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ヴェン爺が上手く適正で買い取ってくれる商人に素材を売ってくれており、暇をしているので、また村を三人で散策していると、村外れにテントがあり、その中にスティーブさんが入っていくのが見えた。
「ちょっと行ってみるか。」
「そうね。」
中に入ると明らかに外より広い鍛冶場があり、スティーブさんとドワーフの男が話していた。
「どうも。」(スティーブ)
「スティーブさん。」(俺)
「うん?‥レイじゃないか、どうしたこんなところに。」
「ここはガキにはまだ早い。とっとと家に帰んな。」
ドワーフの男が割り込んできた。
「そう言ってくれんなって、ええっと‥‥‥」
「グランじゃ。」
「グランさん。」
ヒュン パキイィ
後ろから剣の素振りの音と何かが割れる音がなった。
振り返ると、セレナは近くにある弓を見ており、シエラは蛇腹剣を手に取っていた。
‥‥‥と言うか何で蛇腹剣なんかあるんだよ。
「こぉらぁぁ!そこの獣人!なにしてんじゃ!それは練習何ぞに使う木刀なんかじゃ無いんじゃぞ!勝手にさわるな!」
「ご、ごめんなさい。」
「全く。」
そう言ってシエラから蛇腹剣を取った。
するとあっと言うまに延びていた部分が戻り、普通の剣に戻った。
「なあ、ええっと‥グランさんだっけ。その剣にみたいのはなんだ。」
「これか?これはわしが面白半分で作ったものじゃ。そのせいで誰も使えん。‥‥‥なあ、嬢ちゃん。その武器やるから泣き止んでくれんかのぉ。」
「おいちょっと待て。その武器誰も使えないんじゃないのか。」
「わしのだち達の使い方が悪かっただけじゃ。獣人は試していない。」
「それでもまだ成人してない子供に武器をやるのはどうかと思うぞ。」
「ならお前さんが、その子が成人するまで持ってればいい。このままこの剣を死蔵させてはもったいない。なぁに、使えなかったら使えなかったでそこら辺に捨てておけばいい。ほれ。」
「のわぁ、ちょ。俺はまだ受けとるとは‥‥‥」
フサフサァ‥‥‥
シエラの尻尾が揺れている。
シエラは口には出さないが大抵尻尾か耳を見ればどうしたいか分かる。
これはシエラと一緒にいる人がほとんど知っていることで、揺れているのは嬉しいときか何か欲しいときだ。
「うっ‥‥‥分かった、受け取っておくよ。ただし!成人するまで絶対にさわらせないからな。」
「あ、ありがとう。スティーブさん。」
「‥‥‥はぁ。」
こうしてシエラは新しい武器をゲットした。
ちなみにセレナはずっと弓を見ていたがどれも使いずらそうな物ばかりで文句を言っていた。
ドワーフは鍛冶は得意でも木工は不得意なんだろう。