなってもいいので妹だけ、妹だけはどうか見逃して下さい。」



 と、苦虫をかみしめたようなで顔をして深く頭を下げた。


 すると妹が



「おねえちゃんをいじめるなーー!」



 と、棒切れを持って殴ろうとしてきたのを、レイは左手の人差し指と中指で挟み受け止めた。



「何やってるの!だめよ!そんな事しちゃ!」



 少女が妹を押さえつけた。



「だ、だって、あいつは悪い奴なんでしょ!だから私がお姉ちゃんを守るの!」

「お願いだからやめて!」


 少女は妹を部屋へ押し込めて、レイと向き合った。


「お姉ちゃん!おねえちゃん!開け!開けてよ!」

「お願いだから黙ってて!」

「おねえ‥‥‥ちゃん‥‥‥うあああぁぁ」


 姉が絶対に開けさせないと悟った妹は泣け叫んだ。


 やがて姉は瞳の奥に絶望を宿し、レイに向き直った。


『やめてくれ。はたから見たら俺が悪人じゃん。周りに気配は無いけど。あと別に取って食おうとは思ってないぞ。』

「はぁ、まあいいか。これやるよ。」



 レイは手に持っていた焼き鳥を少女の右手に持たせた。


「え?」

「あと、リンゴばっか食べてるとは思わなくて悪かったな。まあ買っちまったし、これも。」



 と、先ほど買った九つリンゴが入った袋(道中一個食べた。)を収納魔法から取り出して渡した。



「んっ!ど、どうして?」

『酷いな、たかがリンゴ九個。五キロにもならないのに重たそうだ。』

「気まぐれだ。ついでにこれも。」



 と言い取り出したのは、大銀貨三枚が入った袋だ。


 それをリンゴの入っ袋に入れた。



「こ、これは?」

「そんなかに大銀貨三枚が入ってる。」

「え、ええ!?」

「好きに使ってくれ。服買ったり、美味しいもん食べたり、盗んだ店に謝ったり。」

「ど、どうしてこんなに‥‥‥」

「だから言っただろ、気まぐれだ。じゃな」

「あ、あの―――」



 ふっ、レイが目の前から消えた。



「どうし‥‥‥そんなに‥‥‥はっ、シーナ!シーナ開けて。」

「おねえ‥‥‥ちゃん‥‥‥おねえちゃん!」

「わ!シーナ。お姉ちゃんは大丈夫よ‥‥‥大丈夫よ」

「う、ひぐ‥‥‥」

「シーナ‥‥‥シーナぁ‥‥‥」





「あの子達を狙ってるの?」

「狙ってない。ただたんに貧しい子に恵んだだけだ。」

「あらそう。私が知ってる限り、両手では数えられないぐらい助けてるものね。」

「それは協会への寄付をふくめたら、だろ。」

「それでも貴方が助けたには変わりないじゃない。」

「ま、そう言うことにしておくよ。それよりセレナは?」

「今、私の人形とお買い物中よ。」

「そうか、じゃあ俺も合流しようかな。いくぞシエラ。」

「わかったわ。」



 と、シエラが俺の横に来たので手を繋いだ。




「私達は優しいのは気まぐれだかしら?」

「そんなわけ無いだろ。二人にはずっと一緒にいてほしい。」

「っ、(ま、真顔で言わなくても)」



 シエラは恥ずかしそうに、それで嬉しそうに尻尾をパタパタとさせた。



 後でシエラと手を繋ぐ俺を見て、セレナは頬を膨らませた。

登場人物の容姿&名前(仮)


姉 リコ 銀髪 琥珀色の眼

妹 シーナ 黒髪 黒目


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