18
あれから豊穣祭を二人で回ったり、プレゼントにクッキーをもらったり、どんどんと月日が過ぎていき、今は12月下旬。
「なあ、セレナ。年末の祭り、俺と一緒に回らないか?」
「ごめんガビル!私下の子の世話をやるから行けないの。本当にごめん!」
「そうか‥‥分かった。」
『ガビルもガビルでこりないな。自惚れかもしれないがセレナは俺に惚れてると思うんだが。』
ガビルはよくセレナを誘っては村にでて、買い物やら、依頼やらを一緒にこなしている。
俺がスティーブさんと会うまでは俺と一緒だったが、スティーブさんに剣術を教わるようになってからは、俺が教わってるときが退屈らしく最近はガビルと一緒にいる。
「(ねえ、レイ。年末のお祭りのことなんだけど、一緒に回らない?)」
「(‥‥お前さっきガビルからの誘い断ったじゃん。)」
「(だって‥‥ガビルの目線、なんか気持ち悪いもん。)」
『セレナが可愛くて、綺麗なのは認めるが‥‥お前いったいどんな目線を送ってるんだ?』
「(レイ?)」
「(ああ、ごめんちょっと考え事。祭りのことはいいぞ、行ったって問題ない。)」
「(本当!ありがとう!)」
こうして俺が祭りに行くことが決まり、その後の話し合いで夕方から回ることに決まった。ちなみに年末年始は大人が遅くまで起きてるので、夜はいつもの夜よりも治安がいい。
そして時間になった。
「レイ、待った?」
「いいや、別に。‥‥化粧したんだな、似合ってるよ。」
「‥‥ありがと‥」
セレナは恥ずかしそうに耳まで真っ赤にしてうつむいた。
『そう言えば、今はあまりセレナの耳さわってないな。』
そう思い耳にふれてみる。
コリッ
「ふぁぁあ!!ちょっとレイ!何やってんの!」
「セレナ、静かに。ばれるぞ。」
「くうぅぅぅ」
セレナが射殺さんばかりに俺を睨んでくる。
「ほら、行くぞ。あまり遅いとシスター達に怒られる。」
「‥‥分かってるわよ。」
「ほら、はぐれないように。」
俺がセレナに手を伸ばすと、セレナはおずおずと手を握った。
「行くぞ。」
「‥‥うん。」
二人で夜の村に歩き出した。