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夜の村、イルーシオの村は前にも言ったように街と言っても差し違えないほど発展しているが、村は村なので夜の村だ。
まあそんなことは置いといて、夜は大人の時間だ。
だからそう言った物が売ってるところもあるので、俺はセレナを連れてそう言ったものを避けて村を回ったら、案の定すぐに村中を回ってしまった。
「レイ~疲れた~喉乾いた~」
「‥‥分かった、何か飲み物買ってくるから公園で待ってろ。」
「はぁ~い」
それがいけなかった。
異世界に来てからテンプレがほとんどなかったから安心していた。そして、テンプレとは異世界の人たちにとっては事故のように起こる、誰にとってもありえなくはないものだと言うことだと。
俺が飲み物を買って公園に戻ると何か騒がしく、近づいてみると腹を抱えたガビルと近くに俺がセレナにあげた青いハンカチが落ちていた。
「おい!ガビル!どうした!」
「うぅ‥‥、セレナ‥‥が‥‥人‥‥‥さらい‥‥に‥‥」
俺は買ってきた飲み物が入っている木のコップをガビルの側に置き、立ち去ろうとした。
「ま‥‥て‥‥‥どこ‥‥に‥‥」
「セレナを助けに。」
俺はガビルを見つけた時に魔力でセレナの位置を探しており、今さっき場所が分かったので、家の屋根を渡りながらそこに向かった。
「ハァ、ハァ、ハァ。」
「んんー!んーん!んん!」
「ハァ、うるせぇ、ハァ、ハァ、ガキが!ハァ、ハァ、ちょっと、ハァ、黙ってろおぉぉお!」
突然足が引っ掛かったり、転んだ。
そして、担いでいた商品が投げ飛ばされそのまま地面に落ちることなくどこかに消え去った。
「いぃってて、あれ?あのガキは?」
「おい!居たぞ!人さらいが!」
「な!ちくしょう!」
人さらいはすぐに闇に紛れてしまった。
「セレナ、大丈夫か?」
俺はセレナの目隠しと口枷を外しながらそう言った。
「レ、レイぃぃぃ!!わああぁぁん!ごの゛ま゛ま゛、ごの゛ま゛ま゛ぁ‥‥」
「ほら、もう大丈夫だからそんなに泣くなよ。」
「だって゛、だって゛ぇぇ。」
「だから大丈夫だって、俺が居るだろ?」
だいぶ泣き止んだとき、セレナを探していたギルさん達に会いまた泣き出してしまい、もう一度あやすはめになった。