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あれからさらに二年とちょっとがたち、俺は14才になった。
始めに、ここの二年ちょっとの変化をについて話そう。
一番の変化はシスターセリナが、女の子のダリアちゃんを出産したことだろう。
ダリアちゃんは、茶髪に蒼眼。
どうやら魔力によって変わった髪の色は遺伝することが少なく、スティーブさんのご両親が、どちらも茶髪だった(本人がそう言ってる)のでそれを受け継いだと思われる。
そしてもう一つ、シスターセリナが前世で言う育休、で教会にあまり来なくなったことにより、王都から新しいシスターとして見習いシスターのビオラ(ビオラーナ)が来たことだろう。
容姿は黒紫の髪に黒紫の目で、なかなか美人だ。
このシスター見習いがこれまたどう見ても気品がある人で、それ加え、この教会に来てから一週間ほど経ったら「私は生涯ビオラーナ様に使える身!ビオラーナ様がどこに行かれようとも、私はついて行きます!」と、言ってる騎士様があらわれる始末。
こっちは金髪、蒼眼。(異世界だからなのか、なんだのかは知らんが金髪、蒼眼の人多くね?)
この人も、まー、頭の硬い人で、教会の弟、妹達がやっとシスタービオラを受け入れて、「ビオラー」(幼い子)や「シスタービオラ」と呼んで仲良くなってる時に「こら!なんだその態度は!いいか、ビオラ様はこのレッドフォリア王国の歴史ある貴族。マンジュリカ公爵の次女であられるお方だ。平民が馴れ馴れしく名を呼んではならん!」と、怒っている。
弟、妹達はそれで涙を流しながらなぜ怒られたか分からず、ただただ謝っていた。
さすがに頭にきたので一回ぶん殴ってやろうと思っていたら、「こら!スバル。子ども達を脅かさないで。よしよし、ごめんね、怖い騎士には私がめ!したからもう安心よ。」
と、シスタービオラはスバルを咎めてた。
俺のイメージしていた貴族ではなく、俺ら平民にも分け隔てなく接し、子供の世話も上手い。
おっとりしているぶん、貴族の勢力かなんかに負けたのか、はたまた濡れ衣をかけられたか知らないが、こういうやつが上にいれば、この世界が、いや、少なくともこの国はより良いものになる、と俺は思っている。
ああ、後、村の人口が増えて街になったが特に変わったことも無い。
(ちなみにこの国の爵位は王族、公爵、侯爵、伯爵、子爵、男爵、騎士伯、の七つで、騎士伯は名誉貴族みたいなもので、一代限りの貴族である。)