53
王都に来て一ヶ月
俺達はちょっとした有名人になっていた。
冒険者ギルドに来た新人の美少女としてセレナとシエラが、そしてその二人の付属品として俺が。
依頼については三人、もしく俺だけ別行動でしているため一日に二つから四つこなしている。
前衛シエラ、中衛俺、後衛セレナの編成で魔物を狩っているので、女に前衛をさせているのは‥‥‥と陰口がたまに言われるがそれは無視。
そして今、俺は胸ぐらをつかまれながら決闘を申し込まれている。
何故こうなったかと言うと、二人が見るからに俺に好意を寄せているので、俺をいたぶって脅しの材料を作り、二人を手に入れようと考えたのだろう。
どう考えても二人のスペックは凄い。
それに二人で依頼を受けている時に限って、普通ではエンカウントしない魔物と出会って討伐して、何事もなかったかのように換金しているから、そう言った点でも二人は強い。
二人は魔物化してない動物を殺す事に躊躇はあるが、魔物を殺す事には躊躇がない。
「聞いてんの、か!」
ドッ!
『話がそれていたら殴られたな。まあ、俺が聞いてないように見えたのが悪いか。並列思考で聞いてただけだし。』
「はぁ‥‥聞いてたぞ。明日の昼後にギルドの練習場で、決闘。二人も連れてこい。だろ?」
「ふん!」
俺をおもいっきり押し飛ばした。
「まあいい、明日を楽しみに待ってな。」
絡んできた冒険者はそういい放ち立ち去った。
『面倒なことに絡まれたな。「はぁ‥‥‥」二人がいないときに来てくれて逆に良かったな。』
俺は一人で行動するときはなるべく早く終わる依頼をしている。
『もしかしたらそれがヒモ男ぽい事をしているように見えるのか?まあ、いっか。それにしても再生はいいスキルだよな、さっき殴られた時に口んなか切れたけどもう治ってるな。血の味はまだあるが‥‥‥』
と、明日決闘なのにのんきな事を考えていた。
ギルドの決闘とは本来、自分の実力を試すために存在するシステムだが、今の冒険者の大半は決闘の勝ち負けを賭けにしている。‥‥‥今の俺のように。
ただ、ギルドの練習場でやるため殺しは無しなのが救いだろう。
負けて死んだら転生した意味がない。